Getting Started (更新: 2026/6/7)

Prisma入門:include/selectとN+1回避でクエリを型安全にする書き方

Prisma ORMの型安全クエリを実例で。include/selectでリレーションを取り、N+1を防ぎ、transactionで整合性を守る。Claude Codeに任せる勘所も。

Prisma入門:include/selectとN+1回避でクエリを型安全にする書き方

「記事一覧、ちゃんと出てるな」

ローカルでそう確認して安心していたら、本番で一覧ページが妙に遅い。ログを見たら、20件の記事を出すために、SQLが41回飛んでいました。記事を取るクエリが1回、その記事それぞれの著者名を取るクエリが20回、カテゴリを取るのが20回。合わせて41回。

これがN+1問題です。僕も最初にやらかしました。1件あたり数ミリ秒だから、ローカルの数件では気づけない。データが増えてから、じわっと効いてくる。

Prisma ORM(TypeScriptからDBを型付きで触る道具)には、これを防ぐ書き方がちゃんと用意されています。includeselectの使い分けです。今日はそこを中心に、コピペで動くクエリを並べながら解説します。

この記事の要点

  • Prismaはschema.prismaに「DBの形」を宣言すると、型付きのクエリ関数(Prisma Client)が自動で生える。フィールド名を変えればエディタが赤線で教えてくれる。
  • リレーション(記事→著者みたいな繋がり)を一緒に取るときはincludeselectincludeは「全部のせ+関連」、selectは「指定したものだけ」。公開APIはselectが基本。
  • N+1(取得が芋づる式に増える事故)は、関連をinclude/selectでまとめて取れば1〜2回のクエリに畳める。ループの中でクエリを呼ばないのが鉄則。
  • 「更新+通知+ログ」みたいに、まとめて成功か失敗かにしたい処理は$transactionで囲む。ただし中でメール送信などの遅い処理はしない。
  • スキーマ設計そのものはテーブル設計の判断軸、移行運用はDBマイグレーション運用へ。この記事は「Prismaでのクエリの書き味」に絞る。

Prismaが「型安全」って、どういうこと

普通、DBの中身はただの文字列やテーブルです。アプリ側のコードからすると、user.namae(タイプミス)と書いても、実行するまで誰も気づかない。本番で初めて「そんなカラムない」と落ちる。

Prismaは、schema.prismaという1枚のファイルに「DBにはこういうテーブルとカラムがある」と宣言させます。すると、そこからTypeScriptの型と、その型に沿ったクエリ関数が自動生成されます。

つまり、user.namaeと打った瞬間にエディタが赤線を引く。post.authorと書けば、そのauthorUser型だと分かっているから、.nameまで補完が効く。DBの構造とコードがズレたら、実行前に分かる。これが「型安全」の中身です。

身近に例えると、宛名ラベルの印刷に似ています。手書きだと住所を間違えても投函するまで気づかない。テンプレートに差し込み印刷するなら、項目名が違えば印刷前にエラーが出る。Prismaは後者です。

公式の入口はPrisma ORM docs。クエリの書き方を確かめたいときは、まずここを見ると、Claude Codeの出力が古い書き方になっていないか照合できます。

include と select:関連データの取り方

ここがPrismaを使ううえで、いちばん最初に迷うところです。記事を取るとき、著者名やカテゴリも一緒に欲しい。そのとき使うのがincludeselectの2つ。役割が違います。

書き方取れるもの向いている場面
includeそのモデルの全カラム + 指定した関連開発中、社内ツール、全部欲しいとき
select指定したカラムだけ(関連も指定可)公開API、一覧、返したくない列があるとき

言葉より、コードのほうが早いです。

// include:Postの全カラム + 著者を丸ごと取る
const post = await prisma.post.findUnique({
  where: { slug: "hello" },
  include: { author: true },
});
// post.body も post.author.email も全部入っている

// select:欲しいカラムだけ。author も name だけ
const card = await prisma.post.findUnique({
  where: { slug: "hello" },
  select: {
    id: true,
    title: true,
    author: { select: { name: true } },
  },
});
// card.body は存在しない(型レベルで弾かれる)。author も name のみ

ここが効くのは、返してはいけないデータを返さないという点です。Userにパスワードハッシュやメールアドレスが入っているとき、include: { author: true }だと、それがAPIレスポンスに混ざります。selectnameだけ指定しておけば、そもそも取得しない。速度にもセキュリティにも効きます。

僕のルールはシンプルで、「人に見せるエンドポイントはselect、自分しか見ない管理スクリプトはincludeで雑に」。迷ったらselectにしておけば、後で「なんでメアドが漏れてるの」と青ざめずに済みます。

N+1問題を、includeで畳む

冒頭の41回クエリ。あれは、こういうコードで起きます。やりがちなので、まず「ダメな例」を見てください。

// アンチパターン:N+1が起きる書き方
const posts = await prisma.post.findMany({ take: 20 }); // ① 1回

for (const post of posts) {
  // ② ループの中で毎回クエリ → 20回
  const author = await prisma.user.findUnique({
    where: { id: post.authorId },
  });
  console.log(post.title, author?.name);
}
// 合計 1 + 20 = 21回。カテゴリも足すと41回

問題は、ループの中でクエリを呼んでいること。記事が増えるほどクエリも増えます。ローカルの3件では「速いね」で済み、本番の数千件で詰まる。気づきにくいのは、コードが素直に読めてしまうからです。

直し方は、最初の1回で関連も一緒に取ること。Prismaは関連をinclude/selectすると、内部で効率の良いクエリにまとめてくれます。

// 正しい書き方:関連をまとめて取る
const posts = await prisma.post.findMany({
  take: 20,
  select: {
    title: true,
    author: { select: { name: true } },          // 著者をまとめて取得
    categories: { select: { category: { select: { name: true } } } },
  },
});

for (const post of posts) {
  // ここではクエリを呼ばない。もう全部メモリにある
  console.log(post.title, post.author.name);
}
// クエリは数回で済む。ループ内はゼロ

ポイントは「ループに入る前に、必要なデータを取り切る」。これだけでN+1の9割は消えます。Claude Codeにクエリを書かせたときも、僕は真っ先に「formapの中でprisma.を呼んでいないか」を見ます。呼んでいたら、ほぼN+1です。

リレーションそのものの考え方(1対多か多対多か、中間テーブルが要るか)はテーブル設計の判断軸で扱っています。この記事は「設計済みの関連をどう取るか」に集中します。

コピペで動く最小セット

ここまでの話を、手元で動かせる形にまとめます。SQLiteなので、追加のDBサーバーは不要です。Node.jsだけで動きます。

まず準備。

mkdir prisma-demo && cd prisma-demo
npm init -y
npm install @prisma/client
npm install -D prisma tsx typescript
echo 'DATABASE_URL="file:./dev.db"' > .env
mkdir prisma

次にスキーマ。記事・著者・カテゴリの最小構成です。@@indexは「よく絞り込む列に検索の目印を付ける」もの。一覧の表示が速くなります。

// prisma/schema.prisma
generator client {
  provider = "prisma-client-js"
}

datasource db {
  provider = "sqlite"
  url      = env("DATABASE_URL")
}

model User {
  id    String @id @default(cuid())
  email String @unique
  name  String
  posts Post[]
}

model Post {
  id          String    @id @default(cuid())
  slug        String    @unique
  title       String
  body        String
  status      String    @default("DRAFT")
  publishedAt DateTime?
  authorId    String
  author      User      @relation(fields: [authorId], references: [id])
  categories  PostCategory[]

  @@index([status, publishedAt]) // 公開一覧の WHERE/ORDER BY に効く
}

model Category {
  id    String         @id @default(cuid())
  slug  String         @unique
  name  String
  posts PostCategory[]
}

model PostCategory {
  postId     String
  categoryId String
  post       Post     @relation(fields: [postId], references: [id], onDelete: Cascade)
  category   Category @relation(fields: [categoryId], references: [id], onDelete: Cascade)

  @@id([postId, categoryId])
}

スキーマからDBとClientを作ります。

npx prisma migrate dev --name init

あとはクエリを書いて実行するだけ。著者とカテゴリを一緒に取り、件数も同時に数えます。

// demo.ts
import { PrismaClient } from "@prisma/client";

const prisma = new PrismaClient();

async function main() {
  // 著者を作りつつ、記事を1本作る
  const author = await prisma.user.upsert({
    where: { email: "[email protected]" },
    update: {},
    create: { email: "[email protected]", name: "Masa" },
  });

  await prisma.post.create({
    data: {
      slug: `hello-${Date.now()}`,
      title: "はじめてのPrisma",
      body: "本文です",
      status: "PUBLISHED",
      publishedAt: new Date(),
      authorId: author.id,
    },
  });

  // 公開記事を、著者名つきで一覧。N+1にならない取り方
  const posts = await prisma.post.findMany({
    where: { status: "PUBLISHED" },
    orderBy: { publishedAt: "desc" },
    select: {
      title: true,
      publishedAt: true,
      author: { select: { name: true } },
    },
  });

  console.log(posts);
}

main().finally(() => prisma.$disconnect());
npx tsx demo.ts

posts[0].author.nameまで型が効いているのが、エディタで触ると分かります。author.emailを足そうとすると、selectに入れていないので赤線が出る。これがPrismaの普段の書き味です。

$transaction:まとめて成功か、まとめて失敗か

記事を「公開」するとき、やりたいことが3つあるとします。記事のステータスを更新する、著者に通知を作る、監査ログを残す。ここで怖いのは、途中で失敗することです。ステータスだけ変わって通知が作られない、みたいな中途半端な状態が残ると、後でデータの辻褄が合わなくなる。

そこで$transactionで囲みます。中の処理は「全部成功」か「全部なかったことに(ロールバック)」のどちらかになります。

// 公開処理:3つをまとめて、成功か失敗かに揃える
export async function publishPost(postId: string) {
  return prisma.$transaction(async (tx) => {
    const post = await tx.post.findUnique({
      where: { id: postId },
      select: { id: true, title: true, status: true, authorId: true },
    });

    if (!post) throw new Error("記事が見つかりません");
    if (post.status === "PUBLISHED") return post; // すでに公開済みなら何もしない

    const published = await tx.post.update({
      where: { id: post.id },
      data: { status: "PUBLISHED", publishedAt: new Date() },
      select: { id: true, title: true, status: true, publishedAt: true },
    });

    await tx.notification.create({
      data: {
        userId: post.authorId,
        type: "POST_PUBLISHED",
        message: `${post.title} を公開しました`,
      },
    });

    return published;
  });
}

tx(トランザクション用のClient)を使うのがコツです。中でprismaではなくtxを呼ぶことで、3つの操作が同じトランザクションに乗ります。

一方で、独立した読み取りを2つまとめたいだけなら、配列を渡す軽い書き方もあります。一覧と総件数を同時に取るときの定番です。

const [items, total] = await prisma.$transaction([
  prisma.post.findMany({ where: { status: "PUBLISHED" }, take: 20 }),
  prisma.post.count({ where: { status: "PUBLISHED" } }),
]);

ひとつだけ、強く言いたい落とし穴があります。トランザクションの中でメール送信や外部API呼び出しをしないこと。トランザクションはDBの接続を握り続けます。中で遅いメール送信を待つと、その間ずっと接続が塞がり、アクセスが増えたときにデッドロックや性能低下を招きます。通知を「DBに記録する」まではトランザクション内でいい。でも「実際に送る」のは外に出す。送信待ちのレコードを別テーブル(Outbox)に積んで、別のワーカーに処理させるのが安全です。公式のTransactions and batch queriesにも同じ注意が書かれています。

こんな場面で効く(3つ)

1. コンテンツサイトの記事一覧 公開記事を新しい順に20件、著者名とカテゴリ付きで出す。ここでselectを使って著者のnameだけ取れば、メアドや下書き本文を漏らさず、N+1も起きません。@@index([status, publishedAt])があるので絞り込みと並べ替えも速い。

2. SaaSのワークスペース機能 複数チームが同じDBを共有するとき、すべてのクエリにwhere: { tenantId }が入っていないと、他社のデータが見えてしまう。Claude Codeにクエリを書かせたら、「全クエリにtenantId条件が入っているか」を必ずレビューします。型では防げない、人間が見る領域です。

3. 決済後の権限付与 「支払い完了→プラン更新→請求ログ記録」を$transactionでまとめる。さらに、同じWebhookが2回来ても二重に付与しないよう、処理済みIDを記録して弾く。お金が絡むところは、整合性を型ではなくトランザクションで守ります。

僕がやらかした失敗3つ

正直に書きます。Prismaを使い始めた頃のクエリは、事故だらけでした。

ひとつ目は、さっきのN+1です。一覧ページでmapの中にprisma.user.findUniqueを書いていた。ローカルでは爆速、本番で激重。以来、「ループの中でprisma.を見たら赤信号」と体に刻みました。

ふたつ目は、include: trueの乱用です。とりあえず全部のせれば動くので、関連を片っ端からincludeしていた。結果、APIレスポンスにUserのメアドや内部フラグが混ざっていて、後から「これ外に出してるよ」と指摘されて冷や汗。公開する出口はselectに統一しました。

みっつ目は、トランザクションの中でメールを送ったこと。「ついでだから」と公開トランザクションの中に送信処理を入れたら、SMTPが詰まった日にDB接続が枯れて、サイト全体が固まりました。送信はトランザクションの外。これは痛い目で覚えました。

Claude Codeにクエリを任せるときの勘所

Prismaのクエリは定型が多いので、Claude Codeに書かせると速いです。ただ、出力をそのまま信じると、上の失敗をAIも普通にやります。僕が必ず見る観点を、そのままプロンプトにしておくと楽です。

このPrismaクエリをレビューしてください。

- for / map の中で prisma. を呼んでいないか(N+1の兆候)
- 公開エンドポイントで include: true を使っていないか。select で必要な列だけにできるか
- findMany に take の上限があるか(ユーザー入力をそのまま渡していないか)
- $transaction の中で外部API・メール送信・遅い処理をしていないか
- マルチテナントなら全クエリに tenantId 条件が入っているか
- $queryRawUnsafe を使っているなら、なぜ必要か。説明できないなら使わない

生SQLを使う場面についても一言。集計など、Prisma Clientで書きにくい処理は生SQLに頼ることがありますが、ユーザー入力を文字列で連結すると一発でSQLインジェクションの穴が空きます。$queryRawのタグ付きテンプレートかPrisma.sqlを使えば、値が安全に差し込まれます。

import { Prisma } from "@prisma/client";

// 安全:値はテンプレートのプレースホルダ経由で渡る
const rows = await prisma.$queryRaw<{ authorId: string; postCount: bigint }[]>(
  Prisma.sql`
    SELECT "authorId", COUNT(*) AS "postCount"
    FROM "Post"
    WHERE "status" = ${"PUBLISHED"}
    GROUP BY "authorId"
    ORDER BY "postCount" DESC
    LIMIT ${10}
  `
);

マイグレーションをどう運用するか(db pushで済ませない、生成されたSQLをPRで読む、ロールバックの手順)は、それ自体で1記事ぶんの重さがあります。そちらはDBマイグレーション運用の事故を防ぐにまとめたので、本番に出す前に目を通してください。Claude Codeの基本操作から入りたい人はClaude Code入門、Prismaより軽いORMと迷っている人はDrizzle ORM実装も参考になります。

よくある質問

Q. includeとselectは、結局どっちを使えばいい? A. 公開APIや一覧はselect、自分しか見ない管理スクリプトはincludeで雑に。迷ったらselect。返したくない列を最初から取らない方が安全です。両方を同じクエリで混ぜることはできません(トップレベルはどちらか一方)。

Q. selectでもN+1は起きる? A. 関連をselectの中で指定していれば、まとめて取られるのでN+1にはなりません。N+1が起きるのは、ループの中で別途findUniqueなどを呼ぶときです。「関連はクエリの中で取る、ループの外で取り切る」を守れば防げます。

Q. $transactionの配列版とコールバック版、どう使い分ける? A. 配列版($transaction([...]))は独立した複数の読み書きをまとめるだけのとき。コールバック版($transaction(async (tx) => {...}))は、前の結果を見て次を分岐するなど、途中のロジックが要るとき。公開処理のように条件分岐があるならコールバック版です。

Q. SQLiteで作ったスキーマは、PostgreSQLでもそのまま動く? A. クエリの書き方とスキーマの考え方はほぼ同じです。datasourceproviderを変え、接続URLを差し替えるのが基本。ただしenumや一部の型、@db.属性はDBごとに差があるので、本番DBで一度マイグレーションを通して確認します。

Q. Prisma Clientの型が古いままで補完が効かない A. スキーマを変えたらnpx prisma generateを実行して型を作り直します。migrate devを使うと自動で生成されますが、schema.prismaだけ編集したときは手動でgenerateが必要です。

実際に試した結果

冒頭の「41回クエリ」事件のあと、僕がやったのはコードを書き直すことだけでした。mapの中のfindUniqueを消して、最初のfindManyselectで著者とカテゴリを入れる。それだけで、クエリは41回から3回に減りました。一覧ページの体感は、明らかに変わりました。

今はクエリを書くたび、頭の中でこの順に確認します。ループの中でクエリを呼んでいないか、公開する出口はselectになっているか、takeに上限があるか、トランザクションの中に遅い処理がないか。Claude Codeに書かせたコードも、同じ4点で見ます。Prismaの型は「カラム名のタイプミス」は防いでくれますが、「N+1」と「余計な列の漏れ」と「重いトランザクション」は防いでくれません。そこは人間が見る。型に守ってもらう部分と、自分で見張る部分を分けてから、Prismaがぐっと使いやすくなりました。

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Masa

この記事を書いた人

Masa

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