Use Cases (更新: 2026/6/7)

人材派遣会社のマッチングメモと案件紹介文をClaude Codeで30分から5分にする実務手順

人材派遣のコーディネーター向け。求職者のヒアリング内容から案件紹介文とマッチングメモを生成AIで下書きする手順を、プロンプト雛形・チェックリスト・検証コード付きで紹介。

人材派遣会社のマッチングメモと案件紹介文をClaude Codeで30分から5分にする実務手順

金曜の17時。求職者との面談が終わったばかりで、頭の中には「この人、たぶんあの倉庫の案件が合う」という感触だけがある。でも紹介文はまだ白紙。来週月曜の朝イチで5件、別々の求職者に案件を送らないといけない。

僕が人材派遣のコーディネーターをしている友人の作業を横で見せてもらったとき、いちばん時間を食っていたのがここでした。面談メモはメモ帳にバラバラ。案件紹介文は、過去に送った文章をコピペして、名前と時給と勤務地だけ差し替える。読み返すと「前の求職者向けの言い回しがそのまま残ってた」なんてことも起きていました。

しかも、急いで作った紹介文ほど薄い。「駅近・高時給・未経験OK」みたいな、どの案件にも貼れる言葉が並ぶだけ。求職者からの返信率も上がりません。

この記事では、その「マッチングメモと案件紹介文づくり」を、Claude Codeと生成AIに下書きさせて、人が仕上げに集中する形を作ります。コードの話は最小限。代わりに、コピペで使えるプロンプトと、面談メモを構造化するチェックリスト、出力をふるいにかける検証スクリプトを置いておきます。

この記事の要点

  • 人材派遣会社のコーディネーターが、面談メモと案件紹介文を作る時間を、1件あたり30分前後から5分前後まで縮めるのが狙い。
  • 生成AIに任せるのは「下書きの量産」と「言い回しの整形」まで。求職者と案件の相性、時給や条件の最終確認は人が握る。
  • そのまま貼れるプロンプト雛形を、マッチングメモ用と紹介文用の2種類用意した。
  • 出力に個人名や時給の数字が紛れ込んでいないかを機械でチェックする、20行の検証スクリプトを載せた。
  • 個人情報の扱いは別枠で。氏名・電話・現住所はAIに渡す前に伏字へ置き換える運用にする。

人材派遣会社のコーディネーターは、何にいちばん時間を取られているか

まず読者像をはっきりさせます。この記事が想定しているのは、登録型派遣や紹介予定派遣で、求職者の面談から案件提案、企業との調整までを一人で回しているコーディネーターです。1日に3〜6人と面談し、その合間に5〜15件の案件紹介文を送る。営業も兼ねている人も多いはずです。

業務フローをざっくり並べると、だいたいこうなります。

  1. 求職者と面談し、希望条件・経歴・人柄をヒアリングする
  2. ヒアリング内容をマッチングメモにまとめ、社内システムやスプレッドシートに残す
  3. 保有案件の中から相性の良いものを2〜3件ピックアップする
  4. 求職者向けに案件紹介文を書き、メールやチャットで送る
  5. 反応を見て、企業側へ推薦状や人物紹介を出す

このうち2と4が、文章を書く作業です。面談そのものや、相性を見抜く目利きは人にしかできません。でもメモと紹介文の「文字起こしと整形」は、毎回ほぼ同じ手順の繰り返しです。ここが生成AIの出番でした。

よくある手戻りと困りごと

横で見ていて、手戻りが起きるパターンはだいたい決まっていました。

  • コピペ事故: 過去の紹介文を流用したら、前の求職者の名前や別案件の時給が残っていた。送信後に気づいて謝罪メール。
  • 薄い紹介文: 急いで書くと「アットホームな職場」「未経験歓迎」だけになり、その人の経歴に刺さる一文が抜ける。返信が来ない。
  • メモの粒度バラバラ: 忙しい日のメモは箇条書き3行、余裕がある日は10行。後で見返したとき、判断材料が足りない。
  • 二度手間: 求職者向けの紹介文と、企業向けの推薦文を、ゼロから2回書いている。元ネタは同じなのに。

導入前は、この4つが毎週どこかで起きていました。生成AIで下書きを作る形にしてからは、メモの粒度が一定になり、紹介文に「その人ならではの一文」が必ず入るようになりました。コピペ事故は、後で出す検証スクリプトが拾ってくれます。

Use case 1: 面談メモをマッチングメモへ構造化する

面談直後の生メモは、たいてい文章になっていません。「前職コールセンター3年、土日休み希望、通勤30分以内、製造より接客寄り、ブランクなし」みたいな殴り書きです。これを、後から検索・比較できる形に整えるのが最初の仕事です。

任せる範囲は「整形」まで。判断材料の重み付けは人がやります。下のチェックリストの項目を埋める形に変換させると、メモの粒度が毎回そろいます。

  • 希望職種・避けたい職種
  • 勤務地と通勤許容時間
  • 希望時給・最低ライン
  • 勤務曜日・シフトの条件
  • 経歴の要約(直近の職種と年数)
  • 本人が言葉にした「ゆずれない条件」
  • コーディネーターから見た補足(人柄・定着しそうか)

最後の項目だけは、AIに書かせず人が一言入れます。ここが派遣の価値だからです。

Use case 2: 案件紹介文の下書きを量産する

マッチングメモと案件情報がそろえば、紹介文の下書きはAIに任せられます。ポイントは、求職者の経歴と案件の特徴を結びつけた「あなたにこの案件を勧める理由」を1文入れさせること。ここが入るだけで、テンプレ感が消えます。

下の表は、AIに任せる範囲と、人が必ず確認する範囲の線引きです。

工程AIに任せる人が必ず判断する
メモ整形箇条書きへの構造化人柄・定着の見立て
案件選定候補の絞り込み補助最終的な紹介可否
紹介文の下書き文章の生成と整形時給・勤務地の数字確認
トーン調整丁寧さ・長さの調整求職者への送信判断
企業向け推薦文紹介文からの転用下書き企業に出す前の事実確認

数字の確認を人に残すのは理由があります。生成AIは、それらしい時給や日付をもっともらしく書いてしまうことがあるからです。元データにない数字は、必ず疑ってかかります。

Use case 3: 求職者向け紹介文から企業向け推薦文へ転用する

同じ人物について、求職者には「あなたに合う理由」を、企業には「採用すべき理由」を書きます。視点は逆ですが、元ネタは同じマッチングメモです。求職者向けの下書きができたら、それを企業向けに書き換えさせると、二度手間が消えます。

転用のときは、求職者本人にしか見せない情報(最低時給ライン、転職理由の生々しい部分)を企業向けから落とすよう、プロンプトで明示します。落とし忘れは事故になるので、ここも検証スクリプトで拾います。

Claude Codeをまだ触ったことがなければ、先に Claude Codeのはじめ方非エンジニアのためのClaude Code に目を通しておくと、この後のプロンプトがすっと入ります。

コピペで使えるプロンプト雛形

まずマッチングメモ用。面談直後の生メモを貼り付けて使います。氏名や電話番号は、貼る前に伏字へ置き換えてください(理由は後述)。

あなたは人材派遣会社のコーディネーターの補佐です。
以下の面談メモを、後から検索・比較できるマッチングメモに整形してください。

# ルール
- 下の項目を必ず埋める。情報がない項目は「未確認」と書く。
- メモにない時給・勤務地・日付を創作しない。
- 求職者の人柄・定着の見立ては書かず、空欄にして人が追記する。

# 出力項目
- 希望職種 / 避けたい職種
- 勤務地・通勤許容時間
- 希望時給・最低ライン
- 勤務曜日・シフト条件
- 経歴要約(直近の職種と年数)
- ゆずれない条件
- コーディネーター補足(空欄)

# 面談メモ
<<ここに生メモを貼る>>

次に案件紹介文用。整形済みのマッチングメモと、案件情報を渡します。

あなたは人材派遣会社のコーディネーターの補佐です。
求職者向けの案件紹介文を、丁寧語で300〜400字の下書きにしてください。

# 必須要素
- 冒頭に、この求職者にこの案件を勧める理由を1文。経歴と案件特徴を結びつける。
- 仕事内容・勤務地・時給・シフトを箇条書きで。
- 数字(時給・日数・期間)は案件情報のままにし、創作しない。
- 最後に、次の一手(質問・面談日程の相談)を一文で促す。

# マッチングメモ
<<整形済みメモを貼る>>

# 案件情報
<<案件の条件を貼る>>

この2つを使い分けるだけで、メモの粒度と紹介文の構成が安定します。プロンプトの磨き方をもう少し深掘りしたい人は プロンプトエンジニアリング応用編 も合わせて読んでみてください。

出力をふるいにかける検証スクリプト

下書きが量産できるようになると、今度は「前の求職者の名前が残っていないか」が気になります。これは人の目より機械のほうが得意です。Node.jsで、生成された紹介文に禁止ワード(過去の求職者名や別案件の地名など)が混ざっていないかをチェックする20行ほどのスクリプトを置きます。@anthropic-ai/sdk などは不要で、Node.jsだけで動きます。

// check-draft.mjs
// 使い方: node check-draft.mjs draft.txt
import { readFile } from "node:fs/promises";

// 出力に混ざってはいけない語を並べる(過去の求職者名・別案件の地名など)
const forbidden = ["田中様", "前案件", "横浜支店", "時給1500円"];

const file = process.argv[2] ?? "draft.txt";
const text = await readFile(file, "utf8");

const hits = forbidden.filter((word) => text.includes(word));

if (hits.length === 0) {
  console.log("OK: 禁止ワードは見つかりませんでした。");
} else {
  console.log("要確認: 次の語が紹介文に残っています ->", hits.join(", "));
  process.exitCode = 1; // 自動化で止めたいときに使う
}

forbidden の配列を、自分の担当案件に合わせて書き換えるだけです。送信前にこれを一回通すだけで、冒頭のコピペ事故はほぼ消えます。CLAUDE.mdにこの検証を組み込む書き方は CLAUDE.mdベストプラクティス が詳しいです。

個人情報・セキュリティの注意点

ここはコーディネーターにとって最重要です。求職者の氏名・電話番号・現住所・前職の企業名は、生成AIにそのまま渡さない運用にします。理由は単純で、外部のAIサービスに個人を特定できる情報を送ること自体が、登録者との約束に反する場合があるからです。

具体的には、AIに渡す前にこうします。

  • 氏名は「Aさん」「求職者X」に置き換える
  • 電話・メール・住所は項目ごと削除する
  • 前職の企業名は「大手コールセンター」のように業種だけにする

下書きが返ってきたら、伏字を実名に差し戻すのは人の手元のテキストエディタで行います。会社として生成AIを使うルールがまだ無い場合は、先に利用範囲を決めてから。個人情報保護委員会が公開している個人情報保護法の基本にも一度目を通しておくと、社内ルールの土台になります。

導入前と後、ROIの目安

数字はあくまで目安です。友人のチームで、紹介文1件あたりの作成時間を測りました。

  • 導入前: 過去文の流用と手直しで、1件およそ20〜30分
  • 導入後: 下書き生成と仕上げで、1件およそ5〜8分

仮に1日10件、コーディネーター1人で回しているとして、1件20分の短縮なら1日およそ200分、3時間以上が空きます。月20営業日なら60時間超。その時間を、面談数を増やすか、求職者へのフォロー連絡に回せます。

もちろん、最初の数日はプロンプト調整と禁止ワードの整備で逆に時間がかかります。元が取れるのは2週目あたりからでした。日々の細かい時短のコツは 生産性アップのコツ にもまとめてあります。

会社全体で派遣事業の文章業務を見直したい場合は、プロンプト設計と運用ルールづくりを一緒に進める研修・相談から入ると、現場に定着しやすいです。

よくある質問

Q. 生成AIに任せると、紹介文が機械的にならないですか。 A. なります。ただし、それは「経歴と案件を結ぶ一文」を必須にしていないときです。プロンプトで勧める理由を1文入れさせると、テンプレ感はかなり消えます。最後の仕上げは人がやる前提です。

Q. うちの社内システムにAIを直接つなげる必要がありますか。 A. 不要です。まずはメモと案件情報をコピペで渡し、下書きを受け取るだけで十分回ります。システム連携は、運用が固まってから検討すれば間に合います。

Q. 時給や勤務地をAIが間違えませんか。 A. 間違えます。だから数字の確認は人の工程に残しています。生成AIは、元データにない数字をもっともらしく書くことがあるので、送信前に必ず案件情報と突き合わせてください。

Q. 求職者の名前を伏字にすると、文章が不自然になりませんか。 A. 下書きの段階では「Aさん」で問題ありません。返ってきた文章の「Aさん」を、自分のエディタで実名に置換するだけです。検索置換で一括変換できます。

実際に試した結果

僕自身、友人から面談メモを5件分もらって、上のプロンプトと検証スクリプトを通してみました。確かめたかったのは3つ。下書きの所要時間、コピペ事故の検出、伏字運用の手間です。

紹介文の下書きは、1件あたりおおむね5分前後で形になりました。いちばん効いたのは「勧める理由を1文」の指定で、これがあるだけで返信したくなる文章に変わります。検証スクリプトには、わざと前の求職者名を残した文章を食わせたところ、ちゃんと「要確認」で止まってくれました。伏字運用は、最初こそ面倒に感じましたが、置換を1回挟むだけなので2日で慣れました。

逆に、案件の数字をAIが微妙に丸めてしまう場面が1回ありました。時給の下二桁が変わっていたんです。やはり数字の最終確認は人に残して正解でした。下書きはAI、判断と数字は人。この線引きを守るかぎり、マッチングメモと案件紹介文づくりは確実に軽くなります。

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この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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