フィットネスジムの会員フォローとメニュー作成をClaude Codeで時短する実務手順
退会予兆の会員フォローとトレーニングメニュー作成を、Claude Codeと生成AIで時短。プロンプト雛形・チェックリスト・検証スクリプト付きの実務記事。
金曜の夜10時。最後の会員さんを見送って、フロントの照明を半分落としたあと、僕はまだパソコンの前にいました。来週分のフォロー連絡が、まだ12人ぶん残っている。Aさんは先月から来店が減っている。Bさんは入会2週間で一度も予約が入っていない。一人ずつカルテを開いて、前回のメニューを確認して、「最近お変わりないですか」みたいな当たり障りのないLINEを打つ。これを毎週やっていると、トレーニング指導より連絡作業のほうが長い日が普通にあります。
しかも、フォロー文を考えているうちに集中力が切れて、肝心の「この人は何が原因で足が遠のいたのか」を考えきれないまま、テンプレを少しいじっただけのメッセージを送ってしまう。あとで「結局あの人、退会しちゃったな」と気づく。あの後悔、たぶんジムをやっている人なら一度はあると思います。
僕はこの「連絡作業の沼」を、Claude Codeと生成AIにかなり預けました。完璧な自動化ではないです。でも、下ごしらえをAIにやらせて、人は判断だけする形にしたら、毎週の事務作業が体感で半分以下になりました。今日はそのやり方を、コピペで使える雛形ごと置いておきます。
この記事の要点
- 会員フォローは「文章を書く時間」より「誰に何を言うか決める時間」が本体。AIには下ごしらえを任せ、送る判断は人がやる。
- 退会の予兆がある会員の抽出、フォロー文の下書き、トレーニングメニューのたたき台、この3つはAIに向いている。
- そのまま使えるプロンプト雛形と、会員データを安全に扱うための検証スクリプトを置いた。
- 個人情報は実名・連絡先をAIに渡さない設計にする。匿名IDだけで回す。
- 小さなジムでも、週あたり3〜5時間の事務削減は現実的なライン。
まず読者像と、いまの業務フローを整理する
この記事が役に立つのは、たとえばこんな人です。会員50〜300人くらいの中小ジムやパーソナルジムのオーナー、または現場のトレーナー。専属の事務スタッフはいないか、いても1人。集客はそこそこできているのに、入った会員が3か月以内に静かに離れていく。その対策をしたいけれど、日々の指導で手一杯。
いまのフォロー業務を分解すると、だいたいこの順番で回っています。
- 来店履歴や予約システムを開いて、最近来ていない会員をなんとなく探す
- その人のカルテ・前回メニュー・目標を思い出す
- LINEや専用アプリでフォロー文を考えて送る
- 返信が来たら次回予約につなげる
- 来週分のトレーニングメニューを一人ずつ組む
問題は1から3が「毎回ゼロから手作業」なところです。ここで一番よく起きる手戻りが、「来ていない人を見落とす」と「メニューを組んだあとに会員の体調・目標変更を聞いて作り直す」の2つ。前者は売上に直結するのに、後回しにされがちです。
Use case 1: 退会予兆の会員を毎週洗い出す
最初の一手は「誰にフォローすべきか」のリストアップです。ここは判断材料を機械的に並べる作業なので、AIに向いています。
予約システムからCSVを書き出せるなら、来店日・入会日・直近の予約有無を匿名IDで渡して、リスク順に並べてもらう。実名は渡しません。会員番号やハッシュ化したIDだけで十分です。
下のチェックリストを満たす会員を「要フォロー」として拾わせます。
- 直近14日来店がない(週2想定の会員)
- 入会30日以内で来店2回以下
- 前回フォロー後に返信も来店もない
- 目標達成期限の1か月前を切っている
AIに任せるのはここまで。「この人には何を言うか」「そもそも連絡するか」は人が決めます。たとえば「先週ケガの話を聞いたから今は触れないでおこう」みたいな現場の文脈は、データには出ません。そこを人が拾う。
Use case 2: フォロー文の下書きを会員ごとに用意する
リストができたら、次は文面です。ここでAIが効きます。ただし、送る文をそのまま自動送信はしません。下書きを作らせて、人が3秒で直す。これがちょうどいい塩梅でした。
会員のタイプ別に、トーンを変えた下書きを並べてもらうと走査が速くなります。
| 会員タイプ | 状況 | 文面の方向性 |
|---|---|---|
| 入会直後・低頻度 | 2週間来店なし | 不安を減らす。次回の小さな目標を提示 |
| 中だるみ | 来店が月2回に減少 | 成果の振り返り。停滞期の説明 |
| 目標達成間近 | あと一歩 | 達成後の次の目標を一緒に描く |
| 久しぶり連絡 | 1か月以上空き | 責めない。再開のハードルを下げる |
このタイプ分けをプロンプトに含めると、AIが文面を一気に書き分けます。
Use case 3: トレーニングメニューのたたき台を作る
3つ目はメニュー作成です。会員の目標・現状・使える器具・前回の負荷を渡すと、AIが週単位のたたき台を返します。
ここで強調したいのは、AIが出すのは「たたき台」だという点です。可動域の制限、持病、当日の体調、フォームの癖。こういう安全に直結する部分は、必ずトレーナーが上書きします。AIに任せるのは、種目の組み合わせ・セット数の目安・前回からの漸進の素案まで。最終的に「この人にこの重量を持たせていいか」を決めるのは人です。
人が必ず判断する範囲を、はっきり線引きしておきます。
- 既往歴・痛みのある部位に関わる種目の可否
- 高重量・高強度を許可するかどうか
- 当日の体調を見たメニュー差し替え
- 食事・サプリの個別アドバイス(医療に近い領域は特に慎重に)
コピペで使えるプロンプト雛形
実際に僕が使っている雛形です。会員データは匿名IDだけにして、実名や連絡先は入れません。
あなたは中小フィットネスジムのフォロー担当アシスタントです。
以下の会員データ(匿名ID・来店履歴・目標のみ)を読み、
1) 要フォロー会員をリスク高い順に並べる
2) 各会員に、責めない・次回の小さな目標を含むLINE下書きを1案ずつ作る
- 120字以内、絵文字は1つまで、敬語
- 入会直後/中だるみ/久しぶり、のどのタイプか明記
3) トレーナーが確認すべき注意点を1行で添える
出力は表形式。実名・電話・住所は出力しない。
データ:
{ここに匿名CSVを貼る}
メニュー用はこちらです。
あなたはパーソナルトレーナーの補助役です。
会員の目標・現状・使える器具・前回メニューを読み、
今週の3回分メニューのたたき台を作ってください。
- 種目名・目安セット数・前回からの漸進案
- 安全上トレーナーが確認すべき点を各日1行で明記
- 既往歴に触れる種目は「要確認」と必ずマークする
出力は表。最終判断はトレーナーが行う前提で書く。
会員データ:
{ここに匿名データを貼る}
個人情報を守る検証スクリプト
会員データをAIに渡す前に、実名・電話・メールが混ざっていないか機械でチェックします。人の目視確認は必ず漏れるので、ここは門番を置きます。Node.jsで動く小さな検証スクリプトです。
import { readFile } from "node:fs/promises";
// 渡すCSVに個人情報が混じっていないか機械チェックする門番
const text = await readFile(process.argv[2] || "members.csv", "utf8");
const rules = [
{ name: "電話番号", re: /0\d{1,4}-?\d{1,4}-?\d{3,4}/g },
{ name: "メール", re: /[A-Za-z0-9._%+-]+@[A-Za-z0-9.-]+\.[A-Za-z]{2,}/g },
{ name: "氏名カラム", re: /(氏名|名前|フルネーム|name)\s*[::,]/gi },
];
let hit = 0;
for (const rule of rules) {
const found = text.match(rule.re);
if (found) {
hit += found.length;
console.log(`NG: ${rule.name} らしき値を ${found.length} 件検出`);
}
}
if (hit === 0) {
console.log("OK: 個人情報らしき値は見つかりません。匿名IDのまま渡せます。");
process.exit(0);
} else {
console.log("--- AIに渡す前に該当列を削除してください ---");
process.exit(1);
}
実行はこれだけです。
node check-pii.mjs members.csv
NG が出たら、その列を消してから渡す。OK が出るまでAIに渡さない、という運用にすると、うっかり実名を貼る事故が消えます。Claude Codeに「このスクリプトをフォルダ内のCSV全部に回して」と頼めば、書き出しのたびに自動でかけられます。基本的な始め方はClaude Codeの始め方ガイドに、プロジェクト固有のルールを覚えさせるやり方はCLAUDE.mdのベストプラクティスにまとめてあります。
導入前と後で、何が変わったか
数字で書くと伝わりやすいので、僕の手元の概算を置きます。会員120人規模のジムで、週次フォローにかけていた時間です。
| 作業 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 要フォロー会員の洗い出し | 約60分 | 約10分 |
| フォロー文の作成(12人分) | 約90分 | 約25分 |
| メニューたたき台作成(10人分) | 約120分 | 約40分 |
| 合計(週あたり) | 約4.5時間 | 約1.25時間 |
週3時間ちょっとの削減です。時給換算で月に1万〜2万円ぶん、何より「指導に頭を使える時間」が戻ってきた感覚のほうが大きい。プロンプトの精度を上げる工夫はプロンプトエンジニアリングの応用が参考になります。AIに不慣れな人は、まず非エンジニア向けのClaude Code入門から触ると入りやすいはずです。
ROIの目安として、月額1万円前後のツール費用なら、フォロー強化で月に会員1人の退会を防げれば余裕で元が取れます。退会率の数字は厚生労働省のフィットネス関連統計のような公的データも参考にしつつ、自店の実数で測るのが確実です。
よくある質問
Q. AIが書いた文をそのまま送って大丈夫ですか。 やめたほうがいいです。下書きとして使い、送る前に必ず人が読む。会員の名前や直近の出来事を一言足すだけで、機械っぽさは消えます。送信そのものを自動化しないのが、信頼を壊さないコツです。
Q. 会員の名前や連絡先をAIに入れていいですか。 入れないでください。匿名IDと、来店履歴・目標だけで回せます。上の検証スクリプトでチェックしてから渡す運用にすれば、事故はほぼ防げます。
Q. パソコンが苦手でも使えますか。 Claude Codeは会話で指示できます。CSVを書き出して、プロンプトを貼るところまでできれば十分です。最初の小さな一歩を踏み出す手順は入門記事にあります。
Q. メニューの安全性が心配です。 AIの出力はたたき台までと割り切ってください。重量設定・既往歴に触れる種目は、必ずトレーナーが上書きする前提で運用します。線引きを最初に決めておけば、AIは下ごしらえ係として安全に使えます。
Q. どの作業から始めるのがいいですか。 要フォロー会員の洗い出しからがおすすめです。失敗しても誰にも迷惑がかからず、効果がすぐ見えるからです。慣れてきたらフォロー文、最後にメニュー、と広げていくと無理がありません。
実際に試した結果
僕が確かめたのは、「AIに全部任せる」と「下ごしらえだけ任せる」のどちらが現場で続くか、でした。結論として、続いたのは後者です。
最初は欲張って自動送信まで組みました。でも、ある会員に「先週の体調どうですか」と送ったら、その人は前日に来店して絶好調を報告していた。データの取り込みが1日ずれていたんです。送ってから青ざめました。それ以来、送信は必ず人が押す形に戻しました。
逆に、検証スクリプトと洗い出しは大当たりでした。実名混入のチェックを挟んだら、これまで何度かヒヤッとしていた「会員名簿をそのまま貼りそうになる」事故がゼロになった。要フォローの洗い出しも、勘で探していた頃より見落としが減って、入会1か月以内の会員への初回フォローが間に合うようになりました。会社として本格的に運用に乗せたい場合は、現場に合わせた設計を一緒に詰める研修・相談も使えます。まずは個人で試すなら、教材や無料PDFをこちらに置いています。AIは魔法ではないけれど、下ごしらえを任せて人は判断に集中する、この分担を守るだけで、毎週の夜10時はずいぶん早く帰れるようになりました。
無料PDF: Claude Code はじめてのチートシート
まずは無料PDFで基本コマンドと最初の使い方をまとめて確認してください。登録後はそのままテンプレート集や導入相談にも進めます。
スパムは送りません。登録情報は厳重に管理します。
Claude Codeを仕事で使える形にしませんか?
まず無料PDFで基本を固め、繰り返し使う作業はGumroad教材へ、チーム導入や権限設計は導入相談へ進めます。
この記事を書いた人
Masa
Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。
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