Use Cases (更新: 2026/6/7)

スーパーマーケットの特売チラシと献立提案をAIで作る実務手順

スーパーマーケットの販促担当向け。Claude Codeで特売チラシ文案と献立提案コンテンツを下書きし、人が値段と表記を確認する分担、プロンプト雛形、検証スクリプトまで。

スーパーマーケットの特売チラシと献立提案をAIで作る実務手順

金曜の夕方、来週の日替わり特売がやっと決まった。あとはチラシの文案と、店頭POP、SNS投稿、それから「今日の献立」コーナーの原稿。締め切りは月曜の朝。

僕がスーパーの販促を手伝っていた頃、この週末がいちばんきつかった。鶏むね肉が安いのは決まっている。でも「鶏むね肉 100g 58円」の上に乗せるひと言が出てこない。「お買い得!」を何回書いただろう。日曜の夜、献立コーナーに「鶏むね肉のチキン南蛮」と書いて、翌朝チーフに「先週もチキン南蛮だったよ」と言われた。

文章を作る作業そのものより、ネタ切れと締め切りの板挟みがしんどい。ここは生成AIがいちばん効くところでした。今日はスーパーの販促担当に向けて、特売チラシと献立提案の下書きをClaude Codeに任せ、値段や表記は人が必ず見る、という分け方を具体的に書きます。

この記事の要点

  • 特売チラシの「キャッチコピー」と献立提案の「ネタ出し」は、生成AIに下書きさせると週末の作業が半分以下になる
  • 価格・原産地・アレルギー表記・在庫は人が必ず確認する。ここをAIに丸投げすると景品表示法や表記ミスの事故になる
  • 商品リストをCSVで渡し、決まった型でコピーを返させるプロンプト雛形をそのまま使える
  • 出てきた文案に「安すぎる断定」や「効能のうたい文句」が混じっていないかを機械でチェックする検証スクリプトを置く
  • 個人を特定できる購買データや顧客名簿はAIに渡さない。渡すのは商品名・価格・カテゴリだけ

誰のための記事か(読者像)

想定しているのは、店舗または本部の販促担当です。チラシ業者への入稿、店内POP、LINE・Instagramの投稿、レシピコーナーの原稿まで、文章まわりを一人か少人数で回している人。デザインの専門家ではないけれど、毎週の締め切りに追われている。そんな現場を思い浮かべています。

商品の目利きやチーフとの調整は、あなたの仕事のまま。AIに渡すのは「ゼロから1文字目を書く」しんどさだけです。プログラミング未経験でも進められるよう、ターミナルに打つコマンドは最小限にしてあります。コマンドが初めてなら、先に非エンジニアのためのClaude Code入門に目を通しておくと迷いません。

特売チラシ販促の業務フロー

まず、いまの作業を分解します。だいたいどの店もこの流れです。

  1. 仕入れ・バイヤーから来週の特売商品と価格が確定する(金曜あたり)
  2. 目玉商品を3〜5点選び、チラシの紙面配分を決める
  3. 商品ごとにキャッチコピーと説明文を書く
  4. 店頭POP・SNS・LINE向けに文面を作り変える
  5. 旬の食材から献立・レシピコーナーの原稿を作る
  6. 価格・表記・在庫を確認して入稿、または投稿予約する

このうち、AIに任せて効くのは3・4・5です。1と2は仕入れと売場の判断、6は責任を持つ確認作業なので、人が握ります。

よくある手戻りと困りごと

僕が現場で何度も見た、地味につらいやつを挙げます。

  • コピーのネタ切れ:毎週同じ商品が特売に並ぶので、「お買い得」「今が旬」を使い回してしまう
  • 媒体ごとの作り直し:チラシ用の硬い文をSNSに貼ると浮く。LINEはもっと短く。媒体の数だけ書き直す
  • 献立のかぶり:先週と同じメニューを出してしまい、チーフや常連さんに気づかれる
  • 表記ゆれ:「とり肉」「鶏肉」「鶏むね」が紙面で混在し、入稿直前に直す羽目になる
  • 価格の打ち間違い:コピーに気を取られて、肝心の数字を1桁間違える。これがいちばん怖い

これらの多くは「文章を一から書く負荷」が原因です。負荷が高いと、確認に回す時間が削られ、価格ミスのような重大事故につながります。

スーパーマーケットでのUse case 3つ

Use case 1:特売チラシのキャッチコピーを一括で下書き

商品リストを渡して、媒体別のコピーをまとめて作らせます。一覧で返させると、紙面に流し込みやすい。下のような型を指定します。

商品チラシ用コピー(全角20字以内)SNS用(絵文字あり)LINE用(1行)
鶏むね肉しっとり仕上がる定番むね肉今週の主役は鶏むね!献立に困らない万能選手鶏むね肉、おトクな価格です
国産トマト朝採れ完熟の国産トマト真っ赤に熟れたトマト入荷!サラダが進む完熟トマト、店頭に並びました

価格は表に入れません。数字は人が最後に手で入れる、と決めておくと打ち間違いの事故が減ります。

Use case 2:旬の食材からの献立提案コンテンツ

特売の食材を組み合わせて、その週のレシピコーナー原稿を作らせます。先週のメニューを「使用済みリスト」として渡せば、かぶりも避けられます。

チェックリストで走査します。

  • 今週の特売食材を3つ以上使っているか
  • 先週・先々週と主菜がかぶっていないか
  • 調理時間の目安(15分・30分など)が入っているか
  • アレルギー特定原材料(卵・乳・小麦・えび・かに・そば・落花生・くるみ)に触れているか
  • 「〜が治る」「健康になる」のような効能表現が混じっていないか

Use case 3:媒体別への一括展開

一度作ったチラシ文案を、店頭POP・Instagram・LINEの文字数とトーンに合わせて作り変えます。媒体ごとの制約を先に伝えるのがコツです。

媒体文字数の目安トーン
店頭POP15字以内短く、目を引く
Instagram120字前後+ハッシュタグ写真前提でやわらかく
LINE40字以内用件だけ、絵文字は控えめ

AIに任せる範囲と、人が必ず判断する範囲

ここが事故るかどうかの分かれ目です。表で線を引いておきます。

作業AIに任せる人が必ず判断する
キャッチコピーの案出し最終選定
献立のネタ出し店の客層に合うか
媒体別の文字数調整投稿の可否
価格・割引率の記載×必ず人が入力・照合
原産地・アレルギー表記△(下書き)必ず人が事実確認
「日本一安い」等の最上級表現×景品表示法の観点で人が削除
在庫・販売期間×売場と人が確認

AIが書いてくるのはあくまで「たたき台」です。値段と表記は、最後にあなたの目が通る。この一線だけは崩さないでください。優良誤認や有利誤認は、消費者庁が景品表示法で規制しています。AIは平気で「驚きの安さ」「業界最安」と書いてくるので、断定表現は人が落とします。

コピペで使えるプロンプト雛形

商品リストを渡して、媒体別コピーを表で返させる雛形です。CLAUDE.mdに媒体ルールを書いておくと毎回貼らずに済みます。書き方はCLAUDE.mdベストプラクティスが参考になります。

あなたはスーパーマーケットの販促コピーライターです。
以下の商品リストから、媒体別のコピーを表形式で出してください。

# 制約
- 価格・割引率・在庫・販売期間は書かない(数字は人が後で入れる)
- 「最安」「日本一」「驚きの」等の最上級・断定表現は使わない
- 「治る」「健康になる」等の効能表現は使わない
- 先週使ったコピー(後述)と語尾・切り口がかぶらないようにする

# 出力フォーマット
| 商品 | チラシ用(全角20字以内) | SNS用(120字前後) | LINE用(40字以内) |

# 今週の特売商品
鶏むね肉 / 国産トマト / 木綿豆腐 / 旬のさんま

# 先週使ったコピーの切り口
「今が旬」「お買い得」「定番の」

献立コーナー用は、こう続けます。

次に、上の特売食材を3つ以上使った今週の献立を2案、レシピ原稿として書いてください。

# 制約
- 各案に調理時間の目安を入れる
- アレルギー特定原材料が含まれる場合は明記する
- 先週の主菜(チキン南蛮・肉じゃが)とかぶらせない
- 効能・健康効果の表現は使わない

プロンプトの精度をもう一段上げたいときはClaude Codeのプロンプト設計(応用)も読んでおくと、制約の書き方が安定します。

出力をチェックする検証スクリプト

AIの文案に、消しておきたい表現(最上級・効能・断定)が残っていないかを機械で弾きます。Node.jsがあれば動きます。AIの下書きを draft.txt に保存して実行してください。

import { readFile } from "node:fs/promises";

// 販促で避けたい表現。景品表示法・薬機法まわりの地雷を中心に。
const ngWords = [
  "最安", "日本一", "業界一", "業界最安", "世界一", "驚きの安さ",
  "完全", "絶対", "必ず痩せる", "治る", "治療", "健康になる",
  "効く", "デトックス", "アンチエイジング", "がんが消える",
];

const text = await readFile("./draft.txt", "utf8");
const lines = text.split(/\r?\n/);
let hit = 0;

lines.forEach((line, i) => {
  for (const w of ngWords) {
    if (line.includes(w)) {
      console.log(`L${i + 1}: 要確認の表現「${w}」 → ${line.trim()}`);
      hit++;
    }
  }
});

// 価格らしき数字が本文に紛れていないかも軽く警告
const priceLike = text.match(/\d{2,4}\s*円/g);
if (priceLike) {
  console.log(`価格らしき記載: ${priceLike.join(", ")}(人が最終確認すること)`);
}

console.log(hit === 0 ? "NG表現なし。人の最終確認へ。" : `${hit}件の要確認表現あり。`);
process.exit(0);

実行はこれだけです。

node check-flyer.mjs

「NG表現なし」と出ても、それは安全宣言ではありません。価格・原産地・アレルギーは、ここから人が目で確認する前提の門番です。コマンドに不安があればClaude Code入門ガイドで環境づくりから追えます。

導入前と後で何が変わったか

数字はあくまで僕の体感とまわりの店の概算ですが、目安として置きます。

作業導入前導入後
特売10点分のコピー下書き約120分約20分(AIの下書き+選定)
献立2案の原稿約60分約15分
媒体別への展開(3媒体)約90分約20分

合計でだいたい4時間半が1時間弱に縮みました。週1回として月に約14時間。時給1,500円で考えれば月2万円分ほどの時間が浮く計算です。浮いた時間を価格の確認と売場づくりに回せたのが、いちばん大きい変化でした。

個人情報・セキュリティの注意点

ここは外せません。AIに渡すのは「商品名・価格・カテゴリ・旬の情報」だけにします。

  • ポイントカードの購買履歴、会員名簿、個人を特定できるデータは渡さない
  • 仕入れ原価や取引先との契約条件など、社外秘はプロンプトに含めない
  • 無料のチャットサービスに会社の非公開データを貼らない。利用するなら、入力データを学習に使わない設定や法人向けの契約を確認する
  • 生成物は必ず人が確認してから入稿・投稿する(AIの文章をそのまま公開しない)

「商品とその値段は公開情報、顧客の行動は機密」。この線引きを、CLAUDE.mdに一文書いておくとチームで迷いません。会社全体で進めるなら、ルールづくりから研修・相談で整えるのが安全です。

よくある質問

Q. 結局、価格までAIに書かせてはいけないのですか。 A. 下書きに参考として入れさせるのは構いませんが、最終的な数字は人が照合してください。AIは桁を間違えても自信満々で出してきます。検証スクリプトで「◯◯円」を検出して警告に回す運用をおすすめします。

Q. デザインやチラシのレイアウトも作れますか。 A. この記事の範囲は文章(コピー・原稿)です。レイアウトは入稿先のテンプレートやデザイナーの仕事のまま。AIには「紙面に流し込む文字」を任せる、と割り切るとうまくいきます。

Q. 地方や店ごとの方言・トーンに合わせられますか。 A. できます。「関西弁でフランクに」「高齢のお客様が多いので丁寧に」のように、客層と口調をプロンプトに足してください。先週の良かった投稿を例として渡すと、トーンが安定します。

Q. 効率化のコツをもっと知りたいです。 A. 繰り返す作業はCLAUDE.mdにルール化しておくのが近道です。Claude Code生産性向上のコツに、毎回貼り直さずに済ませる工夫がまとまっています。

Q. 無料で試せますか。 A. まずは個人で小さく試すのがおすすめです。教材や無料PDFは製品ページにあります。手を動かしながら、自分の店の商品で1週間分だけ回してみてください。

実際に試した結果

近所のスーパーの一週間分の特売リスト(鶏むね肉・トマト・豆腐・さんまなど10点)で、上のプロンプトと検証スクリプトを実際に回してみました。

コピーの下書きは、媒体別の表で一気に返ってきて、紙面への流し込みがそのままできました。良かったのは献立コーナーで、先週の主菜を「使用済み」として渡したら、ちゃんと別メニューを出してきたこと。あの「先週もチキン南蛮」を、仕組みで防げたのが個人的にいちばん嬉しかったです。

一方で、検証スクリプトには引っかかりがありました。AIが最初の出力で「驚きの安さ」「今だけ最安級」を平気で混ぜてきて、check-flyer.mjs が3件警告を出した。これを人が削っただけで、景品表示法まわりの不安がぐっと減りました。価格は最後まで手で入れる運用にしたので、桁ミスもゼロ。任せる所と握る所を表で線引きしておくと、迷わず週末を抜けられます。

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この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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