Tips & Tricks (更新: 2026/6/6)

メディアクエリとコンテナクエリの使い分け:壊れないブレークポイント設計

@mediaと@containerをどう使い分けるか。端末名で増やさないブレークポイント設計と、Claude Codeに任せて崩れない依頼の型を実例で解説。

メディアクエリとコンテナクエリの使い分け:壊れないブレークポイント設計

「価格カードが、トップページでは綺麗なのに料金ページで崩れる」。

これ、僕が去年いちばん時間を溶かしたCSSのバグでした。同じカードなんです。HTMLも同じ。違うのは「置かれている場所の幅」だけ。なのに僕は画面幅で分岐する @media を足し続けて、直したそばから別ページが壊れていきました。

原因は、画面幅で見るべきじゃない部品を、画面幅で見ていたこと。ここを @media@container で切り分けた瞬間、追加CSSゼロで3か所とも収まりました。

この記事の要点

  • ページ全体の骨格は @media、置き場所が変わる部品は @container。この一線を引くだけで「直したのに別ページが壊れる」が止まる。
  • ブレークポイントは端末名(iPhone用・iPad用)で決めない。コンテンツが苦しくなる幅で決める。最初は 48rem72rem の2本で足りる。
  • 迷ったら自問する。「画面が広ければ必ずこうしたい?」→ @media。「この部品が広い場所に置かれたらこうしたい?」→ @container
  • Claude Codeには「レスポンシブにして」ではなく、どこを @media でどこを @container で見るかを指定して渡す。曖昧な依頼は曖昧なCSSになる。
  • 検証は目視で終わらせない。幅・ダークモード・モーション設定をPlaywrightで機械チェックすると、本番データでの崩れに気づける。

まず、この2つは見ている対象が違う

@media@container は似て見えますが、何を基準に分岐するかがまったく違います。ここを混ぜると沼にハマります。

@media(メディアクエリ)は、ブラウザの条件でCSSを切り替える仕組みです。いちばん使うのはビューポート幅、つまり画面そのものの幅です。「画面が768px以上ならサイドバーを出す」みたいに、ページ全体の都合で分岐します。

@container(コンテナクエリ)は、親要素の幅でCSSを切り替えます。画面がどれだけ広くても、狭いサイドバーの中に置かれた部品は狭いまま。その「置かれた箱の幅」を見て分岐します。

例え話をすると、@media は「いま外は晴れか雨か」で服を決める発想。@container は「自分がいる部屋が広いか狭いか」で動きを決める発想です。天気(画面)と部屋(親要素)は、関係ありそうで別物ですよね。冒頭の価格カードが崩れたのは、「外の天気」で服を選んでいたのに、本当に効いていたのは「部屋の広さ」だったからです。

判断軸メディアクエリ @mediaコンテナクエリ @container
何を見るかviewport・印刷・ユーザー設定親コンテナの幅や状態
向いている用途ページ全体のレイアウト、ナビ、余白カード、サイドバー内の部品、再利用UI
つまずきやすい点端末名ベースで数が増えすぎる親に container-type を付け忘れる
Claude Codeへの指示「画面幅で全体レイアウトを変える」「部品自身の置かれた幅で変える」

迷ったら、この一問で決める

理屈はわかった、でも実装中はやっぱり迷います。そこで僕は、CSSを書く手が止まったら、必ずこの一問に答えるようにしています。

「画面が広ければ、どこに置いてあっても必ずこうしたい?」

イエスなら @media。ヘッダーの並び、本文とサイドバーの2カラム化、ページ全体の余白。これらは「画面が広いなら、ページ全体としてこうあってほしい」話なので、ビューポートで見て正解です。

ノー、つまり「この部品が広い場所に置かれたときだけこうしたい」なら @container。商品カード、価格カード、関連記事ボックス、資料請求CTA。これらは本文の中・サイドバーの中・キャンペーンLPと、いろんな幅の箱に放り込まれます。だから「自分が今いる箱の幅」で判断させるのが自然なんです。

この問いを習慣にしてから、僕は分岐の置き場所で迷わなくなりました。逆にこれを飛ばすと、Claude Codeも自分も「とりあえず見た目が合う最短のCSS」を書いてしまう。それが後で効いてきます。

ありがちな取り違えと、その代償

具体的に、取り違えると何が起きるか。実際に僕がやったパターンを2つ。

ひとつ目。サイドバー内のカードが狭いだけなのに、@media (width < 1024px) を足してページ全体をいじってしまう。その場のカードは直ります。でも同じカードを別ページの本文中に置くと、今度はそっちが想定外に変わる。1か所直すたびに、見えないところで1か所壊れていく。これがいちばんタチが悪いです。

ふたつ目はその逆。ページ全体の2カラム化を @container だけで解決しようとして、ヘッダーやページ余白の設計と噛み合わなくなる。コンテナクエリは部品の都合には強いけど、ページ全体の骨格には向きません。

切り分けの考え方はシンプルで、画面を3つの層に分けます。

  1. ページ全体の層(ヘッダー・本文・サイドバー・フッター・広告枠)→ @media
  2. 再利用部品の層(商品カード・価格カード・関連記事・CTA)→ @container
  3. ユーザー設定の層(ダークモード・モーション軽減・印刷・コントラスト)→ @media の特性クエリ(prefers-*

3層目はちょっと別枠です。画面幅とは無関係に、ユーザーのOS設定を尊重する話。prefers-color-schemeprefers-reduced-motion がこれにあたります。幅の話と混同しないよう、最初から別の引き出しに入れておくと頭が整理されます。

ブレークポイントは「端末名」で決めない

切り分けの次に効くのが、ブレークポイントの決め方です。ここで多くの人が(昔の僕も)間違えます。

やりがちなのが、640px 768px 1024px 1280px を「iPhone用」「iPad用」みたいに端末名で並べること。これは新しい端末や、画面分割表示で簡単に壊れます。スマホを半分だけ表示するWebView、PCのウィンドウを縦半分にした状態。そういう「端末名では言えない幅」が現実には山ほどあります。

僕が基準にするのはコンテンツが苦しくなる幅です。カードの本文が詰まる、ナビが折り返す、広告と本文が近すぎる、入力欄が読みにくい——その「見た目の限界」で線を引く。

そして数は最初から増やさない。僕はまず2本だけで始めます。

  • 48rem(約768px)= 本文とサイドバーを分けられるか
  • 72rem(約1152px)= 横幅を活かして余白やカラム比を調整するか

rem を使うのは、ユーザーがブラウザの文字サイズを変えても破綻しにくいからです。px 固定だと、文字を大きくした人の画面でレイアウトが崩れます。意味のない数字の羅列より、「この幅にはこういう意味がある」と言える2本のほうが、後でレビューもしやすい。3本目が必要になったら、そのときなぜその幅なのかをコメントかPR本文に残します。理由が書けないブレークポイントは、だいたい要らないブレークポイントです。

コピペで動く:使い分けを1枚に詰めたデモ

口で説明するより動かしたほうが早いです。次のコードを responsive-demo.html として保存し、ブラウザで開いてください。ビルドツールは不要です。

ポイントは、ページの骨格は @media、CTAカードは @container で分岐していること。ブラウザのウィンドウ幅を変えるとレイアウト全体が、開発者ツールでサイドバーの幅を変えるとカードだけが、それぞれ独立して反応します。文字サイズは clamp() で下限と上限を固定し、vw 単独指定で巨大化する事故を防いでいます。

<!doctype html>
<html lang="ja">
  <head>
    <meta charset="utf-8" />
    <meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1" />
    <title>メディアクエリとコンテナクエリの使い分けデモ</title>
    <style>
      :root {
        color-scheme: light dark;
        --bg: #f7f8fb;
        --surface: #ffffff;
        --text: #1f2937;
        --line: #d8dee8;
        --accent: #0f766e;
        --accent-strong: #115e59;
        --shadow: 0 12px 30px rgb(15 23 42 / 0.12);
      }

      * { box-sizing: border-box; }

      body {
        margin: 0;
        font-family: system-ui, -apple-system, "Segoe UI", sans-serif;
        /* vw単独指定は避け、下限1rem・上限1.125remで固定する */
        font-size: clamp(1rem, 0.94rem + 0.25vw, 1.125rem);
        line-height: 1.7;
        color: var(--text);
        background: var(--bg);
      }

      .page {
        width: min(100% - 2rem, 72rem);
        margin: 2rem auto;
        display: grid;
        gap: 1.5rem;
      }

      .article, .sidebar-card, .offer {
        background: var(--surface);
        border: 1px solid var(--line);
        border-radius: 8px;
        box-shadow: var(--shadow);
        padding: 1rem;
      }

      .layout { display: grid; gap: 1.5rem; }

      /* CTAカードを囲む箱。この箱の幅をコンテナクエリの基準にする */
      .offer-wrap {
        container-type: inline-size;
        container-name: offer;
      }

      .offer { display: grid; gap: 1rem; }

      .offer-media {
        min-height: 9rem;
        border-radius: 6px;
        background: linear-gradient(135deg, #0f766e, #2563eb);
      }

      .button {
        display: inline-flex;
        min-height: 2.75rem;
        align-items: center;
        padding: 0.7rem 1rem;
        border-radius: 6px;
        background: var(--accent);
        color: #fff;
        font-weight: 700;
        text-decoration: none;
        transition: background-color 180ms ease;
      }
      .button:hover { background: var(--accent-strong); }

      /* === ページ全体の骨格:@media(画面幅で分岐)=== */
      @media (width >= 48rem) {
        .layout {
          grid-template-columns: minmax(0, 1fr) 18rem;
          align-items: start;
        }
      }
      @media (width >= 72rem) {
        .layout {
          grid-template-columns: minmax(0, 2fr) minmax(18rem, 0.8fr);
        }
      }

      /* === 再利用カード:@container(置かれた箱の幅で分岐)=== */
      @container offer (width >= 34rem) {
        .offer {
          grid-template-columns: 14rem minmax(0, 1fr);
          align-items: center;
        }
      }

      /* === ユーザー設定:画面幅とは無関係に尊重する === */
      @media (prefers-color-scheme: dark) {
        :root {
          --bg: #10151f;
          --surface: #18202d;
          --text: #eef2f7;
          --line: #334155;
          --accent: #2dd4bf;
          --accent-strong: #5eead4;
          --shadow: none;
        }
      }
      @media (prefers-reduced-motion: reduce) {
        *, *::before, *::after {
          animation-duration: 0.01ms !important;
          transition-duration: 0.01ms !important;
        }
      }
    </style>
  </head>
  <body>
    <main class="page">
      <div class="layout">
        <article class="article">
          <h2>本文は狭い画面でも読める</h2>
          <p>本文カラムはスマホで縦に積み、横幅が足りたときだけサイドバーが出ます。下のCTAは画面ではなく「箱の幅」で形が変わります。</p>
          <div class="offer-wrap">
            <section class="offer">
              <div class="offer-media" aria-hidden="true"></div>
              <div>
                <h2>レビュー用チェックリスト</h2>
                <p>本文中・サイドバー・LPのどこに置いても崩れません。</p>
                <a class="button" href="#">受け取る</a>
              </div>
            </section>
          </div>
        </article>
        <aside class="sidebar-card" aria-label="関連">
          <h2>関連</h2>
          <p>Grid・Flexbox・アクセシビリティも同じレビューで見ます。</p>
        </aside>
      </div>
    </main>
  </body>
</html>

@media のブロックと @container のブロックが、見た目でくっきり分かれているのがミソです。「全体の都合」と「部品の都合」を別の場所に書くと、半年後の自分が読んでも迷いません。

Claude Codeに渡す依頼文:使い分けまで指定する

ここが実務でいちばん差が出ます。Claude Codeに「レスポンシブにして」とだけ頼むと、@media を場当たり的に増やしたCSSが返ってきがちです。AIが悪いわけじゃなくて、どこを画面幅で見てどこを箱の幅で見るかは、そのサイトの事情を知らないと判断できないからです。だから僕が先に決めて渡します。

対象: 記事詳細ページのレスポンシブCSS

使い分け方針(重要):
- ページ全体の段組み・余白・ナビは @media で分岐
  → @media (width >= 48rem) と (width >= 72rem) の2本だけ使う
- 再利用カード(CTA・価格・関連記事)は @container で分岐
  → 親に container-type: inline-size を付け、置き場所が変わっても崩れないように
- font-size は vw 単独指定を禁止、clamp() で下限と上限を持たせる
- prefers-color-scheme と prefers-reduced-motion を尊重

制約:
- HTML構造は大きく変えない / 広告枠IDは変えない
- 横スクロールを絶対に出さない
- 端末名ベース(iPhone用など)のブレークポイントを足さない

検証:
- 375px, 768px, 1024px, 1440px でスクリーンショット
- dark mode と reduced motion を Playwright で確認
- 追加した @media のうち @container にすべきものがあれば指摘して

レビューを頼むときは「生成」ではなく「批判」を求めます。これも型にしておくと毎回ブレません。

この差分を、メディアクエリとコンテナクエリの使い分けの観点でレビューして。
特に見てほしい順:
1. @media を使っているが本当は @container にすべき箇所
2. 端末名ベースで増えた不要なブレークポイント
3. 横スクロール、読めない文字サイズ、CTAの押しつぶれ
4. prefers-reduced-motion 違反
問題のある行と、最小修正案だけ出して。説明は短くていい。

Playwrightで、目視できない部分まで確認する

ダークモードとモーション設定は、目視だと見落とします。僕も「PCの明るい画面で確認OK」で出して、ダークモードのスマホで文字が沈んでいたことがあります。なので幅・テーマ・モーションを機械でチェックします。

import { test, expect } from "@playwright/test";

const fileUrl = "file:///absolute/path/to/responsive-demo.html";

// 代表幅で横スクロールが出ないか
for (const width of [375, 768, 1024, 1440]) {
  test(`横スクロールなし: ${width}px`, async ({ page }) => {
    await page.setViewportSize({ width, height: 900 });
    await page.goto(fileUrl);
    const hasOverflow = await page.evaluate(() => {
      return document.documentElement.scrollWidth > document.documentElement.clientWidth;
    });
    expect(hasOverflow).toBe(false);
    await expect(page.locator(".offer")).toBeVisible();
  });
}

// ダークモードで本文色が沈まないか
test("ダークモードの文字色", async ({ page }) => {
  await page.emulateMedia({ colorScheme: "dark" });
  await page.goto(fileUrl);
  await expect(page.locator("body")).toHaveCSS("color", "rgb(238, 242, 247)");
});

// モーション軽減でアニメーション時間が抑制されるか
test("reduced motion でトランジション抑制", async ({ page }) => {
  await page.emulateMedia({ reducedMotion: "reduce" });
  await page.goto(fileUrl);
  const duration = await page.locator(".button").evaluate((el) => {
    return getComputedStyle(el).transitionDuration;
  });
  expect(duration).toBe("0.01ms");
});

公式の挙動はMDNのメディアクエリコンテナクエリ、Playwrightのemulation guideで確認できます。仕様の細部はMedia Queries Level 5が一次情報です。

レスポンシブ対応はデザイナーだけの仕事ではありません。広告タグ、埋め込みフォーム、翻訳文、長い商品名、コードブロックが絡むので、実装者が実データで確認するのが鉄則です。短いサンプル文ではなく、実際の記事本文でスクリーンショットを取ると本番の崩れが見えます。

レイアウトの土台が不安なら、CSS GridFlexboxを先に押さえると、この使い分けがすっと入ります。レスポンシブ全体の段取りはレスポンシブデザイン実装ガイドprefers-reduced-motion まわりはアクセシビリティ実装が地続きです。

よくある質問

Q. コンテナクエリって、もう使って大丈夫ですか? A. はい。主要ブラウザはすべて対応済みで、僕も本番で常用しています。古い環境を完全サポートする必要がある案件だけ、フォールバックとして @media 版を併記すれば十分です。

Q. @media@container、どっちを先に決めればいいですか? A. まずページ全体を @media でモバイルファーストに組み、そのあと「箱の中で完結すべき部品」を @container に切り出すのが楽です。最初から全部コンテナクエリにしようとすると、ページ骨格の設計と噛み合わなくなります。

Q. ブレークポイントは結局いくつ作ればいいですか? A. 2本から始めて、足りなければ理由を書いて増やす。これが僕の答えです。48rem72rem で大半のレイアウトは組めます。最初から4本5本並べると、後で「この幅、何のためだっけ」となります。

Q. pxrem、ブレークポイントはどっちで書くべき? A. rem をおすすめします。ユーザーがブラウザの文字サイズを上げたときに、レイアウトが一緒に追従して崩れにくいからです。px 固定だと、文字だけ大きくなって箱からはみ出します。

Q. Claude Codeが @media を増やしすぎます。どうすれば? A. 依頼文に「端末名ベースのブレークポイントを足さない」「再利用カードは @container で」と禁止と方針を明記してください。さらにレビュー依頼で「@media だが @container にすべき箇所を指摘して」と聞くと、自分で直してくれます。

実際に試した結果

冒頭の「価格カードが料金ページで崩れる」問題。原因はずっと @media で殴り続けていたことでした。CTAカードを container-type: inline-size の箱に入れて @container 基準に変えたら、本文中・サイドバー・関連記事枠の3か所に同じカードを置いても、追加CSSゼロで全部収まりました。あれだけ足していた @media を、むしろ消せたんです。

検証も機械任せにしてから安定しました。Playwrightの375px確認で横スクロールが出ないこと、ダークモードで本文色が沈まないこと、reduced motionでボタンの動きが止まること。この3つを通すだけで、「PCでは綺麗なのにスマホで崩れる」が激減しました。

結局のところ、メディアクエリは画面幅の分岐ツールというより、「何を画面で見て、何を箱で見るか」を切り分ける設計の道具です。Claude Codeにも、CSSを書かせる前にその切り分けを渡す。そこまで決めれば、レスポンシブ対応はレビューできる実装になります。実装テンプレートが欲しい人は教材一覧を、チームのレビュー体制ごと整えたい人は研修・相談をのぞいてみてください。

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この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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