制作会社がClaude Codeに触らせる前に決める権限チェックリスト
クライアントサイトを壊さずにAI編集を使うための、制作会社向け権限と確認の型です。
制作会社の現場では、ちょっとした文言修正やLPのCTA変更が毎日のように入ります。急ぎの依頼ほど、Claude Codeに任せれば早いと思いがちです。しかし、クライアントサイトでは「早い」よりも「触ってよい範囲が明確」が先です。
この記事では、制作会社やマーケティング支援会社がClaude Codeを使う前に決める権限チェックリストを紹介します。対象は、WordPress、Astro、Next.js、静的LP、フォーム付きキャンペーンページを運用するチームです。
この記事の要点
- AIに触らせる前に、編集してよいファイル、見てよいファイル、触ってはいけないファイルを分けます。
- Claude Codeには差分作成、確認コマンド、リンク先チェックを任せます。公開判断と顧客承認は人が持ちます。
- クライアント情報、広告アカウント、フォーム送信先、計測タグは特に守る領域です。
- 個人作業なら無料PDF、繰り返しの制作フローならセットアップガイド、複数人運用なら導入相談が合います。
まず「許可」を三段階に分ける
制作会社の事故は、技術力不足よりも範囲の曖昧さで起きます。「このLPを直して」と頼んだつもりが、共通ヘッダーや計測タグまで変わる。これが一番危険です。
最初に、対象を三段階に分けます。
| レベル | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 見るだけ | 読んでよいが変更しない | 既存LP、デザイン参考、過去のCTA |
| 編集可 | 今回の依頼で変更してよい | 対象ページ、文言データ、テスト文言 |
| 禁止 | 読む必要がなければ開かない | .env、顧客リスト、広告タグ、決済設定 |
この表を先に作るだけで、Claude Codeへの指示が具体的になります。AIは「よしなに」は得意ではありません。境界を文字で渡すと安定します。
Claude Codeに任せる範囲と人が決める範囲
Claude Codeに任せるのは、差分の作成と検証です。CTA文言を変更する、リンクを指定URLに差し替える、ビルドを通す、スマホ幅で崩れを確認する。こうした作業は、条件が明確ならAIに向いています。
人が決めるのは、クライアントとの約束です。文言がブランドトーンに合うか、法務表現として大丈夫か、公開してよいか、広告の訴求と一致しているか。ここはAIの作業結果を見て、担当者が承認します。
コピペで使える依頼文
このクライアントLPのCTA文言だけを修正してください。
編集してよい範囲:
- site/src/pages/campaign.astro
- site/src/content/campaign-copy.ts
見るだけ:
- site/src/layouts/BaseLayout.astro
- site/src/components/Header.astro
触らない:
- .env*
- form送信先
- analytics / ads / pixel 関連コード
- 価格、契約、特商法、プライバシーポリシー
作業内容:
1. CTA見出しを短くする
2. ボタン文言を「無料相談を予約する」にする
3. リンク先は /training/ のまま変えない
4. npm run build を通す
5. 差分と確認結果を報告する
この依頼文で大事なのは「見るだけ」と「触らない」を分けている点です。読ませないと文脈が分からないファイルはありますが、読むことと編集することは別です。
確認用の小さなスクリプト
指定した禁止語が差分に入っていないかを簡易確認するNode.jsスクリプトです。
const diff = process.env.DIFF_TEXT || "";
const forbidden = [".env", "gtag(", "fbq(", "stripe", "customer_email"];
const hits = forbidden.filter((word) => diff.includes(word));
if (hits.length) {
console.error("禁止領域らしき差分:", hits.join(", "));
process.exit(1);
}
console.log("禁止語チェックOK");
本番では git diff の内容を渡して使います。万能ではありませんが、広告タグや決済まわりの不用意な変更に早く気づけます。
3つのユースケース
1. LPのボタン文言だけを変える
編集可は対象ページだけ。フォーム送信先、計測タグ、価格表記は触らない。公開前にスマホ幅でボタンが折り返していないか確認します。
2. 事例ページの導入文を短くする
見るだけに過去事例を入れ、編集可を対象記事だけにします。顧客名の扱い、成果数字、業界表現は人が承認します。
3. キャンペーン終了日の差し替え
日付だけの変更でも、OGP、構造化データ、CTAリンク、フォーム締切が関係します。Claude Codeには影響箇所の一覧化を任せ、公開判断は担当者がします。
落とし穴と修正方法
落とし穴1: 「この辺をいい感じに」で始める
AIが共通部品まで直す原因になります。修正対象ファイルを先に列挙します。
落とし穴2: 禁止ファイルを書かない
.env、広告タグ、決済、フォーム送信先は必ず禁止リストに入れます。
落とし穴3: ビルド成功だけで公開する
CTAリンクやcanonicalが違うことはビルドでは分かりません。公開URL、h1、リンク先、スマホ表示を見ます。
落とし穴4: クライアント承認前に文言を強くする
成果保証、最安、No.1などは法務や根拠が必要です。AIが出しても人が止めます。
CTA: 次の一手
まず個人で安全に触るなら無料チートシートを手元に置いてください。制作会社の共通ルール、CLAUDE.md、権限、hooksまで整えるならセットアップガイドが近い教材です。
複数人でクライアント案件へ導入するなら、導入相談で「見てよい、触ってよい、触らない」を実案件に合わせて設計できます。関連してClaude Code権限ガイドとチーム導入リスク台帳も読むと、事故の予防線が引きやすくなります。
クライアント別に残す運用メモ
制作会社でこのチェックリストを使うなら、案件ごとに一枚の運用メモを残します。毎回ゼロから判断すると、担当者が変わった時に境界が崩れます。メモには、編集してよいディレクトリ、必ず確認する公開URL、禁止する設定ファイル、承認者、緊急時の戻し方を書きます。
特にフォーム付きLPでは、フォーム送信先、サンクスページ、計測イベント、広告のリンク先を一つのセットとして扱います。ボタン文言だけを変えたつもりでも、リンク先やイベント名がずれると、広告レポートや問い合わせ数の計測が壊れます。
Claude Codeに依頼する時は、作業内容だけでなく、確認結果の形式も指定します。たとえば、変更ファイル、触っていない禁止領域、ビルド結果、スマホ幅の確認、CTAリンク先を五行で報告させます。これで担当者は、クライアントに出す前に何を見ればよいか迷いません。
承認フローも小さく始めます。最初は一人の担当者がAIの差分を確認し、二回連続で問題がなければ、同じ種類の軽微な修正だけを別メンバーにも広げます。いきなり全案件へ広げると、案件ごとの禁止領域が混ざります。
このチェックリストの価値は、AIに自由を与えることではありません。自由に見える制作作業を、小さな安全な作業単位へ切ることです。作業単位が小さいほど、クライアント確認も戻し作業も軽くなります。
計測タグを触らないと決めても、CTAの文言やリンクが変われば計測の意味は変わります。たとえば「資料を受け取る」から「無料相談を予約する」に変えた場合、同じクリックイベントでも読者の意図は違います。制作会社側は、イベント名を変えない場合でも、運用メモに文言変更日と意図を残します。
クライアントレビュー用には、差分そのものではなく確認できる形の要約を出します。どの文言を変えたか、リンク先は変えていないか、フォーム送信先は触っていないか、スマホ表示でボタンが押せるか。この四点だけでも、非エンジニアの担当者が確認しやすくなります。
戻し方も最初に決めます。公開直前に不安になってから戻し方を探すと、焦って別の差分を作りがちです。作業前に、対象ファイル、戻すコマンド、戻した後に確認するURLを一行で書いておくと、AI編集を使う心理的な負担も下がります。
さらに、制作会社では「誰が見ても同じ確認ができる」状態にしておく必要があります。担当者だけが分かる言い方では、休みの日や急ぎの差し替えで止まります。チェックリストの文は、社内の別メンバーが読んでもそのまま動ける粒度にします。たとえば「リンク確認」ではなく「CTAボタンを押し、/training/ に遷移することを確認」と書きます。
この粒度は、収益導線にも効きます。ボタンが見える、押せる、正しいページへ行く、フォームが送れる。この四つを毎回確認すると、PVはあるのに問い合わせが来ないという状態を早めに見つけられます。制作物の品質確認と売上導線の確認を分けず、同じ公開前チェックに入れるのが現実的です。
収益導線まで含めた代理店チェック
代理店案件では、権限チェックと収益導線チェックを分けない方が実務に合います。CTAを変える、資料請求ボタンを追加する、Gumroad教材へのリンクを置く、相談フォームへ誘導する。これらは小さな文言修正に見えても、クライアントの売上計測には直接影響します。
そのため、Claude Codeに渡す依頼には、変更してよいUIだけでなく、壊してはいけない計測も書きます。たとえば、フォーム送信イベント、サンクスページURL、広告パラメータ、商品リンク、問い合わせ先メールです。公開確認では、ページが開くかだけでなく、読者が次の行動へ進めるかを必ず見ます。
チェックリストを運用に入れる時は、案件名、担当者、公開URL、収益CTA、戻し方を一行で残します。この一行があるだけで、翌月の改善や別担当者の引き継ぎがかなり楽になります。
最後に、公開後の問い合わせ数もチェック対象に入れます。表示確認だけで終わると、ボタンは見えているのに相談が増えない原因を逃します。権限、表示、クリック、フォーム到達を同じ表で見ます。
実際に試した結果
このチェックリストをLPのCTA差し替えに当てはめて確認しました。編集ファイルを二つに限定し、フォーム送信先と計測タグを禁止に入れ、ビルドとモバイル表示を確認しました。
効果があったのは「見るだけ」と「編集可」を分けた点です。Claude Codeに文脈を読ませながら、差分は狭く保てました。制作会社の運用では、AIの賢さより境界線の書き方が品質を決めると分かりました。
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この記事を書いた人
Masa
Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。
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