Sanity CMSの使い方:スキーマ・GROQ・Next/Astro取得を実装で覚える
Sanity CMSをゼロから本番運用するまで。スキーマ定義、Studio、GROQクエリ、画像配信、Next.js/Astroからの取得とプレビューを、コピペで動くコードと僕の失敗談つきで解説。
最初にSanityを触ったとき、僕は管理画面で記事を10本ほど入力して、満足して帰りました。翌日フロントから取得しようとして固まった。一覧ページに本文の全文がドサッと乗ってきて、ビルドが妙に遅い。しかも下書きのつもりだった記事が、本番ページに堂々と出ていたんです。
ヒヤッとしました。CMSを「記事を置く箱」だと思っていたのが間違いでした。Sanityは、箱というよりコンテンツの設計図そのものを書くツールです。型(スキーマ)をどう切るか、何を取り出すか(GROQ)、下書きをどう除くか。ここを最初にミスると、あとで全部やり直しになります。
この記事では、その「最初に決めるべきこと」を、スキーマ → Studio → GROQ → 画像 → Next.js/Astroからの取得 → プレビューの順に、手を動かしながら追います。コードは僕が実際に動かした形に絞ってあります。
この記事の要点
- Sanityは管理画面と表示画面を分けるヘッドレスCMS。コンテンツの「型」をコードで定義し、GROQで必要な分だけ取り出す。
- 最初の山場はスキーマ設計。本文に何でも詰めず、SEO項目やCTAを別フィールドに切っておくと後で泣かない。
- GROQは一覧用と詳細用を分ける。一覧で本文全文を返すのがビルド遅延の元凶。
- 下書き除外は手作業でなく、
apiVersionを2025-02-19以降に固定してperspective: "published"に任せるのが今のやり方。 - Next.jsもAstroも
@sanity/clientで同じデータを取れる。画像は@sanity/image-urlでサイズ最適化する。
Sanity CMSは何が違うのか
ヘッドレスCMSというのは、編集する場所(管理画面)と見せる場所(サイトやアプリ)を切り離した仕組みです。WordPressのように「管理画面とテーマがセット」ではない。だから同じ記事を、Webサイト・ニュースレター・スマホアプリ・社内ツールへ、同じデータから配れます。
Sanityがほかと違うのは、コンテンツの型をTypeScriptに近いコードで書く点です。「記事には必須のタイトルと120字以内の説明文と画像altがある」といったルールを、画面のポチポチ設定ではなくコードで宣言する。これがGitに乗り、レビューでき、Claude Codeにも書かせやすい。
データの実体は「Content Lake」というクラウドに入り、そこから GROQ(Graph-Relational Object Queries) という問い合わせ言語で必要なフィールドだけ抜き出します。SQLを知っていれば「SELECTの強い版」くらいの感覚で読めます。
公式の入り口はここです。型はSchema Types、クエリはGROQ syntax。手を動かす前にブックマークしておくと迷子になりません。
自作するかヘッドレスに乗るかで迷っている段階なら、判断軸を別記事に分けてあります。ブログCMSは自作かヘッドレスかを先に読むと、そもそもSanityを入れるべきかが見えます。この記事は「Sanityで行く」と決めた人向けです。
まず動く最小スキーマを書く
説明より先に、動く投稿スキーマを置きます。Sanity v3系の schemaTypes/post.ts としてそのまま使える形です。ポイントは、本文(body)とは別に、SEOの説明文・画像alt・CTAを独立したフィールドに切ってあること。ここをケチると後で移行地獄になります。
// schemaTypes/post.ts
import {defineField, defineType} from 'sanity'
export const post = defineType({
name: 'post',
title: '記事',
type: 'document',
fields: [
defineField({
name: 'title',
title: 'タイトル',
type: 'string',
validation: (rule) => rule.required().max(90),
}),
defineField({
name: 'slug',
title: 'スラッグ',
type: 'slug',
// タイトルから自動生成。URLの一意性はここで担保する
options: {source: 'title', maxLength: 96},
validation: (rule) => rule.required(),
}),
defineField({
name: 'locale',
title: '言語',
type: 'string',
options: {
list: [
{title: '日本語', value: 'ja'},
{title: 'English', value: 'en'},
{title: '中文', value: 'zh'},
],
},
validation: (rule) => rule.required(),
}),
defineField({
name: 'description',
title: 'SEO説明文',
type: 'text',
rows: 3,
// 120字を超えると検索結果で切れるので上限を強制
validation: (rule) => rule.required().max(120),
}),
defineField({
name: 'heroImage',
title: 'アイキャッチ画像',
type: 'image',
options: {hotspot: true}, // 切り抜きの焦点を編集者が指定できる
fields: [
defineField({
name: 'alt',
title: '代替テキスト',
type: 'string',
validation: (rule) => rule.required(), // altなし画像を弾く
}),
],
validation: (rule) => rule.required(),
}),
defineField({
name: 'body',
title: '本文',
type: 'array',
// Portable Text。文章と画像を混在できる構造化本文
of: [{type: 'block'}, {type: 'image'}],
validation: (rule) => rule.required(),
}),
defineField({
name: 'cta',
title: '誘導ボタン(CTA)',
type: 'object',
fields: [
defineField({name: 'label', title: 'ボタン文言', type: 'string'}),
defineField({name: 'href', title: 'リンク先URL', type: 'url'}),
defineField({name: 'intent', title: '意図', type: 'string'}),
],
}),
defineField({
name: 'publishedAt',
title: '公開日時',
type: 'datetime',
validation: (rule) => rule.required(),
}),
],
preview: {
// Studioの一覧で何を見せるか
select: {title: 'title', subtitle: 'locale', media: 'heroImage'},
},
})
書いたスキーマは、必ず一覧に登録します。schemaTypes/index.ts のここを忘れると、Studioに型が出てこなくて「あれ?」となります。僕は初回これで30分溶かしました。
// schemaTypes/index.ts
import {post} from './post'
export const schemaTypes = [post]
title は90字、description は120字、alt は必須——こうやって入力時点で弾く門番をスキーマに埋め込んでおくのがコツです。公開前レビューで毎回「説明文が長い」と指摘するより、最初から入れさせないほうが運用が続きます。
Studioを立ち上げて記事を入れる
スキーマができたら、編集画面(Sanity Studio)を起動します。Studioはローカルで動く管理画面で、sanity パッケージに入っています。
# Studioプロジェクトを作る(対話で project と dataset を選ぶ)
npm create sanity@latest -- --template clean --typescript
cd <作ったフォルダ>
npm run dev # http://localhost:3333 でStudioが開く
開いたら左メニューに「記事」が並びます。先ほどのスキーマで required() を付けた項目は、空のままだと公開ボタンが押せません。altを入れ忘れると赤く怒られる。これが地味に効きます。人間のレビューより前に、入力UIがミスを止めてくれるからです。
ここで決めておきたいのが dataset(データの入れ物)の分け方です。production と development のように分けておくと、本番データを壊さずに型変更やクエリ実験ができます。最初は1つで始めて構いませんが、「分けられる」と知っておくだけで気が楽になります。
GROQで必要な分だけ取り出す
ここが一番大事です。GROQは一覧用と詳細用を必ず分けます。一覧ページで本文(body)まで取ると、転送量とビルド時間が膨らみ、キャッシュの扱いも悪くなる。僕が最初にやらかしたのがこれでした。
一覧では、カード表示に要る title slug description 画像 cta だけ。詳細では本文も取る。下のクエリはそのまま使えます。
// src/lib/sanity/queries.ts
// 一覧用:本文は取らない。カードに要るフィールドだけ
export const postsByLocaleQuery = `
*[
_type == "post" &&
locale == $locale &&
defined(slug.current) &&
defined(publishedAt)
] | order(publishedAt desc) [0...$limit] {
_id,
title,
description,
"slug": slug.current,
publishedAt,
"heroImageUrl": heroImage.asset->url,
"heroImageAlt": heroImage.alt,
cta
}
`
// 詳細用:本文(body)とCTAまで取る
export const postBySlugQuery = `
*[
_type == "post" &&
locale == $locale &&
slug.current == $slug
][0] {
_id,
title,
description,
"slug": slug.current,
publishedAt,
body,
cta,
"heroImageUrl": heroImage.asset->url,
"heroImageAlt": heroImage.alt
}
`
GROQの読み方を一行ずつ。* が全ドキュメント、[...] の中が絞り込み条件。-> は参照をたどる記号で、heroImage.asset->url は「画像アセットをたどってURLを取る」という意味です。最後の {...} が「返すフィールドの指定」で、ここに書いたものしか返ってきません。だから一覧から body を外すだけで、ペイロードが一気に軽くなります。
| 用途 | 返すフィールド | 本文(body) | 並び替え | 件数制限 |
|---|---|---|---|---|
| 一覧 | title, slug, description, 画像, cta | 取らない | publishedAt降順 | [0...$limit] |
| 詳細 | 上記 + body | 取る | 不要(1件) | [0] |
| サイトマップ | slug, publishedAt | 取らない | 不要 | 全件 |
クライアントから取得して下書きを除外する
クエリができたら @sanity/client で叩きます。ここで2026年時点の重要な変更点があります。apiVersion を 2025-02-19 以降の日付に固定すると、クライアントの既定の見え方(perspective)が published になり、下書きや未公開バージョンが自動で除外されます。それより前の日付だと既定が raw で、下書きが混ざります。
つまり、冒頭で僕がやらかした「下書きが本番に出る事故」は、apiVersion の固定と perspective: "published" で防げる、ということです。defined(publishedAt) のような手作業のガードに頼らなくてよくなりました。
// src/lib/sanity/client.ts
import {createClient} from '@sanity/client'
import {postBySlugQuery, postsByLocaleQuery} from './queries'
export const sanityClient = createClient({
projectId: process.env.SANITY_PROJECT_ID || '',
dataset: process.env.SANITY_DATASET || 'production',
// この日付以降だと perspective の既定が 'published'(下書き除外)になる
apiVersion: '2025-02-19',
perspective: 'published', // 明示しておくと意図が伝わる
useCdn: true, // 公開ページは高速なCDN経由でOK
})
// 一覧を取る
export async function getPosts(locale: string, limit = 12) {
return sanityClient.fetch(postsByLocaleQuery, {locale, limit})
}
// 1記事を取る
export async function getPostBySlug(locale: string, slug: string) {
return sanityClient.fetch(postBySlugQuery, {locale, slug})
}
依存と環境変数はこれだけそろえます。Studio側は sanity、フロント側は @sanity/client、画像最適化に @sanity/image-url を入れます。
npm install sanity @sanity/client @sanity/image-url
# .env に入れる(Next.jsで公開側に出すなら NEXT_PUBLIC_ を付ける)
SANITY_PROJECT_ID=あなたのプロジェクトID
SANITY_DATASET=production
useCdn: true は公開ページ向けの設定です。あとで触れるプレビュー(下書きを見たい場面)では、ここを false にして perspective を切り替えた別クライアントを使います。
Next.jsとAstroから表示する
取得関数ができれば、フロント側はフレームワークが違っても呼び方はほぼ同じです。まずNext.js(App Router)の記事ページ。サーバーコンポーネントなので、そのまま await で取れます。
// app/[locale]/blog/[slug]/page.tsx
import {getPostBySlug} from '@/lib/sanity/client'
import imageUrlBuilder from '@sanity/image-url'
import {sanityClient} from '@/lib/sanity/client'
import {notFound} from 'next/navigation'
const builder = imageUrlBuilder(sanityClient)
export default async function PostPage(
{params}: {params: {locale: string; slug: string}}
) {
const post = await getPostBySlug(params.locale, params.slug)
if (!post) notFound() // 該当なしは404へ
// 画像は必要なサイズだけ取得して転送量を抑える
const hero = builder.image(post.heroImageUrl).width(1200).height(630).url()
return (
<article>
<h1>{post.title}</h1>
<img src={hero} alt={post.heroImageAlt} width={1200} height={630} />
{/* 本文(Portable Text)は @portabletext/react で描画する */}
</article>
)
}
Astroだとフロントマター(--- の中)でデータを取って、HTMLにそのまま流し込みます。Astroの一覧ページはこうなります。
---
// src/pages/blog/index.astro
import {getPosts} from '../../lib/sanity/client'
const posts = await getPosts('ja', 12)
---
<ul>
{posts.map((post) => (
<li>
<a href={`/blog/${post.slug}`}>
<img src={post.heroImageUrl} alt={post.heroImageAlt} width="400" height="210" />
<h2>{post.title}</h2>
<p>{post.description}</p>
</a>
</li>
))}
</ul>
Astro側の設計(Islandsや出力モードSSG/SSRの選び方、Content Collectionsとの違い)を詰めたいなら、Astro入門:Islandsで必要な所だけJSにするに分けて書いてあります。SanityはAstroの「外部データ源」として素直に噛み合います。
画像で @sanity/image-url を使うと、width() や height() でサイズ指定したURLを生成でき、巨大な元画像をそのまま配る事故を防げます。altは記事スキーマで必須にしてあるので、ここで確実に渡せます。
プレビュー:編集者に下書きを見せる
公開ページは perspective: "published" で下書きを隠しますが、編集者は公開前に見た目を確認したい。そこでプレビュー専用のクライアントを別に用意します。違いは2つだけ。perspective を下書き込みにし、useCdn を false(CDNキャッシュをかわして最新を取る)にすることです。
// src/lib/sanity/preview-client.ts
import {createClient} from '@sanity/client'
// プレビュー専用:下書きも含めて最新を取る
export const previewClient = createClient({
projectId: process.env.SANITY_PROJECT_ID || '',
dataset: process.env.SANITY_DATASET || 'production',
apiVersion: '2025-02-19',
perspective: 'drafts', // 下書きを含める
useCdn: false, // キャッシュを避けて編集中の内容を反映
token: process.env.SANITY_VIEWER_TOKEN, // 下書き閲覧には読み取りトークンが要る
})
下書きの閲覧には読み取り権限のあるトークンが必要です。これはサーバー側だけで使い、ブラウザに渡さないこと。Next.jsならドラフトモード(Draft Mode)と組み合わせて、プレビュー時だけ previewClient に切り替える作りが定番です。
注意点として、プレビュー用クライアントを本番ページで誤用しないこと。トークンが乗ったクライアントを公開側に出すと、下書きが見えてしまいます。僕は「公開用」「プレビュー用」をファイルごと分けて、import元で取り違えないようにしています。
僕がやらかした失敗3つ
正直に書きます。最初のSanity運用は穴だらけでした。
ひとつ目は、スキーマを「今の記事に要る項目」だけで作ったこと。速く立ち上がって気持ちよかったのですが、後から多言語の locale、CTAの出し分け、レビュー日を足すたびに既存データの移行が走りました。本文と分離できる項目は、最初から別フィールドにしておくべきでした。
ふたつ目は、一覧クエリで body まで取っていたこと。トップページの表示がもっさりして、原因を半日探しました。GROQの返却フィールドから本文を外しただけで、ビルドも表示も軽くなった。一覧と詳細でクエリを分ける、これだけで解決します。
みっつ目は、冒頭の下書き流出。apiVersion を古い日付のままにしていて、既定が raw だったんです。2025-02-19 以降に上げて perspective: "published" にしたら、手書きの除外条件をいじらなくても下書きが消えました。バージョン固定は地味だけど効きます。
よくある質問
Q. GROQとGraphQLはどちらを使うべき?
A. Sanityで素直なのはGROQです。返すフィールドを {...} で細かく削れるので、一覧の軽量化と相性がいい。GraphQLも使えますが、まずGROQで組むのをすすめます。
Q. 下書きを本番に出さないようにするには?
A. apiVersion を 2025-02-19 以降に固定し、公開用クライアントを perspective: "published" にします。これで下書き・未公開バージョンが自動で外れます。プレビューは別クライアントで perspective: 'drafts' を使います。
Q. useCdn は true と false どちらにすべき?
A. 公開ページは true(速い・安い)。プレビューや、書いた直後の内容を即反映したい場面は false。両方を1つのクライアントで兼ねず、用途ごとに分けるのが安全です。
Q. 画像はどう最適化する?
A. @sanity/image-url で width() height() を指定したURLを生成します。元画像をそのまま配らないこと。altはスキーマで必須にしておけば渡し忘れません。
Q. Next.jsとAstro、Sanityと相性がいいのは?
A. どちらも @sanity/client で同じ取得関数を使えます。JSをほぼ送らない静的サイトならAstro、動的なプレビューやISRを厚く使うならNext.jsが噛み合います。選び方はAstro入門を参照してください。
実際に試した結果
冒頭の「下書きが本番に出た」事故以来、僕がSanityで最初にやるのは3つに固定しました。スキーマで本文とSEO項目・CTAを分ける、GROQを一覧用と詳細用に割る、apiVersion を 2025-02-19 以降に上げて公開クライアントを published にする。これだけで、ビルドの遅さも下書き流出も止まりました。
派手なワークフローを最初から組むより、この3点を先に固めるほうが運用は続きます。CMSは記事を置く箱ではなく、型と取得の設計だと体で理解してから、ようやく楽になりました。
スキーマ設計やGROQの組み方、収益導線を含めたコンテンツ運用をまとめて固めたい場合は、研修・導入相談で既存のリポジトリと記事一覧を前提にしたレビューを依頼してください。すぐ使えるテンプレートは教材一覧にもまとめてあります。
無料PDF: Claude Code はじめてのチートシート
まずは無料PDFで基本コマンドと最初の使い方をまとめて確認してください。登録後はそのままテンプレート集や導入相談にも進めます。
スパムは送りません。登録情報は厳重に管理します。
Claude Codeを仕事で使える形にしませんか?
まず無料PDFで基本を固め、繰り返し使う作業はGumroad教材へ、チーム導入や権限設計は導入相談へ進めます。
この記事を書いた人
Masa
Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。
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