Tips & Tricks (更新: 2026/6/7)

devcontainer.jsonで開発環境を1ファイル化する:Codespacesもチームも同じ箱で動かす

「僕のPCでは動く」を消す方法。devcontainer.jsonの書き方、features、postCreateCommand、Codespacesでの再現、Claude Codeを隔離して安全に走らせるコツを実例で。

devcontainer.jsonで開発環境を1ファイル化する:Codespacesもチームも同じ箱で動かす

新メンバーに「環境セットアップ、READMEに書いてあるからよろしく」と言った3時間後。Slackに「Node、18でいいですか?」「psqlって何で入れます?」「拡張機能どれ入れました?」と質問が並んでいました。

READMEには手順を書いたつもりでした。でも手順書は、書いた瞬間から少しずつ古くなる。Nodeのバージョンは上がるし、誰かがこっそり入れたCLIは書き忘れる。「僕のPCでは動く」が、チームの口癖になっていました。

このループを断ち切るのが Dev Container です。開発環境そのものを devcontainer.json という1ファイルに書いて、リポジトリに置く。エディタがそれを読んでコンテナを立て、全員がまったく同じ箱の中で作業する。手順書を読ませる代わりに、環境を配る発想です。

この記事は、Docker Composeで複数サービスを束ねる話ではなく(それは別記事に分けます)、devcontainer.json 1ファイルから始めて、features・postCreateCommand・Codespaces・Claude Codeの隔離までを、僕が実際にハマった順で書きます。

この記事の要点

  • Dev Containerは「開発環境をコードにする」仕組み。devcontainer.json をリポジトリに置けば、VS CodeでもCodespacesでも全員が同じ箱で動く。
  • まずは image + features だけの最小構成で動く。Dockerfileは後からで十分。
  • features はNodeやGitHub CLIなどを1行で足せる公式パーツ。自前のインストール手順を減らせる。
  • postCreateCommand で初回の npm ci やPrisma生成を自動化。set -euo pipefail で失敗を隠さない。
  • Claude Codeをコンテナの中で走らせると、ホストの鍵や別案件のファイルから隔離できる。remoteUser は非rootにする。

Dev Containerって、要するに何?

Dev Containerは、開発環境をDockerコンテナとして定義し、エディタをその中につなぐ仕組みです。

ふだんアプリを動かすコンテナは「本番用の箱」ですよね。Dev Containerはそれの開発版で、ターミナル、言語サーバー、テスト、Gitクライアント、それにClaude CodeのようなCLIまで、全部この箱の中に入れます。エディタ(VS Code、Cursor、GitHub Codespaces)はホストPCで動きますが、コマンドを叩く先は箱の中。だから箱の中身さえ揃えれば、誰のPCでも同じ結果になります。

たとえるなら、引っ越しのたびに家具をバラ買いするのをやめて、「この部屋まるごと」を持ち運べるようにする感じです。Node 22、psql、ripgrep、お気に入りの拡張機能。これを一度書いておけば、新しいPCでもCodespacesでも、開いた瞬間に同じ部屋ができあがります。

設定ファイルの置き場所は決まっています。リポジトリ直下の .devcontainer/devcontainer.json(または .devcontainer.json)です。エディタはここを最初に読みます。仕様そのものはDev Container Specification(公式)で公開されていて、特定のエディタに縛られないオープンな規格になっています。

まず動かす:image と features だけの最小構成

いきなりDockerfileを書く必要はありません。最初は imagefeatures の2つで動きます。.devcontainer/devcontainer.json をこれだけ書いてみてください。

{
  "name": "my-dev",
  "image": "mcr.microsoft.com/devcontainers/typescript-node:1-22-bookworm",
  "features": {
    "ghcr.io/devcontainers/features/github-cli:1": {},
    "ghcr.io/devcontainers/features/docker-outside-of-docker:1": {}
  },
  "forwardPorts": [3000],
  "postCreateCommand": "node --version && npm --version",
  "remoteUser": "node",
  "customizations": {
    "vscode": {
      "extensions": [
        "dbaeumer.vscode-eslint",
        "esbenp.prettier-vscode"
      ]
    }
  }
}

VS Codeでこのリポジトリを開くと、右下に「Reopen in Container」と出ます。押すだけ。初回はイメージを取りに行くので数分かかりますが、2回目以降はすぐ立ち上がります。コンテナの中でターミナルを開いて node --version を叩けば、v22 が返るはずです。ホストにNodeを入れていなくても、です。

ここで効いているのが各キーの役割です。ざっと並べると、こうなります。

キー役割つまずきやすい点
imageベースになる開発イメージタグを固定しないと再現性が崩れる
featuresNodeやghなどを足す公式パーツバージョン指定はオプションで渡す
forwardPortsコンテナのポートをローカルに通す外部公開とは別物
postCreateCommand初回作成後に1回だけ走る常駐プロセスを入れると終わらない
remoteUserコンテナ内で使うユーザーrootにすると所有者が崩れる
customizations.vscode拡張機能やエディタ設定全員に強制される点を意識する

最小構成のいいところは、壊しても戻せることです。まずこれを動かして、必要になったらピースを足す。最初から完璧な設定を目指すと、たいてい途中で力尽きます。

features を使うとインストール手順が消える

僕が最初に書いたDev Containerは、Dockerfileに apt-get install を10行くらい並べた力作でした。GitHub CLIを入れて、Python入れて、AWS CLI入れて……。動いたけど、メンテがつらい。バージョンを上げるたびにインストールスクリプトとにらめっこです。

そこで知ったのが features でした。よく使うツールを「公式の部品」として1行で足せる仕組みです。ghcr.io/devcontainers/features/... の形で指定すると、エディタが裏でインストールスクリプトを走らせてくれます。

たとえばこう書くと、GitHub CLI・Go・特定バージョンのNodeが入ります。

{
  "image": "mcr.microsoft.com/devcontainers/base:bookworm",
  "features": {
    "ghcr.io/devcontainers/features/node:1": { "version": "22" },
    "ghcr.io/devcontainers/features/github-cli:1": {},
    "ghcr.io/devcontainers/features/go:1": { "version": "1.23" }
  }
}

ポイントは、{ "version": "22" } のようにオプションを渡せることです。Nodeのバージョンを18にしたければ値を変えるだけ。Dockerfileの中身をいじる必要がありません。利用できる部品はDev Container Features(公式カタログ)に一覧があります。Node、Python、Go、Rust、Docker、AWS/GCP CLIあたりは一通り揃っています。

ただし万能ではありません。featuresは便利な反面、「何が入っているか」がカタログ任せになります。バージョンを厳密に固定したい、社内のプロキシ越しにインストールしたい、独自パッチを当てたい——こういう要求が出てきたら、Dockerfileに切り替えるサインです。最初はfeatures、要件が固まったらDockerfile。この順番が楽でした。

postCreateCommand で初回セットアップを自動化する

コンテナが立ち上がっても、npm install が済んでいなければアプリは動きません。これを毎回手で叩くのは事故のもとです。誰かが忘れて「動かない」と言い出す。

そこで postCreateCommand を使います。コンテナ作成後に1回だけ走るコマンドです。依存インストールやコード生成をここに寄せます。ただし、長いコマンドをJSONの1行に詰め込むとレビューしづらいので、僕はシェルスクリプトに分けています。

devcontainer.json 側はこう。

{
  "postCreateCommand": "bash .devcontainer/post-create.sh"
}

中身の .devcontainer/post-create.sh がこちらです。コピペで動きます。

#!/usr/bin/env bash
set -euo pipefail

echo "==> 依存関係をインストール(lockfileを優先)"
if [ -f pnpm-lock.yaml ]; then
  corepack enable
  pnpm install --frozen-lockfile
elif [ -f package-lock.json ]; then
  npm ci
elif [ -f package.json ]; then
  npm install
else
  echo "package.json が無いのでスキップします"
fi

# Prismaを使うプロジェクトならクライアントを生成
if [ -f prisma/schema.prisma ]; then
  echo "==> Prisma client を生成"
  npx prisma generate
fi

echo "==> バージョン確認"
node --version
npm --version

1行目の set -euo pipefail が地味に大事です。これを入れておくと、インストールに失敗した時点でコンテナ作成を止めてくれます。これが無いと、依存が入っていない壊れた箱の中で作業が始まり、「なぜか動かない」を延々と追うことになります。

npm install ではなく npm ci を優先しているのも理由があります。npm installpackage-lock.json を勝手に書き換えることがある。チームで使うなら、lockfileを尊重する npm ci を初回に回すほうが、全員の依存ツリーが揃います。

ちなみに、ここで npm run dev のような常駐プロセスを入れてはいけませんpostCreateCommand はそれが終わるまでコンテナ作成が完了しないので、サーバーを起動すると永遠に終わりません。開発サーバーはターミナルで手動起動するか、VS Codeのtaskに分けます。

GitHub Codespacesで同じ箱を開く

Dev Containerの本領は、ローカルを離れたときに出ます。GitHub Codespacesは、この .devcontainer をクラウド上のマシンで読んで、ブラウザのVS Codeにつないでくれるサービスです。

うれしいのは、ローカルとCodespacesでまったく同じ箱が立つことです。出張先の非力なノートでも、リポジトリのCodespacesを開けば、いつものNode 22とpsqlが入った箱がブラウザに出てきます。「このPCにはDocker入れてないから」が言い訳にならなくなりました。

Codespacesでありがちなのが、秘密情報の渡し方です。ローカルなら .env をうっかり置いても自分しか見ませんが、Codespacesはクラウドです。APIキーはリポジトリやOrganizationのCodespaces secretsに登録し、環境変数として注入します。手順はGitHub Codespaces公式ドキュメントに整理されています。devcontainer.json に平文で書くのだけは絶対にやめてください。

もう一点、Codespacesではマシンのスペックを選べます。重いビルドが多いリポジトリなら4-coreや8-coreを選ぶ。逆に放置すると課金が続くので、使わないCodespaceは停止する癖をつけます。ローカルと違って「電源を切れば終わり」ではない、という意識が要ります。

Claude Codeをコンテナの中に閉じ込めて安全に走らせる

ここからが、僕がDev Containerを手放せなくなった本当の理由です。

Claude Codeのようなエージェント型のツールは、ファイルを読んで、編集して、テストを走らせて、Gitを操作します。便利です。でもホストPCで直接走らせると、ふと不安になる。~/.ssh の鍵、別案件の .env、クラウドの認証ファイル——AIが読むつもりがなくても、ログやツール実行でたまたま見える状態にしたくない。

そこでClaude Codeをコンテナの中だけで動かします。箱には「この案件に必要なものだけ」入れる。ホストの鍵や別案件のファイルは、そもそも箱の中に存在しません。隔離がそのまま安全装置になります。

devcontainer.json にClaude Code向けの設定を足すとこうなります。

{
  "image": "mcr.microsoft.com/devcontainers/typescript-node:1-22-bookworm",
  "remoteUser": "node",
  "features": {
    "ghcr.io/anthropics/devcontainer-features/claude-code:1": {}
  },
  "mounts": [
    "source=claude-config-${devcontainerId},target=/home/node/.claude,type=volume"
  ],
  "containerEnv": {
    "DISABLE_AUTOUPDATER": "1"
  },
  "customizations": {
    "vscode": {
      "extensions": ["anthropic.claude-code"]
    }
  }
}

3つだけ押さえてください。

ひとつ目、remoteUser は必ず node のような非rootにします。rootで走らせると、AIが作ったファイルの所有者がrootになり、ホスト側で編集できなくなることがある。それに権限まわりの被害も大きくなります。

ふたつ目、mounts~/.claude を named volume にしています。これでコンテナをrebuildしてもClaude Codeのセッションや設定が残ります。${devcontainerId} を入れているのは、プロジェクトごとにvolumeを分けるためです。全案件で同じvolumeを使い回すと、認証情報が混ざる恐れがあります。

みっつ目、features でClaude Code CLIを入れています。チームで「昨日と同じ挙動」を確認したいなら、Dockerfileで @anthropic-ai/[email protected] のようにバージョン固定するのも手です(2026-06-07時点の最新は npm view @anthropic-ai/claude-code version で確認しました)。DISABLE_AUTOUPDATER=1 を入れているのも、rebuildのたびに挙動が変わるのを防ぐためです。

最新の手順や --dangerously-skip-permissions の注意点は、Claude Code公式のDev Containerドキュメントが一次情報です。ひとつ釘を刺すと、「コンテナの中だから何でも安全」ではありません。bind mountしたワークスペースはホストのファイルでもあるので、AIが消したファイルはホストでも消えます。権限スキップを使うなら、Gitで戻せる状態・短時間の検証に限る、と決めておくのが現実的です。

僕がDev Containerでやらかした失敗3つ

正直に書きます。最初のDev Containerは穴だらけでした。

ひとつ目は、ホストの node_modules を共有したこと。WindowsやmacOSで作った node_modules をLinuxコンテナにそのままbind mountしたら、ネイティブモジュールが壊れて謎のエラーが出ました。node_modules はnamed volumeに逃がして、コンテナの中でインストールし直す。初回は少し時間がかかりますが、OS差の事故が消えます。

ふたつ目は、ポートを全部公開したこと。「つながらないから」とDBもRedisも片っ端から外に開いたら、ホストのPostgreSQLと番号が衝突しました。VS Codeから使うだけなら forwardPorts で十分で、これは外部公開とは別物です。本当に外部から繋ぎたい時だけ、明示的にpublishする。この順番にしてから事故が減りました。

みっつ目は、.env を箱に入れて満足したこと。権限設定で守った気になっていましたが、いちばん強いのはそもそも渡さないことです。開発用の DATABASE_URL はコンテナ内サービス向けにして、本番APIキーはCodespaces secretか手動入力に分ける。最初から箱に入れなければ、漏れようがありません。

よくある質問

Q. Dev ContainerとふつうのDockerは何が違う? 本番用のDockerはアプリを動かす箱ですが、Dev Containerは開発するための箱です。エディタが中につながり、ターミナル・拡張機能・言語サーバー・Claude Codeまで箱の中で動かします。目的が「実行」か「開発」かの違いです。

Q. Dockerfileは必須? いいえ。imagefeatures だけで始められます。バージョンを厳密に固定したい、独自のインストール手順がある、といった要件が出てきてからDockerfileに切り替えれば十分です。

Q. VS Code以外でも使える? 使えます。Dev Containerはオープンな仕様で、Cursor、GitHub Codespaces、JetBrains系など複数のツールが対応しています。devcontainer.json 自体は共通です。

Q. Codespacesは無料? 個人アカウントには毎月の無料枠があり、超えると従量課金です。使わないCodespaceを停止し忘れると課金が続くので、停止の習慣が要ります。詳細はGitHub公式を確認してください。

Q. 複数のDBやサービスをまとめて立てたい場合は? devcontainer.json 単体でも features で足せますが、アプリ+PostgreSQL+Redisのように複数コンテナを束ねるならDocker Composeが向いています。その設計はClaude Code Docker Compose開発環境ガイドに分けて書きました。

実際に試した結果

冒頭の「Slackに質問が並ぶ問題」は、devcontainer.json を1枚置いただけでほぼ消えました。新メンバーには「リポジトリを開いてReopen in Containerを押して」とだけ伝えればいい。Nodeのバージョンも拡張機能も、聞かれなくなりました。

いちばん効いたのは、凝った設定ではなく小さく始めたことです。最初は image + features + postCreateCommand の3点だけ。動いてから、Claude Codeの隔離やvolume分離を足していきました。一方で、欲張って最初からDocker Composeで全部組もうとした別リポジトリは、設定が複雑すぎて誰もメンテしなくなりました。

環境をコードにすると、「僕のPCでは動く」が「リポジトリで動く」に変わります。手順書を更新し続ける消耗から解放されるだけでも、書く価値がありました。導入の全体像はClaude Code開発環境セットアップに、検証をCIに載せる流れはClaude Code CI/CDセットアップガイドにまとめてあります。

チームのDev Container設計や権限ルールの整備で詰まったら、研修・相談でテンプレートごと一緒に組み立てられます。まずは最小の devcontainer.json を1枚、リポジトリに置くところから始めてみてください。

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Masa

この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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