BtoB SaaSのVertex AI連携メモをClaude Codeで作る: 営業FAQとサポート履歴の使い分け
BtoB SaaS向けにVertex AI、RAG、Agent Searchへ渡すFAQとサポート履歴の境界を整理します。
BtoB SaaSの営業ページを直していると、営業FAQ、ヘルプセンター、サポート履歴、商談メモ、Slackの質問が全部「AIに読ませる候補」に見えてきます。ところが、顧客名、契約条件、障害時のやり取り、未公開ロードマップまで混ざると、便利なFAQどころか情報漏れの入口になります。
この記事では、BtoB SaaSがVertex AIやAgent Searchを検討する時に、Claude Codeで連携メモを作り、営業FAQとサポート履歴を分ける手順を書きます。狙いは「AIチャットを置く」ことではありません。問い合わせ削減、商談前の不安解消、サポート品質を狙いながら、顧客データを雑にAIへ渡さない境界を作ることです。
この記事の要点
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BtoB SaaSでは、営業FAQ、ヘルプ記事、サポート履歴、商談メモ、ロードマップを同じデータ源にしない方が安全です。
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Vertex AI周辺では、RAG、Grounding、Agent Search、Safety filtersを見ながら、使うデータと使わないデータを先に分けます。
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Claude Codeには、データ分類表、回答可否ルール、プロンプト、検証質問、運用メモを作らせます。
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人が見る範囲は、顧客名、契約条件、障害履歴、個人情報、未公開機能、法務表現、料金回答です。
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ROIは、商談前FAQの自己解決率、サポート一次回答時間、誤回答件数、エスカレーション率、有料相談への導線で見ます。
現場で起きる失敗シーン
BtoB SaaSでよくある失敗は、営業FAQを作るつもりでサポート履歴を丸ごと使うことです。サポート履歴には、顧客名、利用プラン、契約条件、障害時のやり取り、返金相談、解約理由、担当者名が入ります。営業ページのFAQには便利そうでも、そのまま検索対象にすると危ない情報が多すぎます。
もうひとつの失敗は、営業FAQとサポートFAQの目的を混ぜることです。営業FAQは、導入前の不安を減らし、資料請求や商談予約へ進めるためのものです。サポートFAQは、契約後の操作、障害、設定、請求、権限の質問に答えるものです。答える相手も、責任も、見せてよい情報も違います。
参考にする公式情報は、Google CloudのRAG Engine、Grounding、Agent Searchのデータストア、Safety filters、Responsible AIです。RAGやGroundingは、モデルの回答をデータに近づける考え方です。ただし、どのデータを渡すかを間違えると、正確に危ない情報を返すだけになります。
業務フロー: AIに渡す前にデータを4つに分ける
最初に作るのはVertex AIの設定ではありません。SaaSのFAQ候補を、公開してよい情報、顧客別に隠す情報、社内だけの情報、AIに渡さない情報の4つに分けます。ここを飛ばすと、後からどの回答がどのデータに基づいたのか追えません。
営業FAQに向いているのは、機能概要、導入手順、セキュリティ方針の公開版、料金プランの公開範囲、よくある比較、導入事例の公開済み情報です。サポート履歴に向いているのは、管理画面の操作手順、エラーの切り分け、権限設定、請求画面、連携設定です。商談メモや個別契約の条件は別扱いにします。
| データ源 | AIに使う範囲 | 人が確認する点 |
| --- | --- | --- |
| 営業FAQ | 公開済み機能、料金の公開範囲、導入前の質問 | 法務表現、料金例、競合比較 |
| ヘルプ記事 | 操作手順、設定、権限、エラー | 古いUI、廃止機能、スクショ |
| サポート履歴 | 匿名化した質問パターン、頻出エラー | 顧客名、契約条件、障害履歴 |
| 商談メモ | 原則AIに渡さない。使うなら論点だけ抽出 | 顧客名、予算、未公開ロードマップ |
| ロードマップ | 公開済み予定だけ | 未公開機能、日付の断定 |
Vertex AIやAgent Searchを使う前に、この表を社内で合意します。Claude Codeには、既存FAQ、ヘルプ記事、サポート履歴の列名、問い合わせ分類を読ませ、どの情報がどの箱に入るかを下書きさせます。
Claude Codeに任せる範囲と人が見る範囲
Claude Codeに任せる範囲は、データ分類と検証質問の下書きです。FAQ、ヘルプ記事、CSVの列名、サポートタグ、既存問い合わせ分類、NG回答例を読ませ、営業FAQに使う情報とサポートFAQに使う情報を分けます。
人が見る範囲は、顧客ごとの事情です。顧客名、契約条件、個別割引、障害報告、法務表現、セキュリティ回答、未公開機能、料金の例外は、人が確認します。AIが「回答できそう」と言っても、商談やサポートの責任は会社に残ります。
RAGやGroundingは、回答の根拠をデータに寄せます。だからこそ、データの境界が先です。営業FAQにサポート履歴を混ぜる時は、顧客名を消すだけでは足りません。契約条件、障害名、個別運用、担当者名、日時、問い合わせIDも手がかりになります。
3つのUse case
Use case 1: 営業FAQとサポート履歴を分ける
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入力: 公開FAQ、ヘルプ記事、サポート履歴CSVの列名、問い合わせタグ、商談前によく聞かれる質問。
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出力: 営業FAQ向け、サポートFAQ向け、社内確認向け、AIへ渡さない情報の4分類表。
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人の確認: 顧客名、契約条件、障害履歴、未公開機能、個別価格が混ざっていないかを見る。
このUse caseでは、Claude Codeに本文を丸ごと貼るより、まず列名とサンプルをマスクして渡します。営業FAQに使うのは、公開してよい表現だけにします。
Use case 2: Vertex AI連携前の検証質問を作る
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入力: 想定ユーザー、料金ページ、ヘルプ記事、NG回答例、エスカレーション条件。
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出力: 回答してよい質問、回答せず人へ渡す質問、根拠リンクが必要な質問のテストセット。
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人の確認: 料金、契約、セキュリティ、障害、解約、個別要望の回答境界を決める。
RAGやAgent Searchを入れた後に試すのでは遅いです。先に検証質問を作り、営業ページの不安解消に効く質問と、サポート担当へ渡すべき質問を分けます。
Use case 3: 誤回答時の運用メモを作る
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入力: 誤回答例、問い合わせログ、サポート担当の修正コメント、公開FAQの更新履歴。
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出力: 誤回答の分類、修正するデータ源、再テスト質問、公開前承認者を持つ運用メモ。
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人の確認: 法務表現、返金条件、障害説明、顧客影響、公開タイミングを確認する。
SaaSのAI FAQは、一度置いたら終わりではありません。回答がずれた時に、プロンプトを直すのか、FAQを直すのか、サポート記事を直すのかを決める運用が必要です。
コピペで使えるプロンプト
あなたはBtoB SaaSのVertex AI連携メモ作成担当です。目的は、営業FAQとサポート履歴を分け、顧客データを雑にAIへ渡さないことです。
対象:
- 公開FAQ
- ヘルプ記事
- サポート履歴CSVの列名
- 問い合わせタグ
- 料金ページ
- NG回答例
作ってほしいもの:
1. 営業FAQ向け、サポートFAQ向け、社内確認向け、AIへ渡さない情報の4分類表
2. Vertex AI / Agent Searchに渡す前の検証質問20個
3. 回答してよい質問、人へ渡す質問、根拠リンクが必要な質問の3列表
4. 誤回答時に、FAQ、ヘルプ記事、プロンプト、データ分類のどこを直すかの運用メモ
5. 主CTAは /training/ にする
制約:
- 顧客名、契約条件、個別価格、障害履歴、未公開ロードマップを本文に再掲しない
- 法務やセキュリティ回答をAIだけで断定しない
- 実装前に、人が承認する境界を明記する
動く確認コード
下のNode.jsコードは、FAQ候補の分類漏れを確認します。Vertex AIへ接続するコードではありません。まずAIへ渡す前のCSVやJSONで、顧客データらしき列が営業FAQへ混ざっていないかを見ます。
const faqCandidates = [
{ source: "public_faq", title: "料金プランの違い", bucket: "sales_faq", fields: ["plan", "price", "feature"] },
{ source: "support_history", title: "A社の障害時対応", bucket: "sales_faq", fields: ["customerName", "incidentId", "contractNote"] },
{ source: "help_center", title: "権限ロールの変更", bucket: "support_faq", fields: ["role", "setting", "screen"] }
];
const sensitiveHints = [/customer/i, /contract/i, /incident/i, /discount/i, /account/i, /顧客/, /契約/, /障害/, /割引/];
const findings = faqCandidates.flatMap((item) => {
const sensitiveFields = item.fields.filter((field) => sensitiveHints.some((pattern) => pattern.test(field)));
if (item.bucket === "sales_faq" && sensitiveFields.length > 0) {
return [{ title: item.title, source: item.source, issue: `営業FAQに敏感な列が混ざっています: ${sensitiveFields.join(", ")}` }];
}
return [];
});
if (findings.length > 0) {
console.table(findings);
process.exitCode = 1;
} else {
console.log("SaaS FAQ data boundary looks ready for review.");
}
実行例は、vertex-faq-boundary-check.mjs として保存し、node vertex-faq-boundary-check.mjs です。A社の障害時対応が営業FAQに入っていると出たら、営業ページ用の公開FAQから外します。
Pitfall: RAGに入れたから正しいと信じる落とし穴
原因: RAGやGroundingは、回答をデータへ近づけます。ただし、入れたデータが営業FAQに向かない情報なら、正確に危ない回答を返します。サポート履歴を丸ごと入れると、顧客名や契約条件に近い断片が回答に混ざるおそれがあります。
直し方: データの入口で分けます。営業FAQは公開済み情報と商談前の不安に絞る。サポート履歴は匿名化して質問パターンだけ見る。契約条件、障害履歴、未公開ロードマップはAIに渡さない箱へ置きます。
もうひとつの落とし穴は、誤回答の直し先を全部プロンプトに寄せることです。回答が古いならFAQやヘルプ記事を直します。境界が甘いなら分類表を直します。言い回しだけの問題ならプロンプトを直します。
よくある質問
Q. BtoB SaaSでVertex AIを使うなら、まず何から始めますか。
A. まずデータ分類表です。FAQ、ヘルプ、サポート履歴、商談メモ、ロードマップを分け、AIに渡すものと渡さないものを決めます。
Q. サポート履歴は全部消すべきですか。
A. 全部消す必要はありません。質問パターン、タグ、頻出エラー、操作手順は役に立ちます。ただし顧客名、契約条件、障害履歴、個別価格は分けます。
Q. Grounding with Google Searchは営業FAQに使えますか。
A. 公開情報の補助には使えます。ただし自社SaaSの契約条件やサポート履歴の代わりにはなりません。公開情報と社内データの境界を分けます。
Q. 相談導線は何に寄せますか。
A. Vertex AI、Agent Search、RAG、データ分類、セキュリティ境界が絡むため、主CTAは研修・相談です。
相談へ進むなら
ClaudeCodeLabの研修・相談では、BtoB SaaSのFAQ、ヘルプ記事、サポート履歴、Vertex AI / Agent Search連携前のデータ分類、検証質問、運用メモを一緒に作れます。今日やるなら、まずFAQ候補を20件だけ選び、営業FAQ、サポートFAQ、社内確認、AIへ渡さない情報の4つに分けてください。
実際に試した結果
この記事では、frontmatter、本文文字数、公式リンク、Use case 3本、入力・出力・人の確認、コードフェンス、/training/へのCTAを確認しました。確認コードはNode.jsで構文を通し、営業FAQへ顧客名、契約条件、障害IDに近い列が混ざるケースを検出するところまで見ました。Vertex AIやAgent Searchへの接続は実行せず、実装前の分類メモとして残しました。
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無料PDF: Claude Code はじめてのチートシート
まずは無料PDFで基本コマンドと最初の使い方をまとめて確認してください。登録後はそのままテンプレート集や導入相談にも進めます。
スパムは送りません。登録情報は厳重に管理します。
Claude Codeを仕事で使える形にしませんか?
まず無料PDFで基本を固め、繰り返し使う作業はGumroad教材へ、チーム導入や権限設計は導入相談へ進めます。
この記事を書いた人
Masa
Claude Codeの実務活用、導入設計、収益導線改善を検証しているエンジニア。10言語の技術メディアを運営中。
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