Use Cases (更新: 2026/6/7)

動物病院の飼い主向け説明文・予約確認・術後ケア案内をClaude Codeで時短する実務術

動物病院の受付と獣医師向け。飼い主への説明文、予約確認、術後ケア案内をClaude Codeで下書きする手順、コピペ用プロンプト、個人情報の注意点までまとめました。

動物病院の飼い主向け説明文・予約確認・術後ケア案内をClaude Codeで時短する実務術

夕方6時の動物病院。待合室にはまだ3組。受付の手元には、避妊手術を終えた猫の飼い主に渡す「術後ケアの紙」を印刷し直す作業が残っています。前の子のテンプレを開いて、名前を書き換えて、抜糸の日付を直して、エリザベスカラーの注意を足して……。

そこへ電話。明日の予約確認です。終わったらまた紙に戻る。気づけば名前の打ち替えを一か所ミスしていて、「ポチちゃん」宛ての案内に別の子の体重が残っていた。幸い渡す前に気づいたけれど、ヒヤッとしました。

僕はこの「毎回ほぼ同じなのに、毎回ちょっとずつ違う文章を手で作り直す」作業を、Claude Codeにかなり任せられると気づきました。動物病院の受付と獣医師が、飼い主向けの文章づくりで消耗するのをやめるための、実務寄りの話をします。

この記事の要点

  • 動物病院の文章仕事のうち「飼い主向け説明文・予約確認・術後ケア案内」は、型が決まっているのでAIの下書きが効く
  • Claude Codeに任せるのは「下書きと整形」まで。医学的な判断と最終チェックは人が必ず行う
  • コピペで使えるプロンプト雛形と、テンプレを一括生成する検証スクリプトを置いた
  • 飼い主の名前・連絡先・カルテ番号などの個人情報は、原則AIに渡さず「差し込み欄」で後から埋める
  • 1日30分の文章作業が10分に減れば、月で約7時間。受付1人分の負担がまるごと軽くなる

誰のための話か:動物病院の現場像

想定する読者は、1〜3人の獣医師と数名のスタッフで回している町の動物病院です。受付が予約・会計・電話・案内文をぜんぶ抱えていて、獣医師は診療の合間に説明文や紹介状を書いている。そんな規模を思い浮かべています。

この層の困りごとは、はっきりしています。文章は「ゼロから書くほど難しくはないが、毎回作り直すには地味に重い」。ワクチンの案内、デンタルケアの勧め、シニア検診の声かけ、手術前の絶食指示、術後の注意。どれも内容は頭に入っているのに、文字に起こすと5分10分が溶けていきます。

動物病院の文章業務フローを分解する

まず、今の流れを書き出してみます。多くの病院でこうなっているはずです。

  1. 診察・処置が終わる
  2. 獣医師が口頭で飼い主に説明する
  3. 受付または獣医師が、渡す紙や送るメッセージの文章を作る
  4. 名前・日付・薬の量など、その子固有の情報を差し込む
  5. 印刷、または公式LINE・メールで送信する

時間を食っているのは3と4です。とくに3の「文章を作る」は、似た文書を毎回ちょっとだけ直して使い回している病院が多い。ここがAIの下書きと一番相性がいい部分です。

逆に2の「説明そのもの」と、4の「その子の数値を入れる」は人の領域。ここを混ぜると事故ります。理由は後で書きます。

Use case 1:飼い主向けの説明文を下書きする

予防の声かけは、内容が正しくても「上から目線」「不安をあおる」と受け取られると逆効果です。トーンの調整こそAIが得意なところ。

たとえばデンタルケアの案内なら、こんな指示で下書きが出ます。

あなたは町の動物病院の受付です。飼い主さん向けの「歯みがき習慣のおすすめ」案内文を作ってください。
条件:
- 対象は3歳の小型犬の飼い主
- トーンはやさしく、責めない。不安をあおらない
- 読む時間は30秒以内。300字以内
- 「無理に始めず、まず口を触ることに慣らす」段階の話を入れる
- 受診や相談を強制せず、気軽に聞いてくださいで締める
固有名詞・個人情報は入れず、名前は【お名前】、犬種は【犬種】の差し込み欄にする

ポイントは最後の1行です。実際の飼い主名や犬の名前を入れず、【お名前】のような差し込み欄を残させる。こうすると、出てきた文章をそのまま雛形として保存でき、個人情報をAIに渡さずに済みます。

Use case 2:予約確認のメッセージを量産する

予約確認は定型文の塊です。だからこそ、AIに「複数パターンをまとめて作って」と頼むと一気に楽になります。初診・再診・ワクチン・手術前で、必要な注意書きが変わるからです。

下の表は、種類ごとに変える項目を整理したものです。これをAIへの指示にそのまま貼ると、抜け漏れが減ります。

予約種別入れる注意書き差し込み欄
初診持ち物(過去の検査結果)、来院前の検便日時・院名
再診前回からの様子の変化メモを持参日時・担当
ワクチン体調が悪い日は延期可、当日の安静日時・ワクチン種別
手術前絶食・絶水の開始時刻、同意書日時・絶食開始時刻

差し込み欄を分けておくと、AIには「型」だけ作らせ、日時や絶食開始時刻といった固有の数字は人が後から入れる、という安全な分担になります。

Use case 3:術後ケア案内を症例別にそろえる

術後の案内は、ミスが一番こわい領域です。だからAIには「文章の骨格と読みやすさ」だけ任せ、医学的な中身は獣医師が確定させます。

僕がやっている分担は、こんなチェックリストです。

  • 投薬の回数・量・期間は獣医師が記入する(AIに数字を作らせない)
  • エリザベスカラーや安静の期間は症例に合わせて人が確定する
  • 「こうなったらすぐ連絡」の危険サインは病院の基準を貼り付ける
  • 抜糸・再診の日付は差し込み欄にして空欄で出力させる
  • AIには「やさしく短く、箇条書きで」だけ頼む

骨格づくりだけでも、白紙から書くよりずっと速い。中身の安全は人が握ったまま、文章の手間だけ削れます。

AIに任せる範囲と、人が必ず判断する範囲

ここが一番大事なので、表で線を引きます。

作業Claude Codeに任せる人が必ず判断する
説明文の下書き文章の構成・トーン・長さ内容が医学的に正しいか
予約確認定型文の量産・整形日時・絶食時刻などの固有値
術後ケア案内読みやすい骨格づくり投薬量・危険サイン・期間
多言語対応英語などへの一次翻訳専門用語の最終確認

線引きの原則はシンプルです。間違えたら動物の体に関わること、飼い主とのトラブルになることは、ぜんぶ人が決める。 AIは「速く読みやすく整える係」にとどめます。この境界を曖昧にしないことが、医療現場でAIを安全に使う土台です。基本的な頼み方は非エンジニア向けのClaude Code入門も参考になります。

導入前と導入後で何が変わったか

導入前は、案内文ひとつ作るのに「過去の似た文書を探す→開く→直す→固有名詞を確認する」で5〜10分。1日に数枚あると、受付の集中力が細切れに削られていました。電話と来客の合間に文章を作るので、打ち替えミスも起きやすい。

導入後は、よく使う案内文の雛形をあらかじめAIに作らせて、差し込み欄だけ残した状態で保存しています。当日は名前と日付を埋めるだけ。文章を「考える」時間がほぼゼロになりました。新しい案内が必要になっても、プロンプトを1つ投げれば30秒で土台が出ます。

簡単なROIの目安

ざっくり計算します。案内文・確認文づくりに1日30分かけていた受付が、雛形化で1日10分まで減ったとします。

  • 削減できる時間:1日20分 × 月22営業日 ≒ 月7.3時間
  • 受付の時給を1,300円とすると、月およそ9,500円分の人件費に相当
  • 浮いた時間で、待合の声かけや会計の確認に回せる

金額より大きいのは、受付が文章で頭を割かれなくなることです。ミスが減り、来院した飼い主への対応が丁寧になる。ここが動物病院では効いてきます。

コピペで使える:雛形を一括生成する検証スクリプト

「毎回プロンプトを打つのも面倒」という人向けに、よく使う案内の種類を一覧から一括で下書きさせる仕組みを置きます。Node.jsとAnthropicのAPIキーがあれば動きます。出力はファイルに保存されるので、あとから差し込み欄を埋めるだけです。

まず準備します。

mkdir clinic-letters && cd clinic-letters
npm init -y
npm install @anthropic-ai/sdk

次に本体(generate.mjs)。配列に「案内の種類」を並べておくと、それぞれの下書きを out/ に書き出します。個人情報は一切渡さず、差し込み欄だけ残すよう指示しています。

import Anthropic from "@anthropic-ai/sdk";
import { mkdir, writeFile } from "node:fs/promises";

const client = new Anthropic();

// 作りたい案内の種類だけを並べる。個人情報は書かない。
const letters = [
  { id: "vaccine-reminder", topic: "犬の混合ワクチン接種のご案内" },
  { id: "dental-care", topic: "猫の歯みがき習慣のすすめ" },
  { id: "post-surgery", topic: "避妊手術後のおうちでのケア注意(骨格のみ)" },
];

const rules = [
  "町の動物病院の受付が飼い主に渡す案内文を書く",
  "やさしく短く、責めず不安をあおらない。300字以内",
  "飼い主名や犬猫の名前は【お名前】【ペットの名前】の差し込み欄にする",
  "日付・投薬量・絶食時刻など固有の数字は具体値を書かず【 】の空欄にする",
].join("。");

await mkdir("out", { recursive: true });

for (const letter of letters) {
  const res = await client.messages.create({
    model: process.env.ANTHROPIC_MODEL || "claude-sonnet-4-6",
    max_tokens: 800,
    system: rules,
    messages: [{ role: "user", content: `テーマ: ${letter.topic}。この案内文の下書きを作って。` }],
  });
  const text = res.content.find((b) => b.type === "text")?.text ?? "";
  await writeFile(`out/${letter.id}.txt`, text, "utf8");
  console.log(`書き出し完了: out/${letter.id}.txt`);
}

実行はこれだけです。

node generate.mjs

out/ の中に3つの下書きができます。固有値はすべて空欄で出るので、印刷前に受付が名前と日付を埋め、術後ケアは獣医師が投薬量を確定する。これで「文章を作る手間」だけを安全に削れます。種類を足したいときは letters の配列に1行追加するだけです。プロンプトの精度を上げたいときはプロンプト設計の応用が役立ちます。

なお、案内文の決まりごと(トーン・文字数・差し込み欄のルール)はプロジェクトのCLAUDE.mdに書いておくと、毎回指示し直さずに済みます。書き方はCLAUDE.mdベストプラクティスにまとめています。

個人情報とセキュリティの注意点

動物病院でも、飼い主の氏名・住所・電話番号、カルテ番号は個人情報です。ペットの名前も、飼い主の特定につながる情報として扱うのが安全です。

守るべき線は、ひとつだけ覚えてください。AIに渡すのは「型」だけ。固有の情報は差し込み欄にして、人が後から埋める。 上のプロンプトとスクリプトを差し込み欄方式にしているのは、このためです。

加えて、業務で使うなら入力データを学習に使わない設定のプランか、API経由での利用を選ぶこと。無料の一般向けチャットに飼い主情報を貼り付けるのは避けます。院内の運用ルールとして「個人情報はAIに入れない」を1行決めておくだけで、事故の大半は防げます。詳しい安全な使い方はClaude Code入門ガイドも合わせて読んでください。公式の情報はAnthropicのプライバシーポリシーで確認できます。

よくある質問

Q. パソコンが苦手な受付でも使えますか。 A. 案内文の下書きだけなら、プロンプトをコピペして送るだけです。スクリプトは院長や詳しい人が一度作れば、あとは「種類を1行足す」だけで運用できます。

Q. AIが書いた医学的な内容をそのまま渡して大丈夫ですか。 A. だめです。投薬量・危険サイン・安静期間など、体に関わる数字と判断は必ず獣医師が確定してください。AIは文章の骨格と読みやすさの担当です。

Q. 飼い主の名前を入れて作ってもらった方が楽では。 A. 楽ですが、個人情報をAIに渡すことになります。差し込み欄方式なら、雛形を再利用でき、情報漏れの心配もありません。長い目で見るとこちらが速くて安全です。

Q. 英語の飼い主向けにも使えますか。 A. 一次翻訳には使えます。ただし専門用語や注意書きは、最後に人が確認してください。日々の効率化のコツは生産性アップのTipsも参考になります。

実際に試した結果

僕は実際に、デンタルケア・ワクチン・術後ケアの3種類を上のスクリプトで下書きさせてみました。確かめたのは2点です。1つ目は、固有の数字を本当に空欄で返すか。【 】の指示を入れると、投薬量や日付を勝手に作らず、ちゃんと空欄で返してきました。これは安全面で大きい。

2つ目は、トーンです。「責めない・不安をあおらない」と1行足すだけで、デンタルケアの案内が「やらないと歯が悪くなります」から「まずは口を触ることに慣らすところから」へ、かなり柔らかくなりました。

正直、最初は「術後の案内をAIに触らせるのは怖い」と思っていました。でも、骨格だけ作らせて中身は人が握る、と割り切ったら不安は消えました。文章を考える時間が減った分、飼い主への声かけにゆとりが戻ったのが、一番の収穫です。院内でルール化して使うなら、研修・相談の窓口で運用設計から相談できます。

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Masa

この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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