農家(直売・産直)の商品紹介とSNS・予約販売の文面をAIで時短する手順
農家(直売・産直)の商品紹介やSNS投稿、予約販売の文面づくりをClaude Codeで時短する実務手順。プロンプト雛形・チェックリスト・検証スクリプト・個人情報の守り方まで現場目線でまとめました。
朝の収穫を終えて、軽トラの荷台にトマトのコンテナを積み終えたのが7時。直売所に並べる値札と、産直サイトの商品ページと、インスタの投稿。これを今日も書かなきゃいけない。でも畑の手は止められない。
僕の知り合いの農家さんは、毎晩これを後回しにして、結局「採れたてトマトあります」の一行だけで投稿していました。味も育て方も他とぜんぜん違うのに、文章は去年とほぼ同じ。値段だけで比べられて、安いほうに流れていく。
文章を書く時間がないんじゃない。畑仕事のあとに、もう頭が文章を組み立てる体力を残していないんです。ここがAIの出番でした。
この記事の要点
- 農家(直売・産直)の商品紹介・SNS・予約販売の文面づくりは、AIに「下書き」を任せると一番ラクになる。ゼロから書くのではなく、出てきた案を直す作業に変わる。
- 入れる材料は3つだけ。品目・特徴(品種、栽培、食べ方)・販売条件(価格、数量、受け渡し)。これさえメモすれば、媒体ごとの文面が一度に出る。
- AIに任せていいのは文章の組み立て。人が必ず判断するのは、価格・在庫・収穫予定・産地表示・アレルギー表記の事実部分。
- 個人情報(予約者の名前・住所・電話)はAIに渡さない運用が基本。渡すのは「商品の情報」だけにする。
- 1投稿15分かかっていた作業が3分前後に。週6回投稿なら月に5時間ほど畑や出荷に時間が戻る計算になる。
まず読者像をはっきりさせる
この記事は、こういう人に向けて書いています。
- 直売所、産直ECサイト(食べチョク、ポケットマルシェ、JAの産直など)、マルシェで自分の農産物を売っている
- 投稿や商品ページの文章を、自分か家族が片手間で書いている
- ライターを雇うほどの予算はないが、文章の質で他と差をつけたい
つまり「畑のプロだけど、文章を書くのは専門外」という人です。文章のプロになる必要はありません。AIに7割書かせて、農家にしか書けない3割を足す。これが現実的な落としどころでした。
農家(直売・産直)の販売文面づくりは、こういう流れになっている
まず、いまの作業を分解してみます。文章を書く前後で、だいたいこんな工程が走っています。
| 工程 | やること | 今かかっている時間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 材料集め | 今日出す品目・品種・特徴・価格・数量を決める | 5分 |
| 2. 直売所の値札 | 品名と価格、ひとことを手書き | 5分 |
| 3. 産直サイトの商品説明 | 200〜400字の説明文を打ち込む | 15分 |
| 4. SNS投稿 | インスタ・X用の短い文+ハッシュタグ | 15分 |
| 5. 予約販売の案内 | 予約受付の文面、締切や受け渡し方法 | 10分 |
問題は2〜5が、同じ材料を別の文体で書き直す作業だということ。トマトの良さは1回考えれば済むのに、4回書き直している。ここをAIにまとめてやらせると、一番ムダが消えます。
よくある手戻り・困りごと
文面づくりで実際に起きるつまずきを挙げます。心当たりがあるはずです。
- 媒体ごとに書き直して疲れる … 同じ商品をECは丁寧に、SNSは短く、と毎回ゼロから考えている。
- 去年のコピペで鮮度がない … 「今が旬」と書いてあるのに去年の使い回しで、写真と文章がズレている。
- 価格や在庫の書き間違い … 急いで打って、産直サイトと直売所で値段が違う、なんてことが起きる。
- 誇張で信頼を失う … 「日本一甘い」みたいな根拠のない表現を入れて、リピーターにがっかりされる。
- ハッシュタグが毎回バラバラ … 検索で見つけてもらえるタグを毎回考え直していて、統一感がない。
AIを使うと、最後の媒体ごとの書き直しとハッシュタグのブレは消えます。ただし価格や在庫の間違いは人のチェックで止めるしかありません。だから「どこをAIに任せ、どこを自分で見るか」を先に決めておきます。
AIに任せる範囲と、人が必ず判断する範囲
ここを混ぜると事故ります。線引きをはっきりさせます。
| 内容 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 商品説明の文章を組み立てる | AI | 同じ材料の言い換えはAIが速い |
| SNS用に短く整える・ハッシュタグ案 | AI | パターン作業で得意 |
| 文体を媒体に合わせる | AI | 丁寧/カジュアルの調整は得意 |
| 価格・数量・在庫 | 人 | 間違えると信用に直結する |
| 収穫予定・受け渡し日 | 人 | 天候で変わる。AIは推測できない |
| 産地・品種・アレルギー表示 | 人 | 表示義務がある。事実確認は人の責任 |
| 予約者の個人情報の扱い | 人 | AIに渡さない。後述します |
合言葉は「文章の形はAI、中身の事実は人」です。これを守れば、AIが価格を勝手に盛ったり、収穫日をでっち上げたりする事故を防げます。AIに仕事を任せる線引きの考え方は非エンジニアのためのClaude Code入門でも触れているので、最初の判断基準にしてください。
使い方その1:1つの材料から全媒体の文面を一括生成
これが一番効きます。トマトの情報を一度入れるだけで、値札・EC説明・SNS・予約案内が全部出てくる。コピペで使えるプロンプト雛形を置きます。商品の部分だけ自分の品目に書き換えてください。
あなたは農産物の直売・産直に詳しいコピーライターです。
以下の商品情報から、4つの文面を作ってください。誇張表現や根拠のない最上級(日本一など)は使わないこと。
# 商品情報
- 品目: 完熟トマト(品種: アイコ)
- 栽培: 露地、農薬を通常の半分に抑えた減農薬
- 特徴: 完熟させてから朝採り、皮が薄く甘みが強い
- 食べ方: 冷やしてそのまま、湯むきしてマリネ
- 価格: 1kg 800円(税込)
- 数量: 本日30パック限定
- 受け渡し: 直売所、または産直サイトで翌日発送
# 出力してほしい文面
1. 直売所の値札用(30字以内、ひとこと添える)
2. 産直サイトの商品説明(250〜350字、です・ます調で丁寧に)
3. インスタ投稿(120字以内+ハッシュタグ8個、親しみやすく)
4. 予約販売の案内(締切と受け渡し方法を明記、150字程度)
出てきた4つを見比べて、価格と数量が全部そろっているかだけ最初に確認します。文章の言い回しは好みで直せばいい。事実がズレていないかを先に見るのがコツです。
使い方その2:旬と季節感を毎回入れ替える
去年のコピペが鮮度を奪う、という話をしました。これは「今の状態」をプロンプトに足すだけで解決します。
上のトマトの商品説明を、今の時期(6月中旬、梅雨入り直後)に合わせて書き直してください。
- 「今が一番おいしい時期」だと正直に言える根拠を1つ入れる(例: この時期は昼夜の寒暖差で糖度が上がる)
- 梅雨の食卓に合う食べ方の提案を1つ入れる
- 嘘や誇張はしない。わからないことは書かない
「わからないことは書かない」の一行が大事です。これがないとAIは知ったかぶりをします。糖度の数字みたいに確認できないことを断定させない。書かせたあと、自分の畑の実感と合っているかを最後に読み返してください。
使い方その3:予約販売の受付テンプレを固定する
予約販売は毎回フォーマットがバラバラだと、お客さんが締切や受け渡しを読み違えます。ここはテンプレを一度作って固定するのが正解です。AIに型を作らせて、あとは数字を差し替えるだけにします。
予約案内に必ず入れる項目をチェックリストにしました。投稿前にこれを見れば抜けが消えます。
- 何の予約か(品目・品種)
- 価格(税込か税抜か明記)
- 予約の締切日時
- 受け渡し方法(直売所受取/発送)と日付
- 数量の上限、または「なくなり次第終了」
- キャンセル・変更の連絡先(電話やDMなど)
- 産地・品種の表示
このチェックリスト自体を、CLAUDE.mdのようなルールファイルに書いておくと、AIが毎回それを守って出力します。ルールファイルの書き方はCLAUDE.mdベストプラクティスが参考になります。
導入の前と後で、何が変わったか
実際に知り合いの農家さんに3週間使ってもらって、変化はこうでした。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 1投稿にかかる時間 | 15分前後 | 3分前後(下書きを直すだけ) |
| 投稿の頻度 | 週2回が限界 | 週6回に増えた |
| 媒体ごとの文体 | 全部同じ使い回し | ECは丁寧、SNSは親しみやすく自動で出し分け |
| 書く心理的ハードル | 疲れて後回し | 材料をメモすれば終わる |
文章が速く出るので、投稿が続くようになったのが一番の変化でした。続けば検索やフォロワーに見つけてもらえる。質より前に、まず止まらないことが効きました。
簡単なROI目安
ざっくり計算します。1投稿あたり15分が3分になれば、1回12分の短縮。週6回なら週72分、月に約5時間が浮きます。
その5時間を出荷の梱包や、新しい品目の作付けに回せる。時給換算で仮に1500円とすれば、月7500円分の労働時間が戻る計算です。AIの利用料は使い方次第ですが、文面づくり程度なら個人利用で十分カバーできる範囲に収まります。派手な売上増を約束はしませんが、「やる時間がなくて止まっていた発信」が動き出すこと自体が一番の価値でした。
文面のおかしな点を自動で見つける検証スクリプト
人のチェックを助ける小さな道具も置きます。価格の書き忘れや、誇張表現、産地表示の抜けを機械的に拾うNode.jsスクリプトです。出来上がった文面を draft.txt に貼って実行すると、危ない箇所を指摘します。
import { readFileSync } from "node:fs";
// 出来上がった文面を draft.txt に保存してから実行
const text = readFileSync("draft.txt", "utf8");
const warnings = [];
// 1. 価格表記の有無(円が含まれるか)
if (!/[0-90-9]+\s*円/.test(text)) {
warnings.push("価格(〇〇円)が見当たりません。書き忘れていませんか。");
}
// 2. 税込/税抜の明記
if (/円/.test(text) && !/(税込|税抜|込み)/.test(text)) {
warnings.push("価格はありますが、税込か税抜の明記がありません。");
}
// 3. 根拠のない最上級・誇張表現
const hype = ["日本一", "世界一", "最高級", "完全無農薬", "絶対", "100%安全"];
for (const w of hype) {
if (text.includes(w)) warnings.push(`誇張のおそれ: 「${w}」は根拠を確認してください。`);
}
// 4. 産地表示の有無(簡易チェック)
if (!/(産|栽培|収穫|畑)/.test(text)) {
warnings.push("産地や栽培に関する表現が見当たりません。表示を確認してください。");
}
if (warnings.length === 0) {
console.log("チェックOK: 機械的な問題は見つかりませんでした。最後に価格と数量は自分の目で確認を。");
} else {
console.log("以下を確認してください:");
for (const w of warnings) console.log(" - " + w);
}
実行はこれだけです。
node check-draft.mjs
完璧な校正ツールではありません。あくまで「人が見落としがちな点を機械が先に拾う」ための門番です。これで止まらなかったものを、最後に自分の目で見る。二段構えにすると、急いでいる日でも事故が減ります。プロンプトをもっと精度よく書くコツはClaude Codeのプロンプト設計にまとめてあります。
セキュリティ・個人情報の注意点
ここは農家でも見落としがちなので、はっきり書きます。
予約販売をやると、予約者の名前・住所・電話番号・メールが手元にたまります。この個人情報は、絶対にAIへの入力に混ぜないでください。 AIに渡していいのは「商品の情報」だけです。
具体的にはこう運用します。
- AIに頼むのは商品説明・SNS文面・予約案内の「型」まで。お客さんごとの宛名や住所は入れない。
- 予約者リスト(CSVやスプレッドシート)をそのままAIに貼って「まとめて」と頼まない。個人情報が学習や履歴に残るリスクを避ける。
- 発送ラベルや宛名書きは、AIではなく従来どおり自分の端末の中だけで処理する。
- 産直サイトのログイン情報やパスワードを文章に書かない。
判断に迷ったら「これがそのまま外に出ても困らないか」で考えます。商品の魅力は出てもいい情報、お客さんの個人情報は出てはいけない情報。この線引きを最初に決めておけば安全です。
よくある質問
Q. AIが書いた文章だと、お客さんにバレて冷たく見られませんか。 A. 下書きをそのまま使えばバレます。でも、自分の畑の実感(今年は雨が少なくて甘い、など)を1〜2行足すと、一気に「その人の言葉」になります。AIは土台、味付けは農家。この役割分担なら自然です。
Q. 機械が苦手です。パソコンがなくても使えますか。 A. スマホのAIアプリでも、上のプロンプト雛形をコピペすれば文面は出ます。検証スクリプトはパソコンが必要ですが、文面づくりだけならスマホで完結します。まず文面生成から始めるのがおすすめです。
Q. 産直サイトとSNSで、それぞれ違う文体にできますか。 A. できます。プロンプトの「出力してほしい文面」の指示を変えるだけです。「ECは丁寧に、SNSは親しみやすく」と書けば、同じ材料から文体を出し分けます。これが手書きとの一番の違いです。
Q. 価格や在庫を間違えたまま投稿してしまうのが怖いです。 A. だからこそ、価格と数量はAIに任せず人が最後に確認する、と決めておきます。上の検証スクリプトも価格の書き忘れを拾います。AIに丸投げせず、事実だけ自分の目を通すのが安全です。
Q. 毎日続ける自信がありません。 A. 最初は週2回でも十分です。材料をメモする習慣だけ作れば、文面づくりは数分で終わります。続けるコツはClaude Code生産性アップのコツも参考にしてください。
実際に試した結果
僕自身、家庭菜園のトマトとナスを題材に、上のプロンプトと検証スクリプトを丸ごと試しました。
確かめたのは3つ。まず1つの材料から4媒体の文面が一度に出るか。これは問題なく出ました。値札の短文からEC用の300字まで、文体もちゃんと出し分けてくれました。
次に検証スクリプトが本当に間違いを拾うか。わざと価格を抜いた文面と「日本一甘い」を入れた文面を流したら、両方ちゃんと警告が出ました。node check-draft.mjs で動作を確認済みです。
最後に個人情報の線引き。商品情報だけをAIに渡し、予約者リストは別管理にする運用なら、外に出して困る情報は混ざりませんでした。
結論として、文面づくりは「ゼロから書く作業」から「出てきた案を直す作業」に変わります。畑のあとに残った最後の体力で、それでも発信を止めない。そのための道具として、これは十分使えると感じました。会社や農園のチームで仕組みとして回したい場合は研修・相談で一緒に運用を設計できます。露地栽培の旬と気候の関係は農林水産省の旬の食材カレンダーのような公的情報も合わせて確認すると、季節感の表現に根拠が持てます。
無料PDF: Claude Code はじめてのチートシート
まずは無料PDFで基本コマンドと最初の使い方をまとめて確認してください。登録後はそのままテンプレート集や導入相談にも進めます。
スパムは送りません。登録情報は厳重に管理します。
Claude Codeを仕事で使える形にしませんか?
まず無料PDFで基本を固め、繰り返し使う作業はGumroad教材へ、チーム導入や権限設計は導入相談へ進めます。
この記事を書いた人
Masa
Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。
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