Use Cases (更新: 2026/6/7)

React Hook Formのregister/useFieldArrayで再レンダリングを止める

React Hook Formの使い方を仕組みから整理。register/useForm/handleSubmit、非制御で再描画を減らす理由、Controller連携、useFieldArray、formStateの罠まで通しで解説。

React Hook Formのregister/useFieldArrayで再レンダリングを止める

入力欄が15個あるフォームを、useStateで素直に作ったことがあります。

1文字打つたびにフォーム全体が再描画される。最初は気づきませんでした。でも項目を増やし、入力欄の中に重い日付ピッカーを置いた瞬間、タイピングがカクつき始めたんです。aと打って、画面にaが出るまで一拍ある。あの違和感。

原因を調べて、React Hook Form(以下RHF)に乗り換えました。同じ15項目フォームが、打鍵ごとの再描画ゼロになった。体感で別物です。

RHFが速いのは魔法じゃなくて、値の持ち方が根本的に違うから。Reactのstateで全部抱えるのをやめて、入力欄そのものに値を預ける。この設計を理解しないまま使うと、「なぜかControllerでラップしないと動かない」「watchを足したら逆に重くなった」と詰まります。

今日は、zodでの検証は姉妹記事に預けて、RHF本体の仕組みとパフォーマンスだけを深掘りします。検索でたどり着いた「useForm registerの使い方」「useFieldArrayの追加削除」に、仕組みごと答えます。

この記事の要点

  • RHFが速い核心は非制御コンポーネント。入力値をReactのstateに持たず、DOMの入力欄に保持する。だから打鍵ごとの再描画が起きない。
  • registerは入力欄をRHFに登録する関数。useFormがフォーム全体の司令塔、handleSubmitが検証を通してから送信を呼ぶゲート。
  • MUIなどの制御UIライブラリはControllerで橋渡しする。非制御では値が伝わらない部品があるため。
  • 動的な行(項目を増減するフォーム)はuseFieldArraymapuseStateで自作すると再描画とキー管理で必ず破綻する。
  • formStateプロキシで購読を最適化している。isDirtyerrorsを分割代入で読んだ瞬間に追跡が始まる、という癖を知らないと罠になる。
  • zodスキーマでの検証ルールはreact-hook-form × zodでフォーム検証を二重化する実装手順に分離。この記事はRHFの動かし方に集中。

まず「なぜ速いのか」から:制御と非制御

ここを飛ばすと全部が暗記になるので、最初に押さえます。

Reactのフォームには2つの流派があります。制御コンポーネント非制御コンポーネントです。

制御は、入力値をReactのstateで握る方式。value={name}onChange={e => setName(e.target.value)}を書くアレです。1文字打つとsetNameが走り、stateが変わり、コンポーネントが再描画される。値とUIが常に一致するぶん分かりやすい。ただし打鍵ごとに再描画が走るのが弱点です。

非制御は、入力値をDOMの<input>自身に持たせる方式。Reactは値を追いかけず、必要なときだけref経由で読みに行く。打ってもsetStateが走らないので、再描画が起きません。昔ながらのHTMLフォームに近い発想です。

RHFは後者、非制御を土台にしています。だから速い。下の表が両者の違いです。

観点制御(useState)非制御(React Hook Form)
値の置き場所ReactのstateDOMの入力欄(ref経由で読む)
打鍵ごとの再描画起きる起きない
フォームが大きいとき重くなりやすい軽いまま
値の取得stateを見るだけgetValuesや送信時にまとめて読む
向く場面入力に応じて即UIを変えたい入力数が多い・送信時に値が要る

つまりRHFは「入力中はReactを働かせず、送信や検証のタイミングでだけ値を集める」という割り切りで速度を出しています。この一点を握っておくと、後で出てくるControllerの存在理由がすっと腑に落ちます。

useFormとregister:司令塔と登録

RHFの中心はuseFormフックです。フォーム1つにつき1回呼び、返ってきた道具一式でフォームを組み立てます。

registerは、その道具のうち「この入力欄をRHFの管理下に入れる」関数です。<input {...register("email")}>と書くと、register("email")nameonChangeonBlurrefをまとめて返し、それをinputに展開します。refが刺さることで、RHFは値をstateではなくDOMから読めるようになる。これが非制御の正体です。

handleSubmitは送信のゲート。onSubmit={handleSubmit(送信関数)}と渡すと、まず全項目を検証し、エラーがあれば送信関数を呼ばずにerrorsを埋める。検証を通ったときだけ、集めた値を引数にして送信関数を実行します。

最小の形がこれです。3つの道具の役割だけ見てください。

import { useForm } from "react-hook-form";

type FormValues = { email: string };

export function MiniForm() {
  // useForm = フォーム全体の司令塔。道具一式を返す
  const { register, handleSubmit } = useForm<FormValues>();

  // handleSubmit が検証を通したときだけ、この関数が呼ばれる
  const onSubmit = (values: FormValues) => {
    console.log(values); // { email: "..." }
  };

  return (
    <form onSubmit={handleSubmit(onSubmit)}>
      {/* register が name/onChange/onBlur/ref をまとめて配る */}
      <input type="email" {...register("email")} />
      <button type="submit">送信</button>
    </form>
  );
}

useStateが1行も出てこないのがポイントです。値はinputが持ち、RHFは送信時にだけrefから拾う。だから打っても再描画が走りません。

コピペで動く:問い合わせフォーム全部入り

ここで動く実物を置きます。検証ルールはRHF組み込みのregisterオプション(requiredminLengthpattern)だけで完結させ、zodは持ち込みません。formStateからerrorsisSubmittingを取り出してエラー表示と二重送信防止に使います。

// src/features/contact/ContactForm.tsx
"use client";

import { useForm } from "react-hook-form";

// フォームが扱う値の形。これがそのまま送信データの契約になる
type ContactValues = {
  name: string;
  email: string;
  message: string;
};

export function ContactForm() {
  const {
    register,
    handleSubmit,
    reset,
    // formState から欲しいものだけ分割代入で取り出す(後述の購読最適化に効く)
    formState: { errors, isSubmitting },
  } = useForm<ContactValues>({
    // onBlur = 入力欄からフォーカスが外れた時に検証。打つたびに赤を出さない
    mode: "onBlur",
    defaultValues: { name: "", email: "", message: "" },
  });

  const onSubmit = async (values: ContactValues) => {
    // await を挟むことで isSubmitting が送信中ずっと true になる
    await new Promise((r) => setTimeout(r, 800)); // API送信の代わり
    console.log("送信:", values);
    reset(); // 送信後にフォームを初期値へ戻す
  };

  return (
    <form onSubmit={handleSubmit(onSubmit)} noValidate>
      <div>
        <label htmlFor="name">お名前</label>
        <input
          id="name"
          aria-invalid={errors.name ? "true" : "false"}
          {...register("name", {
            required: "お名前を入力してください",
            maxLength: { value: 80, message: "80文字以内で入力してください" },
          })}
        />
        {errors.name && <p role="alert">{errors.name.message}</p>}
      </div>

      <div>
        <label htmlFor="email">メールアドレス</label>
        <input
          id="email"
          type="email"
          aria-invalid={errors.email ? "true" : "false"}
          {...register("email", {
            required: "メールアドレスを入力してください",
            pattern: {
              value: /^[^@\s]+@[^@\s]+\.[^@\s]+$/,
              message: "メールアドレスの形式が正しくありません",
            },
          })}
        />
        {errors.email && <p role="alert">{errors.email.message}</p>}
      </div>

      <div>
        <label htmlFor="message">本文</label>
        <textarea
          id="message"
          rows={6}
          {...register("message", {
            required: "本文を入力してください",
            minLength: { value: 10, message: "10文字以上で入力してください" },
          })}
        />
        {errors.message && <p role="alert">{errors.message.message}</p>}
      </div>

      {/* 送信中はボタンを止めて二重送信を防ぐ */}
      <button type="submit" disabled={isSubmitting}>
        {isSubmitting ? "送信中..." : "送信する"}
      </button>
    </form>
  );
}

このフォームは入力中いっさい再描画しません。エラーが出る瞬間と、送信ボタンが「送信中…」に変わる瞬間にだけ描画が走る。RHFが「描画の回数」をどこまで削っているかが、触ると分かります。

エラー文をrole="alert"で出し、aria-invalidを立てているのは見た目だけの話ではなく、スクリーンリーダー対応のためです。この辺りはClaude CodeでアクセシブルなUIを実装する手順に詳しく書きました。なお検証を本気でやるなら、画面側のこのルールに加えてサーバー側でも同じ検証を効かせる必要があります。そこはreact-hook-form × zodでフォーム検証を二重化する実装手順を読んでください。

Controller:制御UIライブラリとの橋渡し

ここで多くの人が最初の壁にぶつかります。「素のinputでは動いたのに、MUIの<TextField>registerを撒いたら値が反映されない」。

理由は単純で、MUIやAnt Design、react-selectのような部品は内部が制御コンポーネントだからです。RHFがregisterで配るrefを、こうした部品はそのまま入力欄に刺してくれない。だからRHFが値を読めません。非制御の前提が崩れるわけです。

この橋渡し役がControllerです。ControllerはRHFの管理(値・検証・エラー)と、制御部品が求めるvalue/onChangeを翻訳してつなぎます。renderの中で渡ってくるfieldを、部品のvalueonChangeにそのまま流すのが定石です。

import { useForm, Controller } from "react-hook-form";
import { TextField } from "@mui/material";

type Values = { nickname: string };

export function MuiForm() {
  const { control, handleSubmit } = useForm<Values>({
    defaultValues: { nickname: "" },
  });

  return (
    <form onSubmit={handleSubmit((v) => console.log(v))}>
      <Controller
        name="nickname"
        control={control}
        rules={{ required: "ニックネームは必須です" }}
        // field = { value, onChange, onBlur, ref, name }。制御部品にそのまま橋渡し
        render={({ field, fieldState }) => (
          <TextField
            {...field}
            label="ニックネーム"
            error={!!fieldState.error}
            helperText={fieldState.error?.message}
          />
        )}
      />
      <button type="submit">保存</button>
    </form>
  );
}

使い分けの基準はシンプルです。素のHTML要素(input/select/textarea)はregister、制御が前提のUIライブラリ部品はController。迷ったら「その部品に直接refを渡せるか」で判断します。渡せるならregister、ダメならController

注意したいのは、Controllerでラップした部品は値の変更でその部品だけ再描画される点です。非制御の速さが一部戻るので、全フィールドを無条件にControllerで包むのは避けます。制御が必要な部品にだけ使う、が鉄則です。

useFieldArray:行を増減するフォーム

「請求項目を何行でも追加できるフォーム」のような、項目数が動くケース。これをuseStateの配列とmapで自作すると、ほぼ確実に破綻します。追加・削除のたびに親が再描画され、入力中の値が飛んだり、keyの付け方を間違えてReactが行を取り違えたり。僕は一度これでデータ消失バグを出しました。

RHFには専用のuseFieldArrayがあります。fields(描画用の配列)、append(末尾追加)、remove(指定行削除)を返してくれる。fieldsの各要素には自動で一意なidが振られるので、それをkeyに使えば取り違えが起きません。

import { useForm, useFieldArray } from "react-hook-form";

type Invoice = {
  items: { label: string; price: number }[];
};

export function InvoiceForm() {
  const { register, control, handleSubmit } = useForm<Invoice>({
    defaultValues: { items: [{ label: "", price: 0 }] },
  });

  // 動的な行はこれ1つで管理できる
  const { fields, append, remove } = useFieldArray({
    control,
    name: "items",
  });

  return (
    <form onSubmit={handleSubmit((v) => console.log(v))}>
      {fields.map((field, index) => (
        // field.id を key にする。index を key にすると削除時にずれる
        <div key={field.id}>
          <input
            placeholder="品目"
            {...register(`items.${index}.label`, { required: true })}
          />
          <input
            type="number"
            placeholder="金額"
            {...register(`items.${index}.price`, { valueAsNumber: true })}
          />
          <button type="button" onClick={() => remove(index)}>
            削除
          </button>
        </div>
      ))}

      <button type="button" onClick={() => append({ label: "", price: 0 })}>
        行を追加
      </button>
      <button type="submit">送信</button>
    </form>
  );
}

ポイントは2つ。keyには必ずfield.idを使うこと(indexを使うと削除時に行がずれる)。そしてitems.${index}.priceのようにドット記法でネストしたパスをregisterに渡すこと。RHFはこの文字列パスを見て、ネストしたオブジェクト構造に値を組み立てます。valueAsNumber: trueを足すと、number入力が文字列ではなく数値で取れます。

formStateの罠:プロキシによる購読

最後に、ハマる人が多いformStateの挙動です。

formStateにはerrorsisDirtyisSubmittingtouchedFieldsisValidなどが入っています。これらを毎回全部更新したら、せっかくの非制御の速さが台無しです。そこでRHFはformStateを**Proxy(プロキシ)**にしていて、「あなたが実際に読んだプロパティ」だけを追跡します。

具体的にはこう動きます。

  • const { isDirty } = formStateのように分割代入で読むと、その瞬間にRHFが「このコンポーネントはisDirtyを見ている」と記録し、isDirtyが変わったときだけ再描画する。
  • 逆に読んでいないプロパティは追跡されず、再描画も起きない
  • だからconst isDirty = formState.isDirtyを条件分岐の中など「読まれないことがある場所」に書くと、購読が登録されず、画面が更新されないバグになる。

つまり「使うものはコンポーネント本体で素直に分割代入しておく」のが安全策です。下が良い例と悪い例。

// 良い例:分割代入で読む → 購読が登録され、変化で再描画される
const {
  formState: { isDirty, isValid },
} = useForm({ mode: "onChange" });

// 悪い例:条件の中でだけ読む → 購読が登録されず更新が来ないことがある
function onClick() {
  if (formState.isDirty) {
    /* ここでしか読まないと追跡が始まらない場合がある */
  }
}

isValidを使うならmode: "onChange"(またはonBlur)が要る、という別の落とし穴もあります。デフォルトのonSubmitモードでは、送信するまで検証が走らないのでisValidが更新されません。「送信ボタンをisValidで出し分けたいのに反応しない」はこれが原因です。

Claude Codeにフォームを頼むときは、この辺りを契約として渡すと事故が減ります。たとえば「非制御で組む、MUI部品だけController、動的行はuseFieldArrayisValidを使うのでmode: onChange」と書く。Claude Codeのフォーム実装をチームの型に落とす進め方はClaude CodeでReact開発を加速するワークフローにまとめています。

よくある質問

Q. registerとControllerはどちらを使えばいいですか。 A. 素のHTML要素(input/select/textarea)にはregister、MUIやreact-selectのような制御前提のUIライブラリ部品にはControllerです。判断基準は「その部品に直接refを渡せるか」。渡せるならregister、ダメならControllerを使います。

Q. watchを使うと重くなると聞きました。本当ですか。 A. watchはその値を購読し、変わるたびにそのコンポーネントを再描画します。1〜2項目を監視する程度なら問題ありませんが、フォーム全体をwatch()で監視すると非制御の利点が消えます。特定フィールドだけ見たいならwatch("email")のように対象を絞るか、再描画を伴わないgetValuesを検討してください。

Q. defaultValuesは後から変えられますか。 A. APIから取得したデータを入れたい場合は、reset(取得データ)を使います。useFormdefaultValuesに直接後から代入しても反映されません。非同期で初期値を入れるときはresetが正攻法です。

Q. number入力が文字列で取れてしまいます。 A. register("price", { valueAsNumber: true })を付けてください。HTMLのinputは値を文字列で持つため、何もしないと"100"のように文字列で届きます。日付ならvalueAsDateもあります。

Q. zodでの検証ルールはここに書いていないのですか。 A. はい、意図的に分けています。この記事はRHF本体の使い方とパフォーマンスに集中し、zodスキーマでの検証・型の共有・サーバー側の二重検証はreact-hook-form × zodでフォーム検証を二重化する実装手順にまとめました。zodResolverの繋ぎ込みもそちらにあります。

実際に試した結果

冒頭の「15項目でカクつくフォーム」を、僕は最終的にRHFで作り直しました。効果がいちばん大きかったのは、実はuseFieldArrayへの置き換えです。自作のuseState配列でやっていた動的行をfields/append/removeに寄せただけで、行を追加したときの全体再描画と、削除時に値がずれるバグが両方消えました。

次に効いたのがformStateの読み方を直したこと。isValidが反応しないと悩んでいた原因は、ただmodeonChangeにしていなかっただけでした。プロキシで購読される、という仕組みを知ってからは、formStateまわりで詰まらなくなった。

結論はシンプルです。RHFは「Reactにフォームの値を持たせない」という一点に賭けたライブラリ。その前提さえ握れば、registerControlleruseFieldArrayも、なぜそういう形なのかが全部つながります。仕組みから先に理解する。遠回りに見えて、これがいちばん速い。

公式の一次情報はこちらが起点です。useFormの全オプションはReact Hook Form公式の useForm ドキュメント、動的フィールドはuseFieldArray ドキュメントを確認してください。さらに手を動かして固めたい人は教材一覧にプロンプトテンプレートと実装教材を置いています。

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この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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