Claude Code × AWS S3入門: 最小権限でsync・画像アップロード・署名付きURLを作る
Claude CodeでAWS S3を安全に使う入門。IAM最小権限、aws s3 sync、静的サイト、画像、バックアップ、署名付きURLまで実装。
S3は、AWSの中でも一番よく使われるサービスのひとつです。画像を置く、静的サイトを配信する、ログやバックアップを保存する、ユーザーごとのPDFを一時的に配る。どれも地味ですが、Webサービスを作るとかなり早い段階で必要になります。
ただし初心者がClaude Codeに丸投げすると、S3は事故りやすいです。バケットを公開しすぎる、IAMにs3:*を付ける、aws s3 sync —deleteで本番ファイルを消す、署名付きURLを長すぎる期限で発行する。このあたりは、動いた瞬間はうれしいのに、あとで料金やセキュリティの問題になります。
この記事では、Claude Codeを使ってAWS S3連携を作るときの「安全な頼み方」と「コピペで確認できる実装」をまとめます。前提は、S3を初めて本番寄りに使う人です。S3はただのファイル置き場ではなく、公開範囲、権限、同期、キャッシュ、削除の設計が必要なストレージだと考えると失敗しにくくなります。
AWS CLIのs3コマンドは公式のAWS CLI S3 referenceとaws s3 sync referenceを基準にします。署名付きURLはBoto3のpresigned URL guideも考え方が分かりやすいです。Claude Code側の進め方はClaude Code common workflowsに寄せます。
IAMの全体像を先に押さえたい場合はClaude Code AWS IAMガイド、セキュリティの考え方はClaude Codeセキュリティ実践も合わせて見ると理解が速いです。
まずS3で何をするのかを分ける
S3の記事で最初にやるべきことは、いきなりコードを書くことではありません。用途を分けることです。静的サイト配信用のsite、公開画像用のassets、管理者だけが読むbackups、ユーザーへ一時配布するprivate-reports。これらを同じバケットに入れる場合でも、prefixを分けるだけでIAMの書き方がかなり安全になります。
use case 1は静的サイトです。AstroやNext.jsで生成したdistをS3へ置き、CloudFrontで配信します。この場合はGETが多く、更新はデプロイスクリプトだけが行います。use case 2は画像アップロードです。管理画面やCMSから画像をS3へ置き、サイト側ではCloudFront URLを参照します。use case 3はバックアップです。DB dumpや請求書PDFなどを日付つきで保存します。use case 4は署名付きURLです。バケットを非公開にしたまま、15分だけPDFをダウンロードできるようにします。
この4つを混ぜて考えると、すぐにs3:*が欲しくなります。Claude Codeに頼むときも「S3連携を作って」では広すぎます。「uploads以下だけPutObject」「assets以下だけGetObject」「削除権限は不要」のように、用途とprefixを先に決めてから依頼するのがコツです。
最初の確認コマンドとIAM最小権限
最初にバケット名とリージョンを変数に置くと、Claude Codeにも人間にも確認しやすくなります。
export AWS_REGION=ap-northeast-1
export S3_BUCKET=claudecode-lab-assets-prod
aws sts get-caller-identity
aws s3 ls "s3://${S3_BUCKET}/" --region "${AWS_REGION}"
このポリシーは読み取りをassets以下、書き込みをuploads以下、削除を明示的に禁止する設計です。
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [
{
"Sid": "ReadPublicAssetsOnly",
"Effect": "Allow",
"Action": ["s3:GetObject"],
"Resource": "arn:aws:s3:::claudecode-lab-assets-prod/assets/*"
},
{
"Sid": "WriteUploadsOnly",
"Effect": "Allow",
"Action": ["s3:PutObject", "s3:AbortMultipartUpload"],
"Resource": "arn:aws:s3:::claudecode-lab-assets-prod/uploads/*"
},
{
"Sid": "ListLimitedPrefixes",
"Effect": "Allow",
"Action": ["s3:ListBucket"],
"Resource": "arn:aws:s3:::claudecode-lab-assets-prod",
"Condition": {
"StringLike": {
"s3:prefix": ["assets/*", "uploads/*", "backups/*"]
}
}
}
]
}
静的サイトや画像を同期する基本形です。最初は必ずdryrunで差分を見てください。
# 1. Preview changes first. This should become a habit.
aws s3 sync ./dist "s3://${S3_BUCKET}/site/" \
--region "${AWS_REGION}" \
--delete \
--cache-control "public,max-age=300" \
--dryrun
# 2. Deploy only after the preview looks right.
aws s3 sync ./dist "s3://${S3_BUCKET}/site/" \
--region "${AWS_REGION}" \
--delete \
--cache-control "public,max-age=300"
# 3. Upload long-lived images with a different cache policy.
aws s3 sync ./public/images "s3://${S3_BUCKET}/assets/images/" \
--region "${AWS_REGION}" \
--exclude "*.psd" \
--cache-control "public,max-age=31536000,immutable"
署名付きURLは、S3を公開せずに短時間だけダウンロードを許可する方法です。
import { S3Client, GetObjectCommand } from "@aws-sdk/client-s3";
import { getSignedUrl } from "@aws-sdk/s3-request-presigner";
const s3 = new S3Client({ region: process.env.AWS_REGION ?? "ap-northeast-1" });
export async function createDownloadUrl(key: string, filename: string) {
if (!key.startsWith("assets/private-reports/")) {
throw new Error(`Unexpected S3 key prefix: ${key}`);
}
const command = new GetObjectCommand({
Bucket: process.env.S3_BUCKET_NAME,
Key: key,
ResponseContentDisposition: `attachment; filename="${filename}"`,
});
return getSignedUrl(s3, command, { expiresIn: 900 });
}
Claude Codeへ依頼するときは、用途、禁止事項、確認コマンドまで一緒に渡します。
このリポジトリに AWS S3 連携を追加してください。
目的: public/images を S3 の assets/images/ に同期し、private-reports/ のPDFだけ署名付きURLで配布する。
制約: バケット全体公開は禁止。s3:DeleteObject は付けない。aws s3 sync は必ず --dryrun を先に出す。
成果物: scripts/s3-sync-assets.mjs、lib/s3-presigned-url.ts、READMEの手順、確認コマンド。
確認: npm test、aws s3 ls、aws s3 sync --dryrun の出力で説明してください。
参照: AWS CLI s3/sync docs と Anthropic Claude Code common workflows。
IAMで大事なのは、Claude CodeにJSONを書かせたあとに人間が読むことです。Actionにs3:*が入っていないか、Resourceがバケット全体になっていないか、ListBucketのprefix制限があるかを見ます。ListBucketはオブジェクトのARNではなくバケットARNに付ける点も初心者が詰まりやすいところです。
pitfallとして、PutObjectだけあればアップロードできると思いがちですが、マルチパートアップロードを途中で止めるならAbortMultipartUploadが必要です。一方でDeleteObjectは気軽に付けません。削除が必要な運用でも、最初は別ロールに分けるか、確認付きスクリプトに限定したほうが安全です。
aws s3 syncの安全な使い方
aws s3 syncは強力です。ローカルのdistをS3に反映できるので、静的サイトや画像配信ではほぼ必ず使います。ただし、—deleteを付けると「ローカルにないファイルをS3から消す」動きになります。これは正しいデプロイでは便利ですが、パスを間違えると本番の画像やPDFを消します。
私ならClaude Codeにsyncスクリプトを書かせるとき、必ずdryrunモードをデフォルトにします。環境変数REALLY_DEPLOY=1があるときだけ本実行する、あるいはconfirmプロンプトを挟む。AIに任せるほど、削除系の操作は1ステップ余分にするのが現実的です。
静的サイトなら、distをsite/へ同期します。画像ならpublic/imagesをassets/images/へ同期します。バックアップなら、日付prefixを付けて一方向にアップロードします。バックアップ用途では—deleteを付けません。ここを混ぜると危険です。
# Backup use case: never use --delete for historical backups.
BACKUP_DATE=$(date +%Y-%m-%d)
aws s3 sync ./backups "s3://${S3_BUCKET}/backups/${BACKUP_DATE}/" \
--region "${AWS_REGION}" \
--storage-class STANDARD_IA \
--exclude "*.tmp"
# Confirm the uploaded objects.
aws s3 ls "s3://${S3_BUCKET}/backups/${BACKUP_DATE}/" --recursive --summarize
署名付きURLは「公開」ではなく「一時許可」
署名付きURLは、S3バケットをpublicにしなくても、一時的にGetObjectやPutObjectを許可できる仕組みです。初心者向けに言い換えると、鍵付きの倉庫に入ったファイルへ、期限付きの入場券を渡すイメージです。URLを知っている人は期限内にアクセスできるため、メールやチャットで不用意に長期間有効なURLを配らないことが重要です。
上のTypeScript例ではexpiresInを900秒、つまり15分にしています。Boto3の公式ガイドでも、presigned URLには有効期限を指定する考え方が出てきます。Claude Codeに依頼するときは「単位は秒」「デフォルト15分」「prefixチェック必須」と書いてください。ここを書かないと、動くけれど雑なヘルパーが出てくることがあります。
PutObject用の署名付きURLを作る場合は、Content-Typeとkey prefixを固定します。ユーザーから受け取ったファイル名をそのままkeyに使うのは避けます。日本語ファイル名、空白、スラッシュ、同名上書きが絡むと、あとで管理がつらくなります。アプリ側でuploads/yyyy/mm/dd/uuid.extのようなkeyに変換しましょう。
料金と公開範囲の落とし穴
S3の料金は、保存容量だけではありません。リクエスト数、データ転送、CloudFront、ライフサイクル、バージョニングも効きます。画像を大量配信するサイトでは、S3を直接公開するよりCloudFrontを前に置いたほうがキャッシュが効きやすく、転送コストも読みやすくなります。
もうひとつのpitfallは、静的Webサイトホスティングと通常の非公開バケットを混同することです。S3だけでWebサイト公開する記事は古くから多いですが、今はCloudFront + OACでS3を非公開に保つ構成のほうが扱いやすい場面が多いです。少なくとも、バケット全体をpublicにしてから後で直す、という進め方は避けます。
削除事故もよくあります。sync元ディレクトリを間違えたまま—deleteを付けると、S3側のほうが正しい状態なのに消されます。Claude Codeにデプロイスクリプトを作らせるときは、対象prefixをログに出す、dryrunを先に出す、削除予定件数が多すぎる場合は止める、という3点を入れておくとかなり安全です。
# A simple guard before destructive sync.
DRYRUN_OUTPUT=$(aws s3 sync ./dist "s3://${S3_BUCKET}/site/" --delete --dryrun)
echo "$DRYRUN_OUTPUT"
DELETE_COUNT=$(echo "$DRYRUN_OUTPUT" | grep -c "delete:" || true)
if [ "$DELETE_COUNT" -gt 20 ]; then
echo "Too many deletes: ${DELETE_COUNT}. Stop and review."
exit 1
fi
Claude Codeに任せる範囲と、人間が見る範囲
Claude Codeは、CLIスクリプト、TypeScriptヘルパー、README、テスト、エラー処理を一気に作るのが得意です。特に、aws s3 syncのオプション整理、環境変数のチェック、署名付きURLのprefix検証、エラー時のメッセージ整備は任せやすいです。
一方で、IAMポリシーの最終確認、バケット名、本番prefix、削除権限、CloudFrontの公開範囲は人間が見ます。Claude Codeに作らせたら終わりではなく、aws sts get-caller-identityとaws s3 lsで対象アカウントを確認してから実行する。この小さな手順で、別アカウントや本番バケットへの誤操作をかなり減らせます。
長いセッションでS3作業を続けるなら、Claude Codeのコンテキスト管理に書いたように、CLAUDE.mdへ「本番S3ではDeleteObject禁止」「syncはdryrun先行」と残しておくのがおすすめです。
Masaの検証メモ
この記事で紹介した内容を、検証用バケットで実際に試した前提でまとめると、効果が大きかったのはdryrunの強制とprefix分離でした。特にassets、uploads、backupsを分けるだけで、IAMレビューがかなり楽になります。逆に、最初から「S3便利だから全部ここに置く」で始めると、あとで何が公開で何が非公開か分からなくなります。
Claude Codeに任せて楽になったのは、確認コマンドをREADMEへ書き出すところです。人間はコードが動いた瞬間に満足しがちですが、AIに「この変更が安全だと判断できる確認手順も書いて」と頼むと、運用メモまで残ります。これは小さいけれど、後日の自分をかなり助けます。
まとめ: S3連携は動くより先に事故らない設計
Claude Code × AWS S3は、静的サイト、画像管理、バックアップ、署名付きURLまでかなり相性が良い組み合わせです。ただし、S3は権限と削除の事故が目立つ領域です。初心者ほど、最小権限、prefix分離、dryrun、短い署名付きURL、CloudFront前提の公開範囲を先に決めてから作りましょう。
社内でClaude CodeとAWS運用を安全に始めたい場合は、Claude Code研修・相談で、実際のリポジトリに合わせたS3/IAM/デプロイ手順まで一緒に設計できます。
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この記事を書いた人
Masa
Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。
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