Advanced (更新: 2026/6/7)

Claude Codeサブエージェント活用5パターン|調査・実装・レビューを分けて並列で回す

Claude Codeのサブエージェント、いつ分割し、どう並列で走らせ、結果をどう集める?調査・実装・レビューの役割分担と使いすぎの罠を、コピペできる委譲プロンプト付きで紹介します。

Claude Codeサブエージェント活用5パターン|調査・実装・レビューを分けて並列で回す

「全部いい感じに直しといて」と3つのサブエージェントに同時に頼んだら、3人とも同じファイルのタイトルを別々に書き換えていました。

差分はやたら増えた。本文もそれっぽく良くなった。でも、検索キーワードはバラバラ、内部リンクの貼り方も三者三様で、最後に僕が手で揃え直すハメになりました。並列にして速くなるどころか、統合で半日溶けたんです。

サブエージェントは「人数を増やす機能」だと思っていると、たぶん同じ事故を踏みます。本当のコツは、走らせる前に「誰が何を触り、誰が読むだけか」を分けておくこと。今日はその分け方を、僕が実際に使っている5つのパターンに整理して紹介します。

この記事の要点

  • サブエージェントは「別の作業机(コンテキスト)」を持つ専門担当。調査・実装・レビューを分けると手戻りが減る
  • 並列化の本質は人数ではなく、衝突しない作業面(重ならない編集範囲)を先に切ること
  • 役割は3つに分ける:読むだけのexplorer → 決めた範囲だけ触るworker → 疑って読むreviewer
  • 結果は「短い証跡+再現コマンド」で返させる。全文や生ログを戻すとメインの机が埋まる
  • 使いすぎは逆効果。小さい修正を分けると、各エージェントが同じファイルを読み直して遅くなる

足場の全体像から知りたい人はClaude Codeのハーネス(足場)設計を、まず最小構成で試したい人は軽量ハーネスのワークフローを先に読むと、この記事の話がつながります。

そもそもサブエージェントって何?

ひとことで言うと、メイン会話とは別室で動く専門担当です。

ここでいう「別室」がポイントで、サブエージェントは新しい独立したコンテキストで始まります。コンテキストというのは、Claudeがその時点で覚えている会話・読んだファイル・コマンド出力をまとめた「作業机」のことだと思ってください。

机が散らかると、人間も判断を間違えます。AIも同じです。10言語の記事、複数ディレクトリの実装、レビュー、翻訳、検証を1本の会話に全部積むと、机がモノであふれ、同じ調査を繰り返し、最後に「どのファイルを誰が触ったんだっけ」と分からなくなる。

そこで、重い調査や長いログは別室(サブエージェント)に投げて、メインの机には要約だけを戻す。これだけで作業が驚くほど見通しよくなります。

用語を先に平易にしておきます。あとの章で繰り返し出てきます。

用語この記事での意味
サブエージェント別室で調査・実装・翻訳・レビューをする専門担当
コンテキストClaudeが今見えている会話とファイルの「作業机」
重ならない編集範囲同時に動く担当が触るファイルを重ねない分担(disjoint write set)
explorerまず読むだけの調査担当。原則として編集しない
worker決められたファイルだけ編集する実装担当
委譲契約目的・範囲・禁止事項・完了条件・戻り値を書いた小さな約束(handoff contract)

公式の仕様は、Claude CodeのSubagentsドキュメントが一次情報です。.claude/agents/に置いたエージェント定義はチームで共有できること、サブエージェントは新しいコンテキストで始まること、長い結果を返しすぎるとメイン会話のコンテキストも食うこと——このあたりは押さえておくと事故が減ります。

パターン1:いつ分割するかを「机を分ける価値」で決める

最初に身につけてほしいのは、テクニックより判断基準です。サブエージェントは万能ではありません。短い修正を細かく分けると、各エージェントが同じファイルを読み直して、かえって遅くなります。

僕の判断軸はシンプルで、**「机を分ける価値があるか」**の一点です。

仕事分割向きか理由
10言語の記事翻訳向いている言語ごとに触るファイルが分かれ、品質観点も明確
既存記事の重複調査向いている大量検索の結果を要約だけ戻せる
1ファイルの小さな文言修正メインでよい分ける説明コストのほうが大きい
認証処理の横断リファクタ計画後なら可先にexplorerで影響範囲を確定する必要がある
仕様が曖昧な新機能まだ早いメイン会話で要件を固めるのが先

僕がサブエージェントに任せるのは、次の3つを満たすときだけです。

  1. 探索結果・ログ・翻訳候補など、メインに全部置くと重い情報が出る
  2. 担当ごとに編集するファイルをきれいに分けられる
  3. 返してほしい形をチェックリストや表で指定できる

逆に、要件の会話がまだ揺れているとき、同じファイルを複数人が触りそうなとき、秘密情報を読ませる必要があるときは止めます。秘密情報はそもそもプロンプトにもログにも載せない、というのがサブエージェント以前の鉄則です。

パターン2:役割を分ける(調査→実装→レビュー)

これが一番効くパターンです。いきなり実装させない。読むだけのexplorer → 決めた範囲だけ触るworker → 疑って読むreviewer、の順に流します。

flowchart TD
  A["メイン:目的と制約を決める"] --> B["Explorer:読むだけ。範囲を地図にする"]
  B --> C["メイン:編集範囲を確定する"]
  C --> D["Worker(日本語):基準原稿を書く"]
  C --> E["Worker(英語・中国語…):各言語に翻訳"]
  D --> F["Reviewer:metadata・リンク・プロンプトを確認"]
  E --> F
  F --> G["メイン:仕上げチェックと最終引き継ぎ"]

この図でいちばん大事なのは、workerを先に増やさないことです。

調査前にworkerを並べると、全員が同じ記事・同じ関連リンク・同じfrontmatterを読み始めます。一見すると並列で速そう。でも実際は、同じ読み込みを人数分やっているだけで、重複作業が増えるんですね。

僕は今、新しい仕事を始める前に必ず「誰が決めるか」「誰が編集するか」「誰が疑って読むか」を一行で書き分けるようにしています。この一文があるだけで、エージェント同士の責任の境界がはっきりします。

パターン3:並列で走らせるなら、先に作業面を切る

ここが冒頭の失敗談の核心です。並列化の本質は人数を増やすことではなく、衝突しない作業面を先に作ること

たとえばブログサイトで「記事カードの表示」「OGP画像の生成」「関連記事ロジック」を同時に直すとします。このとき、workerごとに触ってよいファイルを固定してしまうのがコツです。

3人のworkerを、重ならない編集範囲で動かす。

Worker A:
- 編集可: site/src/components/BlogCard.astro
- 編集禁止: layouts, pages, content files
- 目的: カードのmetadata表示だけ改善

Worker B:
- 編集可: site/src/pages/og/[...slug].png.ts
- 編集禁止: components, article files
- 目的: OGPのタイトルとheroの挙動を検証

Worker C:
- 編集可: site/src/lib/relatedPosts.ts
- 編集禁止: components, pages, content files
- 目的: ルートを変えずに関連記事の選び方を改善

全workerは引き継ぎ票を返す:
- 変更したファイル
- 変更の理由
- 実行したテスト
- 残ったリスク

この分け方なら、あとから差分を見ても衝突しません。逆に「UI全体をよくして」と3人に頼むと、全員が同じコンポーネントを触り、最後の統合で壊れます。冒頭の僕の事故が、まさにこれでした。

記事の翻訳でも考え方は同じです。10言語をいっぺんに走らせるなら、まず日本語の基準原稿(canonical)を確定し、各言語はそれを自然にローカライズする。担当はこう切ります。

担当編集してよいファイルやること
ja-workerblog/claude-code-subagent-patterns.mdx構成・実例・プロンプト・導線を作る
欧州ロケール担当blog-en, blog-es, blog-fr, blog-de, blog-pt機械翻訳調を避けて自然に訳す
アジアロケール担当blog-zh, blog-ko, blog-hi, blog-id用語を各文化圏の読者向けに置き換える
review担当10ファイルすべてを読むだけfrontmatter・文字化け・コードフェンス・リンクを確認

翻訳担当には「要約するな」と明示してください。AI翻訳は長い記事を勝手に短く整えがちで、実例・失敗例・チェックリストが静かに抜け落ちます。

パターン4:結果をどう集約するか(コンテキスト予算を決める)

「サブエージェントを使えばメインの机は軽くなる」と思いがちですが、戻り値を全部貼れば結局メインが重くなります。別室で調べても、レポートを机いっぱいに広げたら散らかるのと同じです。

だから僕は、走らせる前に「戻してよい情報量」を決めます。これをコンテキスト予算と呼んでいます。

コンテキスト予算ルール:
- Explorerは箇条書き20個と表1つまで。
- Workerは変更ファイル・判断・チェック結果だけを返す。
- Reviewerは深刻度別の指摘だけ。記事の全文書き直しは返さない。
- 80行を超えるログは要約する。
- 迷いが残るときは生ログを吐かず、焦点を絞った質問を1つだけ返す。

ポイントは、本文の品質は長くてよいが、引き継ぎ(handoff)は短くすること。ここを混ぜると、メイン会話が記事本文・翻訳メモ・検証ログで埋まって、肝心の判断ができなくなります。「証跡は短く、再現コマンドは残す」を合言葉にすると、後から自分で追えるレポートになります。

コンテキストの基本的な扱いをもっと知りたい人は、Claude Codeのコンテキスト管理も合わせてどうぞ。

パターン5:レビューと検証は「疑う専任」を最後に置く

サブエージェントは実装者だけじゃありません。むしろ最後のreviewerと検証担当が効きます。

役割をはっきり分けるのがコツです。reviewerは「読者価値・SEO・落とし穴・重複」を見る担当、検証担当は「ビルド・リンク・コードフェンス・文字化け」を見る担当。実装者は自分の前提を信じやすいので、レビューは別人格に任せます。

読み取り専用で、こう頼みます。

レビュー用サブエージェントを読み取り専用で使う。

範囲:
- slug claude-code-subagent-patterns の10言語ファイルだけを読む。
- 何も編集しない。

レビュー観点:
- descriptionが120字以内か
- updatedDateが2026-06-07か
- heroImageが維持されているか
- 各言語が薄い要約でなく、完全なローカライズ記事になっているか
- 具体的な実例が3つ以上あるか
- 失敗例・落とし穴が具体的か
- コードフェンスが閉じているか
- 公式の外部リンクと内部リンクがあるか

指摘は深刻度順に、可能ならファイルパスと行番号つきで返す。

この読み取り専用レビューは、人間が見る前にめちゃくちゃ役立ちます。多言語記事だと「本文は自然なのにHindiだけコードフェンスが閉じてない」「Portugueseだけ末尾の導線が抜けてる」みたいな小さな事故が必ず起きるので、機械的に弾いてくれる門番がいると安心です。コード側のレビュー観点はコードレビューチェックリストにも整理してあります。

コピペで作る:読み取り専用レビュワー

考え方をすぐ試すなら、まず読み取り専用のレビュワーから始めるのが安全です。編集権限を渡さないので、失敗しても差分を壊しません。次のコマンドで .claude/agents/article-reviewer.md を作れます。

mkdir -p .claude/agents
cat > .claude/agents/article-reviewer.md <<'EOF'
---
name: article-reviewer
description: ClaudeCodeLabの記事を独自性・実装の具体性・SEO・公開リスクの観点でレビューする
tools: Read, Grep, Glob
---

割り当てられたファイルだけをレビューする。編集はしない。

チェック項目:
- titleとdescriptionが検索意図に合っているか
- 導入の最初の3行で読者の具体的な悩みに触れているか
- 実例・落とし穴・公式リンク・内部リンク・導線があるか
- コードフェンスが閉じていて言語ラベルがついているか
- 薄い要約や他ページの焼き直しになっていないか

返すもの:
- 深刻度順の指摘
- 合格/不合格の判定
- いちばん効く修正を1つ
EOF

nameは小文字とハイフンで一意にし、descriptionには「いつ使うべきか」を書きます。ファイルベースのエージェントは起動時に読み込まれるので、作ったあとは念のためセッションを再起動すると確実です。長いプロンプトをCLI引数に詰めるより、.claude/agents/に短く整理して置くほうが、チームでは断然扱いやすいです。

オーケストレーション(指揮役)側は、メイン会話の冒頭にこれを貼ると安定します。

あなたはオーケストレーターです。サブエージェントを使う前に委譲計画を作る。

目的:
- [一文のゴール]

ハード制約:
- 触ってよいのは: [正確なファイルかディレクトリ]
- 編集禁止: [対象外]
- 維持すべきもの: [metadata, 公開API, ルート, 画像 など]
- 必須の検証: [コマンドか手動チェック]

まずexplorerに読むだけをさせる。編集範囲が重ならないと確認するまでworkerを動かさない。
各workerには次を定義する:
- 編集可のファイル
- 編集禁止のファイル
- 期待する出力
- 完了条件

最終回答に必ず含める:
- 変更したファイル
- 実行したチェック
- 残ったリスク

僕がやらかした失敗3つ

正直に書きます。サブエージェントの使い始めは、事故ばかりでした。

ひとつ目は、冒頭の**「全員に同じ仕事を頼んだ」**やつ。編集範囲を切らずに「記事を良くして」と3人に投げて、タイトル・導入・導線を全員が触りました。差分は増えたのに品質は上がらず、統合で半日。今は「このworkerはこのファイルだけ」「このagentは読むだけ」と必ず分けます。

ふたつ目は、explorerの出力を長くしすぎたこと。検索結果を全件、ログを全文、メインに貼り戻していました。別室で調べた意味が消えて、机が一瞬で埋まる。今は「判断に必要な表と結論だけ」と上限を決めています。

みっつ目は、委譲契約が薄かったこと。「いい感じに翻訳して」だと、トーンも長さもSEOキーワードも揺れます。「要約禁止」「frontmatter維持」「失敗例を残す」「ローカル読者に自然な用語に」と書いてからは、戻ってくる品質が安定しました。約束を具体的にするほど、別室の仕事はブレなくなります。

よくある質問

Q. サブエージェントとメイン会話の使い分けは? A. 「机を分ける価値があるか」で決めます。大量の調査結果やログが出る、担当ごとに編集ファイルを分けられる、戻り値の形を指定できる——この3つが揃えば別室へ。1ファイルの小さな修正はメインのままが速いです。

Q. 何個まで並列で走らせていい? A. 数より「編集範囲が重ならないか」が先です。重ならない作業面を3つ作れるなら3人、2つしか作れないなら2人。同じファイルを触る並列は、人数を増やすほど統合で壊れます。

Q. 役割は必ず3つ(explorer / worker / reviewer)に分けるべき? A. 全部必須ではありません。ただ最低限、読むだけのexplorer疑って読むreviewerは分ける価値が大きいです。編集しないagentは失敗しても差分を壊さないので、最初の一歩に向いています。

Q. 結果がメインに戻ってきて、かえって重くなりました。 A. コンテキスト予算を先に決めていないサインです。「explorerは表1つと箇条書き20個まで」「80行超のログは要約」のように上限を渡してください。本文は長くてよくても、引き継ぎは短く、が原則です。

Q. 作ったエージェント定義がうまく呼ばれません。 A. ファイルベースのagentは起動時に読み込まれます。作成直後はセッションを再起動すると確実です。配置場所は.claude/agents/nameは小文字とハイフンで一意に。詳細は公式ドキュメントを確認してください。

実際に試した結果

ClaudeCodeLabの記事改善でいちばん効果を感じたのは、翻訳を並列化することそのものよりも、最初に「日本語の基準原稿」「翻訳worker」「読み取り専用reviewer」を分けたことでした。

以前は10言語を一気に直そうとして、英語だけ濃く、日本語と他言語が薄いまま残る、という残念な結果になりがちでした。今は、基準原稿に実例と失敗談を先に固めてから、各言語には「要約禁止」「導線維持」を明示する。たったこれだけで、公開前レビューの指摘がぐっと具体的になりました。

冒頭の半日溶けた事故以来、僕がサブエージェントで最初に書くのは、賢いプロンプトではありません。「誰が決め、誰が編集し、誰が疑って読むか」の3行です。並列化するほど、この地味な3行が効いてきます。

まずは読むだけのexplorerとreviewerを1本の記事で試して、自分のチームに合う引き継ぎ票の形を固めるところから始めてみてください。足場全体の設計はハーネス(足場)の作り方、最小構成は軽量ハーネスにまとめてあります。委譲契約やレビュー観点をチーム向けに整理したい場合は、実務テンプレート集も役に立つはずです。

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Masa

この記事を書いた人

Masa

Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。

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