Tips & Tricks (更新: 2026/6/7)

バグ報告テンプレートの書き方: 「直して」が伝わるissueの型をコピペで

「画面が壊れてる」が伝わらないのは情報不足が原因。タイトル・再現手順・期待と実際・環境・ログの並べ方を、コピペで使えるissueテンプレと自動生成スクリプトで整えます。

バグ報告テンプレートの書き方: 「直して」が伝わるissueの型をコピペで

「画面が壊れてます」

僕が新人のころ、先輩にそう報告したら、無言で席まで来られました。どの画面?どの操作?何が「壊れて」るの?——質問攻めにあって、結局その場で全部聞かれ直したんです。報告した意味、ほぼゼロでした。

これ、相手がClaude Codeでも同じです。「テストが落ちます、直して」とだけ渡すと、いちばんありそうな原因に飛びついて、それっぽい修正を返してきます。早い。でも外す。そして同じバグが別の形でまた出る。

理由はシンプルで、バグ報告は「気持ち」じゃなくて「型」だからです。料理の注文と同じで、「いい感じのやつ」では出てこない。何を、どう、どこまで、を埋めた一枚があれば、人間にもAIにも同じように伝わります。今日はその型——コピペで使えるバグ報告テンプレートの作り方を、僕の失敗込みで書きます。調査そのものの進め方は姉妹記事の最初の不具合報告Runbookに分けたので、ここでは「報告の書式」に集中します。

この記事の要点

  • バグ報告は文章力じゃなく項目の埋め方。タイトル・再現手順・期待・実際・環境・証拠・影響範囲の7点を固定する。
  • タイトルは「何が・どこで・どうなる」を一行で。「不具合」だけのタイトルは検索でも一覧でも埋もれる。
  • 期待結果と実際の結果を必ず分ける。ここが抜けると「直った」の判定ができない。
  • 環境とログは全部貼らない。再現に効く差分と、エラー周辺の数十行だけに絞る。秘密情報は型から弾く。
  • 下のテンプレをbug-report.mdに保存し、環境情報はcollect-bug-context.mjsで自動収集する。手で集めると必ず抜ける。

なぜ「型」がないと伝わらないのか

バグ報告がうまくいかないとき、原因はたいてい「書いた人の頭の中にしか情報がない」状態です。

書いた本人は、どの画面でどう操作したか、いつから変か、全部知っています。だから「壊れてます」で通じる気がする。でも読む側——レビュー担当者でもClaude Codeでも——は、その前提をひとつも共有していません。ここに大きなズレが生まれます。

型の役割は、この「頭の中」を強制的に外に出させることです。空欄が並んでいると、人は埋めようとします。「期待結果:」という欄があれば、「あ、本来どうなるべきか書いてなかった」と気づく。チェックリストが思考の抜けを拾ってくれるわけです。

しかも型には副作用があります。書いている途中で自己解決することがある。再現手順を1, 2, 3と書き出すうちに「あれ、手順2を飛ばすと再現しないぞ」と当たりがつく。デバッグの半分は、現象を言語化した瞬間に終わっていたりします。

バグ報告に必ず入れる7項目

長文である必要はありません。むしろ短いほうがいい。ただし、次の7つは省かないでください。

項目何を書くかこれで判断できること
タイトル何が・どこで・どうなるかを一行で一覧での識別、優先度づけ
再現手順3分で再現できる最小ステップ原因候補の検証方法
期待結果本来どう動くべきか「直った」の合格条件
実際の結果エラー文、HTTPステータス、崩れ方事実と推測の切り分け
環境OS、Node、ブラウザ、ブランチ、設定ローカル固有か共通かの判定
証拠ログ、スクショ、失敗テスト修正前後の比較
影響範囲誰が困るか、触ってよい範囲優先度と修正の広さ

初心者がいちばん落とすのは「期待結果」です。「エラーを消す」だけだと、空配列を返すのか、400を返すのか、画面に警告を出すのが正解なのか、誰にも分かりません。期待結果は仕様書みたいに完璧じゃなくていい。「モバイル幅でCTAが縦に並び、横スクロールが出ない」みたいに、目で確認できる一文にするのがコツです。

タイトルだけで9割決まる

バグ報告で、僕がいちばん時間を割くのがタイトルです。地味ですが、ここが全部を引っ張ります。

ダメなタイトルの典型はこれ。

・不具合
・バグです
・スマホで変
・テストが落ちる

どれも「何が・どこで・どうなる」が入っていません。一覧に10件並んだら、どれを先に見ればいいか分からない。一方、効くタイトルはこうです。

・[products] 390px幅で価格CTAが画面外にはみ出して横スクロールが出る
・[checkout API] plan=pro のときだけ POST が500を返す
・[月次集計] 3月31日23:59(UTC)の注文がCSVに含まれない

公式の型は「[場所] 条件のときに、何がどうなる」。角括弧で場所(画面・API・モジュール)を頭に出すと、一覧でグルーピングできて優先度づけが一瞬で済みます。そして「条件」を入れるのが効く。「500を返す」より「plan=proのときだけ500を返す」のほうが、読んだ瞬間に原因の見当がつくからです。

タイトルが具体的に書けないときは、たいてい現象をまだ理解できていません。その場合は無理にタイトルを盛らず、再現手順から先に埋めます。書いているうちに、タイトルに入れるべき「条件」が見えてきます。

再現手順は「最小」が正義

再現手順でやりがちなのが、本番と同じ状況を全部書こうとすることです。「ログインして、ダッシュボード開いて、設定行って、プロフィール編集して…」みたいに。

逆です。バグを起こすのに必要な手順だけを残します。要らない操作を削るほど、原因の範囲が狭まる。これは姉妹記事の最初の不具合報告Runbookで詳しく掘っていますが、報告の書式としては最低限こうします。

  1. どこで(URL、コマンド、エンドポイント)
  2. どう操作したか(クリック、入力値、リクエスト)
  3. 何が起きたか(画面、ステータス、ログ)

例えばAPIのバグなら、画面操作を全部すっ飛ばしてcurl一発に落とすのが最強です。

curl -X POST http://localhost:3000/api/checkout \
  -H "content-type: application/json" \
  -d '{"plan":"pro"}'

これがそのまま再現手順になり、あとで失敗テストの土台にもなります。「手順を最小化できない=まだ現象を絞れていない」のサインだと思ってください。

コピペで使えるバグ報告テンプレート

ここが本題です。次のテンプレートをbug-report.mdとして保存し、空欄を埋めてから使ってください。社内のissue、GitHubのバグ報告、Claude Codeへの依頼、どれにもそのまま貼れます。

# バグ報告

## タイトル
[場所] 条件のときに、何がどうなるか(一行)

## 影響範囲
- 誰が困るか:
- 発生頻度: 毎回 / ときどき / 不明
- 優先度: 高 / 中 / 低

## 環境
- OS:
- Node / パッケージマネージャ:
- ブラウザ / デバイス:
- ブランチ:
- 関連するenv名(値は書かない):

## 再現手順(最小)
1.
2.
3.

## 期待結果
-

## 実際の結果
- エラーメッセージ:
- HTTPステータス / 崩れ方:

## 証拠
- ログ(エラー周辺だけ):
- スクリーンショット:
- 失敗しているコマンド / テスト:

## 最近の変更
- 関連しそうなPR / commit:
- 変わった可能性が高いファイル:

## 制約(任意・依頼相手がいる場合)
- 触ってよい範囲:
- 触らない範囲:
- 秘密情報・顧客データは貼らない:

ポイントは、項目の順番です。タイトルと影響範囲を先頭に置くと、読む人が「自分が今すぐ見るべきか」を最初の5秒で判断できます。技術詳細(環境・証拠)は後ろでいい。優先度の高い人ほど、上から数行しか読まないからです。

このテンプレを使うとき、僕は「期待結果」と「実際の結果」だけは絶対に空欄で出しません。この2つが揃っていれば、最悪ほかが薄くても会話が始まります。逆にこの2つがないと、まず「で、どうなってほしいの?」から聞き直しになります。

環境情報は手で集めない(自動収集スクリプト)

環境欄、手で埋めると必ずどこか抜けます。ブランチ名を書き忘れる、Nodeのバージョンが実は古かった、直近のコミットを見落とす。僕は何度もやりました。

なので環境情報は機械に集めさせます。次のスクリプトはNode.jsだけで動いて、秘密情報っぽい値をマスクしながら、報告に貼る文脈をまとめてくれます。元の記事から引き続き使えるものです。

// scripts/collect-bug-context.mjs
import { execFileSync } from "node:child_process";
import { existsSync, readFileSync } from "node:fs";
import { platform, release } from "node:os";
import { cwd } from "node:process";

// gitコマンド等を安全に実行(失敗しても落とさず印を残す)
function run(command, args) {
  try {
    return execFileSync(command, args, {
      cwd: cwd(),
      encoding: "utf8",
      stdio: ["ignore", "pipe", "pipe"],
    }).trim();
  } catch (error) {
    return `(failed: ${command} ${args.join(" ")})`;
  }
}

// APIキーやトークンらしき文字列を伏せる(保険)
function maskSecrets(text) {
  return text
    .replace(/(api[_-]?key|token|secret|password)=([^\s]+)/gi, "$1=***")
    .replace(/Bearer\s+[A-Za-z0-9._-]+/g, "Bearer ***");
}

// package.jsonのscriptsだけ抜き出す(どの検証コマンドがあるか)
function readPackageScripts() {
  if (!existsSync("package.json")) return "package.json not found";
  const pkg = JSON.parse(readFileSync("package.json", "utf8"));
  return JSON.stringify(pkg.scripts ?? {}, null, 2);
}

const report = {
  generatedAt: new Date().toISOString(),
  cwd: cwd(),
  os: `${platform()} ${release()}`,
  node: process.version,
  branch: run("git", ["branch", "--show-current"]),
  status: run("git", ["status", "--short"]),
  lastCommit: run("git", ["log", "-1", "--oneline"]),
  diffStat: run("git", ["diff", "--stat"]),
  packageScripts: readPackageScripts(),
};

console.log(maskSecrets(JSON.stringify(report, null, 2)));

使い方はこれだけ。

mkdir -p scripts
# 上のコードを scripts/collect-bug-context.mjs に保存
node scripts/collect-bug-context.mjs > bug-context.json

出力されたbug-context.jsonを報告の「環境」欄に貼れば、ブランチ・差分・実行できる検証コマンドが一発でそろいます。ただしマスク処理はあくまで保険です。APIキー、顧客データ、本番ログの全文は貼らない。必要な行だけに絞ってください。

証拠とログの添え方

証拠は「多ければ多いほどいい」ではありません。安全に共有できるものを、必要なぶんだけが正解です。

スクリーンショットは、崩れている箇所が分かるように撮ります。画面全体より、はみ出している要素+ブラウザの幅表示が入っているほうが効く。DevToolsでdocument.documentElement.scrollWidth412になっている、みたいな数値が一つあると、文章より強い証拠になります。

ログは全文を貼らないでください。理由は二つ。長すぎるとAIのコンテキストを圧迫して肝心な行が埋もれること、そして全文ログには秘密情報が混ざりやすいことです。貼るのは「エラーが出た行の前後20行」「リクエストID」「再現コマンド」くらいに絞ります。

日付・タイムゾーン・金額みたいな純粋なロジックのバグは、スクショより失敗するテストが最強の証拠です。例えばこんな形。

import { describe, expect, it } from "vitest";
import { exportMonthlyOrderIds } from "../src/export-orders";

describe("exportMonthlyOrderIds", () => {
  it("3月の注文を含み、4月1日0時(UTC)を含まない", () => {
    const orders = [
      { id: "mar-start", createdAt: "2026-03-01T00:00:00.000Z" },
      { id: "mar-end", createdAt: "2026-03-31T23:59:59.999Z" },
      { id: "apr-start", createdAt: "2026-04-01T00:00:00.000Z" },
    ];
    expect(exportMonthlyOrderIds(orders, "2026-03")).toEqual(["mar-start", "mar-end"]);
  });
});

このテストを報告に添えて「まずこれを失敗させてから、ローカルのタイムゾーンに依存しない実装に直して」と頼むと、修正後も同じバグが戻りにくくなります。文章で「月末がおかしい」と書くより、落ちるテスト一個のほうが100倍伝わります。どのバグをテスト化すべきか迷ったら、テスト戦略の優先順位で境界値・データ変換・API契約あたりから守る、という線引きを決めておくとラクです。

Claude Codeに渡すときの一手

人間に渡すならテンプレを埋めるだけで十分です。相手がClaude Codeなら、もう一手だけ足します。「すぐ直さないで」と先に言うことです。

埋めたbug-report.mdbug-context.jsonを渡して、次のプロンプトを添えます。

このbug-report.mdとbug-context.jsonを読んでください。

進め方:
1. まだ編集しない
2. 事実と推測を分ける
3. 原因候補を可能性順に3つ挙げる
4. 各候補を否定できる最小の確認手順を出す
5. 最小再現か失敗テストを先に作る
6. 承認後に最小差分で直す

完了条件:
- 期待結果と実際の結果の差が説明されている
- 失敗テストか再現コマンドが残っている
- 実行した検証コマンドが報告されている
- PRに貼れる根本原因・修正内容・残リスクがある

公式のよくあるワークフローでも、バグ修正のコツとして「再現コマンドを伝える」「再現手順を添える」「断続的か一貫して起きるかを言う」が挙げられています。テンプレの項目とそのまま噛み合います。

一つ注意。自分のアプリのバグ報告と、Claude Code本体の不具合報告は混ぜないこと。セッション付きでClaude Codeチームにフィードバックを送るのは/feedback(別名 /bug)、自分の環境の調子を見るのは/doctor/debugです。テンプレで扱うのはあくまで「自分のコードのバグ」です。

やりがちな失敗5つ(全部やった)

正直に書きます。僕が踏んだ地雷です。

ひとつ目、1つの報告に複数のバグを詰める。ログインも決済もレイアウトも一気に、とやると、相手は広い範囲をいじって差分が膨らみます。1報告1症状に分けるだけで、解決が速くなります。

ふたつ目、ログを貼りすぎる。全文を貼ると親切なつもりが、肝心のエラー行が埋もれ、秘密情報のリスクも上がる。エラー周辺と再現コマンドに絞ります。

みっつ目、期待結果を書かない。これがいちばん多い。「直して」だけだと合格ラインが共有されず、見当違いの修正でも「動いてるじゃん」で通ってしまいます。

よっつ目、「全部見て直して」と丸投げする。範囲を広げると安心する気持ちは分かります。でも実務は逆で、最小再現に絞るほど直りが速い。

いつつ目、影響範囲を書かない。誰が困るバグなのかが無いと、優先度がつけられません。「全ユーザーの決済が止まる」と「一部の表示が崩れる」では、扱いがまるで違います。

修正できたら、根本原因・直した内容・残リスクをPR本文に残します。ここはセッション引き継ぎテンプレートと同じ発想で、次に読む人の調査時間を削るためです。バグ報告とPR引き継ぎは、入口と出口の関係になっています。

よくある質問

Q. バグ報告はどれくらい詳しく書けばいい? A. 長さではなく7項目が埋まっているかで判断します。特に「期待結果」「実際の結果」「最小再現」の3つが揃っていれば、短くても会話が始まります。

Q. 再現手順が安定しない(たまにしか起きない)ときは? A. 「ときどき」と正直に書いた上で、時計・乱数・キャッシュ・リトライ・並列実行のどれかを疑う、と添えます。不安定さを隠す修正(待ち時間を増やすだけ等)を防げます。

Q. ログはどこまで貼っていい? A. エラー周辺の20行前後、リクエストID、再現コマンドまで。全文ログとAPIキー・顧客データは貼りません。値ではなく「どのenv名を使っているか」を書きます。

Q. GitHubのissueテンプレートとして使える? A. そのまま使えます。.github/ISSUE_TEMPLATE/bug_report.mdに置けば、新規issueで自動的にこの型が出ます。チームで書式を揃えると、報告の質が一気に安定します。

Q. Claude Codeに直接バグを直してもらうのと何が違う? A. テンプレは「相手が人でもAIでも通じる事実」を残すのが目的です。Claude Codeに渡すなら「すぐ直さず原因候補を3つ」と先に縛ると、外れた仮説を早く捨てられて、調査の質が上がります。手順の詳細は最初の不具合報告Runbookへ。

実際に試した結果

このテンプレを使い始めてから、僕がレビューで聞き返す回数が目に見えて減りました。

いちばん効いたのは、やっぱりタイトルと「期待結果・実際の結果」です。タイトルに「条件」を入れる癖がつくと、書いている本人が現象を理解しているかどうかが一目で分かる。理解できていない報告は、タイトルがふわっとするんですね。そういう報告は、再現手順から埋め直してもらうようにしました。

Claude Codeに渡すときは、テンプレ+「すぐ直さず原因候補3つ」の組み合わせが安定しました。最初に仮説を3つ出させると、外れたものを早めに捨てられて、修正そのものより前の調査がきれいになります。差分も小さくなり、レビューがコードの良し悪しに集中できるようになりました。

まずは今の自分のリポジトリで、bug-report.mdcollect-bug-context.mjsを置くところから始めてみてください。繰り返し使うプロンプトやレビュー観点まで一式そろえたい人は教材一覧を、チームで報告書式・権限・PRレビューを標準化したい人は研修・相談をのぞいてみてください。調査の進め方そのものは、姉妹記事の最初の不具合報告Runbookに続きます。

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Masa

この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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