Use Cases (更新: 2026/6/7)

管理ダッシュボードをReactで作る:チャート選びからURL同期まで

管理ダッシュボードをReactで作るときに迷う5点を実装で解決。チャート選び、データ取得とキャッシュ、フィルタのURL同期、グリッド、大量データ対策を動くコードで。

管理ダッシュボードをReactで作る:チャート選びからURL同期まで

「管理画面のダッシュボードを作って」

Claude Codeにそう投げて出てきたのは、グラフが3つ並んだきれいな画面でした。デモでは完璧。でも本番データを流し込んだ瞬間に崩れたんです。期間フィルタを変えてもグラフが追従しない。ブラウザの戻るボタンを押すと表示が初期化される。1万行のテーブルでスクロールがカクつく。誰かにURLを送っても、その人の画面では別の期間が出る。

見た目だけ作ると、こうなります。

管理ダッシュボードの本体は、棒グラフでも円グラフでもありません。「期間とフィルタを切り替えるたびに、画面・URL・データ取得がぴったり揃って動く」仕組みのほうです。グラフは最後に乗せる飾りで、難所はその下の配管にあります。今日はそこを、コピペで動くコード中心で組み立てます。

この記事の要点

  • 管理ダッシュボードで詰まるのは大きく5点。チャート選び・データ取得とキャッシュ・フィルタのURL同期・グリッドレイアウト・大量データの描画。
  • チャートライブラリはRecharts(Reactに馴染む宣言的API)を基準にし、凝った図だけD3へ逃がす。選定の詳細はチャートライブラリ比較記事へ。
  • データ取得はfetchを直書きせず、TanStack Queryでキャッシュ・再取得・ローディングを一括管理する。
  • 期間やフィルタはuseStateではなくURLクエリに持たせる。これだけで共有・ブックマーク・戻る進むが全部直る。
  • 行数が増えたら表は仮想スクロール、グラフは間引き集計で守る。Claude Codeには「画面」より先に「データの契約」を作らせる。

管理ダッシュボードで本当に詰まる5つの場所

最初に全体像を出します。グラフの種類で悩む時間は実はわずかで、効くのはこの5つです。

詰まる場所やりがちな失敗この記事の方針
チャート選びとりあえずD3で全部描いて沼るRechartsを基準、凝った図だけ別ライブラリ
データ取得useEffectfetch直書きTanStack Queryでキャッシュと再取得を任せる
フィルタuseStateに期間を持つURLクエリに持たせて共有可能にする
レイアウト固定幅で並べて崩れるCSS Gridでレスポンシブに自動折返し
大量データ1万行をそのまま描画表は仮想スクロール、グラフは間引き

このうち2〜4は「配管」です。配管が通っていれば、グラフ部品の差し替えは数行で済みます。逆にグラフから作り始めると、フィルタを足すたびに全部書き直すことになります。だから順番が大事なんですね。

チャートライブラリは「宣言的に書けるか」で選ぶ

管理ダッシュボードの9割は、折れ線・棒・面・円で足ります。ここで凝った可視化ライブラリを持ち出すと、学習コストが跳ね上がるだけです。

僕の基準はシンプルです。

  • Recharts: ReactのコンポーネントとしてJSXで書ける。<LineChart>の中に<Line>を置く感覚。管理画面の標準KPIならこれで十分。
  • Chart.js: canvas描画で軽い。React連携はreact-chartjs-2が必要で、設定はオブジェクト渡し。点数が多い時間系列に強い。
  • D3.js: なんでも描けるが、自分でSVGを組む低レイヤー。サンキー図やネットワーク図など、上2つで描けない図だけに使う。

最初はRecharts一本でいい、というのが結論です。ライブラリ選定の比較表と判断フローはRecharts・Chart.js・D3の使い分けに詳しく書いたので、迷ったらそちらを。グラフの「見せ方」自体で悩むならデータ可視化の考え方が起点になります。

Rechartsを入れるのはこれだけです。

npm install recharts @tanstack/react-query

公式の使い方はRecharts公式ガイドを見ると早いです。ResponsiveContainerで囲むと親要素の幅に追従するので、グリッドの中でも崩れません。

データ取得は素のfetchをやめてキャッシュに任せる

ダッシュボードは同じデータを何度も読みます。タブを切り替えて戻る、期間を変えてまた戻す、別の人が同じ画面を開く。ここでuseEffectの中にfetchを直書きすると、毎回ネットワークが走り、ローディングのちらつきとレースコンディションが必ず出ます。

useStateuseEffectで取得を書くと、こういう状態を全部自分で管理することになります。

  • 読み込み中フラグ
  • エラー
  • 取得済みデータのキャッシュ
  • 古くなったときの再取得
  • 連打したときの古いレスポンス破棄

これを毎画面で手書きするのは事故のもとです。TanStack Queryに任せると、queryKey(このデータの住所)とqueryFn(取り方)を渡すだけで、上の5つを全部見てくれます。SWRでもほぼ同じ発想で組めますが、無効化や楽観的更新まで踏み込むならTanStack Queryが扱いやすい。キャッシュ設計の踏み込んだ話はTanStack Queryのキャッシュ設計にまとめました。

ポイントは、queryKeyにフィルタ条件を含めることです。["dashboard", from, to, plan]のようにすると、期間やプランを変えた瞬間に別のキャッシュとして扱われ、自動で再取得が走ります。これが後で「URL同期」とつながります。

フィルタはuseStateではなくURLに持たせる

ここが管理ダッシュボードの一番のキモです。

期間やプランの選択をuseStateで持つと、見た目は動きます。でも、その状態は画面の中に閉じ込められます。URLを送っても相手は別の条件を見るし、ブラウザの戻るは効かないし、リロードで消えます。

代わりにURLのクエリ文字列を唯一の状態にします。?from=2026-05-01&to=2026-05-31&plan=proをそのまま「いま何を見ているか」にするわけです。すると勝手にこうなります。

  1. URLをSlackやメールでそのままシェアできる。相手も同じ画面を見る。
  2. ブラウザの戻る・進むが、期間の戻る・進むになる。
  3. リロードしても条件が消えない。
  4. その条件をqueryKeyに渡せば、データ取得とも自動で同期する。

Next.jsのApp RouterならuseSearchParamsでクエリを読み、router.replaceで書き換えます。React RouterでもuseSearchParamsという同名のフックがあり、考え方は同じです。状態をどこに置くか全体の判断軸はReact状態管理の整理も参考になります。

コピペで動く:URL同期つきダッシュボード

ここまでの「データ取得(TanStack Query)」「URL同期」「Rechartsグラフ」を1つにまとめた、そのまま貼れるNext.js(App Router)のclient componentです。@tanstack/react-queryのProviderだけ親側に置けば動きます。期間ボタンを押すとURLが変わり、URLが変わるとデータが取り直され、グラフが更新されます。

"use client";

import { useSearchParams, useRouter, usePathname } from "next/navigation";
import { useQuery } from "@tanstack/react-query";
import {
  CartesianGrid, Line, LineChart, ResponsiveContainer, Tooltip, XAxis, YAxis,
} from "recharts";

// 1日あたりの売上を表す行。APIが返すJSONの形をここで固定する
type DailyPoint = { date: string; revenue: number };

// 期間プリセット(日数)。URLには from / to の日付文字列を入れる
const PRESETS = [
  { label: "7日", days: 7 },
  { label: "30日", days: 30 },
  { label: "90日", days: 90 },
];

function isoDaysAgo(days: number) {
  const d = new Date();
  d.setDate(d.getDate() - days);
  return d.toISOString().slice(0, 10); // YYYY-MM-DD
}

// 通貨表示はIntlに任せる。手書きの "¥" 連結はバグの温床
const yen = new Intl.NumberFormat("ja-JP", {
  style: "currency", currency: "JPY", maximumFractionDigits: 0,
});

async function fetchSeries(from: string, to: string): Promise<DailyPoint[]> {
  const res = await fetch(`/api/dashboard/series?from=${from}&to=${to}`);
  if (!res.ok) throw new Error(`取得に失敗しました (${res.status})`);
  return res.json();
}

export default function DashboardPage() {
  const params = useSearchParams();
  const router = useRouter();
  const pathname = usePathname();

  // 状態の置き場所はURLだけ。useStateで期間を持たない
  const to = params.get("to") ?? isoDaysAgo(0);
  const from = params.get("from") ?? isoDaysAgo(30);

  // URLを書き換える。これがフィルタ変更の唯一の入口
  function applyPreset(days: number) {
    const next = new URLSearchParams(params);
    next.set("from", isoDaysAgo(days));
    next.set("to", isoDaysAgo(0));
    router.replace(`${pathname}?${next.toString()}`); // 履歴を汚さず差し替え
  }

  // queryKeyに from/to を入れる → 期間が変わると自動で取り直す
  const { data, isPending, isError, error } = useQuery({
    queryKey: ["dashboard", "series", from, to],
    queryFn: () => fetchSeries(from, to),
    staleTime: 60_000, // 1分間はキャッシュを新鮮扱いして無駄打ちを防ぐ
  });

  return (
    <main className="space-y-4 p-6">
      <header className="flex flex-wrap items-center gap-3">
        <h1 className="text-xl font-bold">売上ダッシュボード</h1>
        <nav className="flex gap-2" aria-label="期間の切り替え">
          {PRESETS.map((p) => {
            const active = from === isoDaysAgo(p.days) && to === isoDaysAgo(0);
            return (
              <button
                key={p.days}
                onClick={() => applyPreset(p.days)}
                aria-pressed={active}
                className={`rounded border px-3 py-1 text-sm ${
                  active ? "bg-slate-900 text-white" : "bg-white"
                }`}
              >
                {p.label}
              </button>
            );
          })}
        </nav>
        <span className="text-sm text-slate-500">
          {from} 〜 {to}
        </span>
      </header>

      {isPending && <p aria-busy="true">読み込み中…</p>}

      {isError && (
        <p role="alert" className="rounded border border-red-300 bg-red-50 p-3 text-sm">
          {error instanceof Error ? error.message : "不明なエラー"}
        </p>
      )}

      {data && data.length === 0 && <p>この期間に表示できるデータがありません。</p>}

      {data && data.length > 0 && (
        <section className="rounded border bg-white p-4">
          <ResponsiveContainer width="100%" height={320}>
            <LineChart data={data} aria-label="日次売上の折れ線グラフ">
              <CartesianGrid strokeDasharray="3 3" />
              <XAxis dataKey="date" />
              <YAxis tickFormatter={(v) => yen.format(Number(v))} width={90} />
              <Tooltip formatter={(v) => yen.format(Number(v))} />
              <Line type="monotone" dataKey="revenue" stroke="#2563eb" strokeWidth={2} dot={false} />
            </LineChart>
          </ResponsiveContainer>
        </section>
      )}
    </main>
  );
}

このコードの肝は3行だけ覚えれば十分です。const from = params.get("from")状態をURLから読むrouter.replaceURLを書き換えるqueryKey: ["dashboard", "series", from, to]URLとデータ取得を縛る。この三角形が回ると、共有も戻る進むもキャッシュも全部勝手に効きます。

レイアウトはCSS Gridで「数を変えても崩れない」形に

KPIカードを横並びにして、画面幅が狭いと折り返したい——これは固定幅のflexで頑張ると必ず崩れます。CSS Gridのauto-fillminmaxを使うと、カードの最小幅だけ決めれば残りは自動です。

function KpiGrid({ children }: { children: React.ReactNode }) {
  return (
    // 最小240px、入るだけ詰めて、入らなければ折り返す
    <section
      style={{
        display: "grid",
        gap: "1rem",
        gridTemplateColumns: "repeat(auto-fill, minmax(240px, 1fr))",
      }}
    >
      {children}
    </section>
  );
}

カードが3枚でも7枚でも、画面が広ければ1行に、狭ければ自動で段組みが変わります。Tailwindならgrid gap-4 [grid-template-columns:repeat(auto-fill,minmax(240px,1fr))]でも同じです。メディアクエリを書き散らすより、こちらのほうが壊れません。レスポンシブの判断軸はメディアクエリの実装も合わせてどうぞ。

大量データは「描く前に減らす」

行数が増えると、ダッシュボードは2か所で重くなります。表とグラフです。

: 1万行をmapでそのまま<tr>にすると、DOMノードが1万個できてスクロールが固まります。画面に見えている十数行だけ描く仮想スクロールにします。TanStack Virtualなどを使うと、行数が増えてもDOM数は一定です。実装手順はReact仮想スクロールの実装にまとめました。

グラフ: 折れ線に1万点を渡すと、SVGのパスが巨大になって描画が遅くなります。人間の目は1000点も見分けられないので、サーバー側で日次・週次に集計してから渡すのが基本です。どうしてもクライアントで間引くなら、こうします。

// N点を超えたら間引いて最大maxPoints点にする(端は必ず残す)
function downsample<T>(rows: T[], maxPoints = 500): T[] {
  if (rows.length <= maxPoints) return rows;
  const step = Math.ceil(rows.length / maxPoints);
  const out = rows.filter((_, i) => i % step === 0);
  if (out[out.length - 1] !== rows[rows.length - 1]) out.push(rows[rows.length - 1]);
  return out;
}

ただ、間引きは最後の手段です。まずはAPI側で集計する。クライアントに生データを1万件送っている時点で、たいてい設計を見直すサインです。計測してから直す進め方はパフォーマンス最適化の実践に書いています。

Claude Codeには「画面」より先に「データの契約」を作らせる

ここまでの配管をClaude Codeに任せるとき、いきなり「ダッシュボード作って」と言うと見た目だけ立派な画面が返ってきます。順番を指定するのがコツです。

  1. APIが返すJSONの形(契約)を先に決めさせる。日付・通貨単位・タイムゾーン・件数まで含める。
  2. その契約をTypeScriptの型に落とさせる。型があると、後で単位やフィールドを落としたときに気づける。
  3. URL同期のフィルタを実装させる。useStateで期間を持っていたら却下する。
  4. TanStack Queryで取得させる。queryKeyにフィルタが入っているか必ず確認する。
  5. 最後にグラフとグリッドを乗せる。ローディング・エラー・空データの3状態を必ず出させる。

この順番を守るだけで、出力の質がはっきり変わります。レビュー観点や権限の話まで含めて実務に落とすならNext.jsフルスタック実務ガイド、見せるKPIをロールで出し分けるならRBACの実装が続きになります。

チーム標準のテンプレートやレビュー用プロンプトは教材一覧にまとめてあります。

僕がダッシュボードで踏んだ地雷3つ

正直に書きます。最初のダッシュボードは作り直しだらけでした。

ひとつ目は、期間をuseStateで持ったこと。デモは完璧でした。でも顧客に「この画面のURLください」と言われた瞬間に詰みました。送ったURLでは初期表示しか出ない。URLに状態を移すまで丸一日溶かしました。

ふたつ目は、fetchuseEffectに直書きしたこと。タブを高速で切り替えると、古いレスポンスが後から届いて画面が一瞬巻き戻る。レースコンディションです。TanStack Queryに移したら、その日のうちに消えました。

みっつ目は、生データを全部クライアントに送ったこと。検証用の小さいデータでは速かったんです。本番の1万行で初めてカクついた。サーバー側集計に変えてからは、データが10倍になっても体感は変わっていません。

よくある質問

Q. RechartsとChart.js、結局どっちがいい? 管理画面の標準KPI(折れ線・棒・面・円)ならRechartsが書きやすいです。JSXでそのまま組めるので、Reactに慣れているほど速い。時系列で点数が極端に多い、あるいはcanvasの軽さが欲しいならChart.jsが候補です。比較の詳細はチャートライブラリ比較に。

Q. SWRとTanStack Query、どちらを選ぶ? 最初の取得とキャッシュだけならどちらでも大差ありません。無効化・楽観的更新・依存クエリまで踏み込むならTanStack Queryのほうが道具が揃っています。この記事のコードもそちら基準で書きました。

Q. 状態をURLに入れると、見せたくない条件まで露出しない? 公開してまずい値(他テナントのIDなど)はURLに入れず、サーバー側の認可で弾きます。URLに置くのは期間・プラン・並び順のような「共有して困らない表示条件」だけにします。

Q. グラフが多いと初期表示が遅い。どうする? 画面外のグラフは遅延読み込みにし、データはAPI側で集計してから渡します。それでも重ければ、表は仮想スクロール、折れ線は間引き。順番はパフォーマンス最適化の流儀で、まず計測してからです。

Q. Next.jsじゃなくてViteのReactでも同じ作り方でいい? 配管の考え方は同じです。URL同期はReact RouterのuseSearchParams、データ取得はTanStack Queryで、コードはほぼそのまま使えます。違うのはルーティングAPIの名前くらいです。

まとめ

管理ダッシュボードの出来は、グラフの種類ではなく配管で決まります。チャートはRechartsを基準に置き、データ取得はTanStack Queryに任せ、フィルタはURLに持たせ、レイアウトはGridで折り返し、大量データは描く前に減らす。この5つが通っていれば、グラフの差し替えは数行です。

最初に作るべきは、見た目ではなくAPIの契約。Claude Codeにもその順番で頼む。上のコードをそのまま貼って、まずは「期間ボタンを押すとURLが変わり、データが取り直される」三角形を一度動かしてみてください。そこが回り出すと、ダッシュボードは一気に組み上がります。

#React #管理ダッシュボード #Recharts #TanStack Query #データ可視化
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この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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